愚かなトランプがまた市場の鉄槌により馬脚を現しましたね。今度は債券相場の下落に驚き、FRBの「パウェル議長の辞任を求めない」といつものように前言を翻しました。すると株価は戻り、債券も買われ、ドルも買い直されました。
おまけとして、マスクもテスラ株の暴落に驚き、政府から本業にシフトすると宣言。ついでにベッセント財務長官まで「中国への関税率は持続可能ではない」と反トランプともとれる言葉を発し、それも株価を押し上げました。ベッセントは政権では唯一金融市場の専門家だったため、経済もわかっています。
一方トランプはいまだに「アメリカは外国に搾取され続けた。仕返ししてやる!」と言い続けています。私に言わせれば、「搾取してきたのはアメリカだ!」。
外国の労働者を低賃金で働かせ、商品を割安で買ってきた。それこそを『搾取』と言うのだ!
その生産をアメリカで行って同レベルの価格設定をすれば、今度は自国民を搾取することになる。できるものならやってみろ!
4月3日の以下の投稿を思い出してください。
再掲
各国の製造業従事者の時給はどの程度なのか、国際比較をしてみましょう。
アメリカ;35ドル
日本;14ドル
中国;5ドル
メキシコ;5ドル
ベトナム;1.8ドル
バングラデッシュ;0.8ドル
再掲終わり
アメリカ人が今後現在の数分の1の時給で働くとでも思っているのか、ありえません。
さて、本題です。前回はトランプの独裁状況が何故可能になっているのか、AIによる政治体制の分析を紹介しました。要約すれば、以下のとおりです。
〇アメリカ憲法は、大統領に大きな権限を認める構造になっていて、特に行政権の運用については多くを「解釈」に委ねている
〇アメリカは三権分立の国であるが、そもそもよって立つ「憲法の構造があいまい」さを有している
〇司法もトランプが指名した保守派が多数派のため、大統領令を違憲であると即断できない
〇立法府も上下両院を共和党が押さえているため、大統領へのけん制機能を発揮できない
ではこのようなトランプ政権の「政策の核心部分」を、誰がどういう考え方で形成したのでしょうか?
キーワードは以下の三つだとAIは分析しています。以下はAIの回答です。
第一にトランプ派が提唱する独裁の根本原理とは、「統一執行権理論(Unitary executive theory)」である。
第二はそれを実行するための工程表「Project 2025」です。
第三はその思想的背景が、"2025 Presidential Transition Project"である。
ではまず統一執行理論から解説します。
Unitary executive theoryの具体的な主張内容
1. 大統領は行政の全責任者であり、部下の官僚を完全にコントロールできる
2. 議会が官僚の独立性を保障するような法律を作っても、それは違憲になり得る
3. 独立規制機関(FTC =公正取引委員会、EPA=経済連携協定)の判断にも、大統領が介入できる
これは事実上「三権分立」の否定であり、行政権が立法・司法を飲み込む思想です。
上記は今後さらに深刻化する可能性があり、その実行を推進するのが二つ目の「Project 2025」と呼ばれる極端な人事政策の実行です。その中身は、
1. 行政府内のキャリア官僚を「忠誠を誓う者」のみに入れ替え
2. 行政命令だけで環境・移民・労働などの規制を一掃
3. 大統領の「個人的意志」が国家運営を決定する
といった内容の変革で、トランプ一派が好き放題にできる体制を作るというものです。
ではこのような極端な2つの考え方の思想的バックボーンはどこにあるのか?トランプがそのような高尚な理論的背景など知る由もなく、実際には以下のようになっています。
まず挙げられるのは、 アメリカ行政機構をトランプ型に再設計するマニフェスト、 正式名称:"2025 Presidential Transition Project"です。
それを主導しているは、保守系シンクタンクThe Heritage Foundation(ヘリテージ財団)で、実際には70以上の右派団体が連携しています。(例:Alliance Defending Freedom, America First Legalなど)
そして主にトランプ政権で要職を務めた元官僚・法律家たちが実質的に内容を執筆・監修しています。 公開されている文書はなんと1,000ページ超もあり、あらゆる省庁の再編成計画が網羅されています。
その標的は、
1. 「行政国家(deep state)」の解体
2. 大統領への権限集中
3. 保守的な社会政策の即時実行
4. 官僚制から「忠誠制」への移行
言い換えれば、「三権分立・法の支配に基づく政府」ではなく、“CEO型独裁国家”の樹立を目指しています。
では具体的に計画されているプロセスとは?
