前回は超安全なポートフォリオを組んだ例で実績値のある公的年金(GPIF)の運用成績を見てみました。安全資産は7割程度、通貨では8割方を円建て資産、2割を外貨に投資し、10年間のパフォーマンスは年率1.3%程度でした。
今回は、さらに世界的に分散投資をしている代表的な投資信託の2つの例で実績を見てみましょう。
一つは野村アセット・マネージメントの「マイストーリー分配型Bコース」、もう一つは日興投信の「GW7つの卵」です。
二つを取り上げた理由は、純資産規模が1千億円以上とかなり大きく、人気がある(あった)ことと、5年以上のトラック・レコードがあり、世界的な分散が十分にされていることによります。
① 野村マイストーリー分配型Bコース
純資産;2800億円
設定;05年5月
配分%; 株:債券=25:75 内外比率=16:78
(国内株16%、外国株8%)(国内債券ほとんどなし、外国債券70%、現金5%)
設定来の騰落(配当を再投資に回したベース);プラス1.7%
設定後2年あまりでプラス35%くらいまで高騰しましたが、リーマンショックではマイナス20%となり、現在は設定時とどうレベルです。
② 日興アセット・マネージメントGW7つの卵
純資産;1,100億円
設定;03年2月
配分;株;債券=63:37 内外比率=50:50
(国内株26%、外国株36%)(国内債券24、外国債券12%)
設定来騰落(配当を再投資に回したベース);21.7% 年率約プラス2%
設定後4年で約2倍になりましたが、リーマンショックでほぼ元に戻り、その後2割ほど上昇し、現在にいたっています。
(注)両者ともその他の資産や現金の配分があるため、合計は100になりません。
両者の違いは、野村は保守的で債券がメイン、日興は株式に積極的に挑戦している部分でしょう。日興の場合変動率が非常に激しいので、タイミングを間違うと大きな損失につながりますが、よければ大きなゲインも得られました。
このように世界的に分散投資を行っているファンドは、野村・日興の他にフィデリティやゴールドマン・サックスなど様々なファンドがありますが、実績的にはいずれもこの両者の間か、より悪い実績を残しているものが多いようです。
日興とGPIFを比べるとどうでしょう。株式比率や内外比率は大きく違い、日興はアグレッシブ、GPIFは保守的ですが、結果は年率で言うと日興の2%、GPIFの1.3%とたった0.7%の差です。
この結果をご覧になって、みなさんの感想はいかがでしょうか。
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