A. 官僚人事の徹底的な「忠誠化」
「Schedule F」制度の復活:行政職員のうち政策に影響を及ぼす者を「大統領任命制」に変更。つまり、数万人のキャリア官僚を「忠誠検査」で排除可能にする。現行制度では政権が変わっても多くの官僚が継続して働き、法と慣習で運営されているが、それを完全に打破する。
B. 省庁の再編・解体
教育省、司法省、FBI、環境保護庁(EPA)などの一部解体または統合案
例:教育政策を連邦から州・家庭へ「返還」し、公立教育から宗教教育へシフトさせる
C. 政策実行の「行政命令一本化」
• 気候変動政策の廃止
• LGBTQ+権利擁護政策の撤回
• 人種・ジェンダー多様性に関するガイドライン廃止
• 妊娠中絶への連邦補助金を即座に停止
これらはすべて、議会を通さず、大統領令・省令で実行できるように設計されています。
D. 司法制度への圧力
裁判所に対して直接手を加える記述は少ないものの、最高裁・連邦裁が保守化している現状を利用する。
連邦検察の方針を政権主導で変えることで、敵対者の起訴・捜査も統制可能にする。
E. 思想統制的側面
・「反アメリカ的な価値観」を持つ教育・研究機関への資金供給停止
例;ハーバード大学
・メディア・ビッグテックへの「公平性監視」の名を借りた締め付け
・政治思想と忠誠心に基づいた官職人事
その結果、
三権分立→ 行政(大統領)が立法・司法を事実上吸収
法の支配→ 「人」に忠誠を誓う制度へ。制度・法律が形骸化
行政の中立→ 官僚がイデオロギーで選別され、政策が客観性を失う
少数派の権利 →LGBTQ・移民・マイノリティに対する攻撃的政策を強化
結論:Project 2025は外部からの「クーデター」ではなく「制度内クーデター」である。つまり
• 議会や憲法を破壊することなく
• 「制度を利用して制度を消す」プロセスが設計されている
• トランプ再選後100日以内に一斉発動するよう、段取り済み
以上がAIによるトランプ政策の背景・内容・実行方法です。
林の感想;なんとも恐ろしい思想的背景と綿密な計画に基づくもので、それを現トランプ政権は着々と推し進めつつあります。もしそのとおりに稼働を始めれば、アメリカもロシアや中国と同じような独裁制になりえます。いやもっとひどく、ナチや日本の軍部と同じになるかもしれません。
その証拠の一つがトランプの唱えた領土拡張で、カナダを属州とし、グリーンランドを領土とし、パナマ運河をアメリカに帰属させる。
そしてトランプは言論統制までしようとしています。AP通信を記者会見場から排除したためAPは法定闘争中ですが、世界の3大通信社の一つを排除するのは、言論統制以外のなにものでもありません。
(注)by Wikipedia;AP通信(Associated Press、AP)は、ニューヨークに本部を置くアメリカの非営利通信社で、 1846年に設立され、法人格を持たない協同組合として運営されている。 ロイター通信、フランス通信社(AFP)と並んで世界最大の通信社のひとつである。
こうした動きは私にはカルト集団のやり口にも見えます。トランプの選挙演説に集まる中国製MAGAキャップ(笑)をかぶった人たちも、カルトに酔いしれる人々としか見えません。
もちろん今ははまだProject 2025は進行の途上だし、私はアメリカと言う民主主義国家を独裁国家に変身させられるとは全く思っていません。
何故ならアメリカ憲法は「国民が最後の歯止めになる」ように設計されているからです。その力を発揮するには、選挙・裁判闘争・州政府の抵抗・市民運動が鍵となるでしょう。
APを封殺してもSNSがいくらでも機能します。トランプも利用しますが、反対者も利用可能で、ロシア・中国のように規制はできないでしょう。
その動きはすでに顕在化しつつあり、トランプの支持率は着々と低下。株価や債券価格もトランプの独裁を阻む動きを見せています。支持率と金融相場が異常なるProject 2025を押しのけつつあります。
またハーバードなどの大学が真っ向から反旗をかかげていますし、反トランプ、反MAGAのデモも全米で頻発しています。
ただ、はたしてそれらが中間選挙に間に合うか。それには早く民主党がトランプ政策を巻き戻すProject 2026でも立ち上げ、国民の支持を獲得する必要があります。
以上、トランプは何故独裁者になれたのか その2でした。
トランプの話題は尽きませんね。
林先生は、戦後民主主義世代だけあって純真にアメリカの民主主義を信じているのですね。
そこで敢えて先生の主張に突っ込んでみたいと思います。
「こうした動きは私にはカルト集団のやり口にも見えます。」
とのことですが、別の人に言わせるとアメリカは本来「ピルグリムブラザーズというカルト団体が作った国」ということだそうです。トランプを熱烈に支持しているのもアメリカの福音派です。NHKでもやってましたが、アメリカ人の四人に一人が信者だそう。ブッシュ大統領(息子)も熱烈な信者だそうです。なんでも30歳代にアル中だった時に「神の」をみたそうです。怖いですね。
ですので、今の宗教カルトに支配されたアメリカは、実は「本来のアメリカ」ではないでしょうか?
「アメリカ憲法は「国民が最後の歯止めになる」ように設計されているからです」とアメリカ憲法に絶大な信頼を寄せていらっしゃる様子ですが、これも別の見方があります。
それは憲法修正第二条です。アメリカ憲法は、規律ある「武装民兵が武装すること」を認めています。つまり民主主義の最後の砦は、銃を持った市民が権力者を排除すること、即ち「内戦」です。
実際に10年ほど前からアメリカの内戦勃発を警告する本が話題になったり、去年もアメリカの内戦を扱った映画がヒットしました。
この憲法修正第二条をトランプに適用すると、トランプを止める方法は「大統領暗殺」になるでしょうか。
アメリカの将来に不安を抱く内容ばかり書いてしまいましたが、米国債に関しては、南北戦争時代にもデフォルトしていないようなので、私は今後も保有し続けるつもりです(ついでに金も)。
ピルグリムファーザーズでは?
起源を言い出したら日本も急に自分達を漢民族だと言い出した水戸学信奉の連中が作ったカルト国家でしょう
このブログの本質は数字に基づいた投資です。
今後もトランプの話題は大いにありえると思います。