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オリンピックとコロナ

2021年08月10日 | オリンピック2020

  オリンピックが感動のうちに無事終了しました。開催までは批判の嵐だったのが、期間中は最後まで批判どころか感動の嵐でした。阿部兄弟の同時金メダルから始まり、最後のマラソンの大迫選手の入賞まで、見どころがあまりにも多く、うちでは時々画面を2分割して観戦したりしていました。

  録画はダメです。ビデオを撮っても見る時間がないし、金メダルを争っていたりすると臨時ニュースですぐ結果が流れてしまいます。でもさすがに2画面は見ていられませんでした。

  私が開催前年にコースの下見までして楽しみにしていたゴルフは、男女とも日本人選手が活躍し、最終日の最終ホールまで優勝争いから目が離せませんでした。もっともゴルフはプレーの放映時間が7時間を超えてしまいます。そこでPCでネット配信をオンにしてちらちら見ながら、テレビでは他の競技を見ることまでしました。こんなに長時間テレビを見たのは、生涯を通じて初めてかもしれません(笑)。

 

  日本選手のメダルラッシュは壮観でしたね。先日イギリスの調査会社が予想を出していることをみなさんに紹介しました。はたして予想と結果はどうだったのでしょうか。日本勢は予想をはるかに覆し数多くメダルを獲得していたのではないかと思い、予想を見返してみると、意外にもそうでもありません。数字を並べてみます。

日本のメダル数、予想/実績

     金     銀     銅     合計

日本  26/27    20/14    14/17    60/58

 

  金はわずか1つ違いで実績が上回りました。合計でもたった2つの差でした。かなり的確な予想だったんですね。きっとバドミントンの百田やテニスの大阪ナオミは金を予想していたでしょうが外れ、代わりにスケボー・ストリートの13歳かえでちゃんの金、パークの19歳さくらちゃんの金、そして卓球混合ダブルスの金メダルも予想外にちがいない。

 

  夏休み中の若い人達も、我々が64年のオリンピックに夢中になったように、しっかりと目に焼き付けたことでしょう。

 

  さて開催前を振り返りますと、コロナ感染者が激増する中でのオリンピック開催は批判の嵐でした。5月の世論調査では6割方の人が「開催に反対」という調査結果も出ていました。それにたいして私は6月6日の投稿でコロナ対策としてバブル方式の採用や入国前そして入国後の頻繁な検査により海外選手などから日本人への感染は抑え込めると楽観論を申し上げました。その投稿の一部を引用します。

 

「冷静に数字で比較すると、『危険だからやめろ』というのは、相当程度は感情論だということがわかります。尾身さんの言う『人流の増加がリスクを増大させる』という主張は、数字ヲタクの私から見ると『根拠の薄い主張だ』となります」

  尾身さんの人流増加論に対しては、毎日首都東京の通勤者数は1千万人もいるので、オリンピックの人流など物の数ではないと申し上げました。それに対してコメント欄で、バブル方式が役立つという楽観論は「机上の空論だ」ときびしく切り捨てられました。

  

  結論が出た今、それを検証してみましょう。客観性を持たせるため、私の主張ではなく、まずNHKニュースのオリンピック、コロナ総括を引用します。

 

タイトル;オリンピック  新型コロナウイルス 大会関係の感染者は計430人

2021年8月8日 19時14分 

東京オリンピックに関連して新型コロナウイルスに感染した選手や関係者の累計は、先月1日から8月7日までに国内と海外合わせて430人となりました。

内訳をみますと、選手はいずれも海外から来日した人が29人で、選手団の監督やコーチ、IOC、競技団体といった大会関係者が109人。メディア関係者が25人、組織委員会の職員が10人、大会の委託業者が236人、ボランティアが21人となりました。このうち東京 中央区晴海の選手村に滞在していたのは33人でした。

一方、大会組織委員会とIOCのまとめによりますと、東京オリンピックのために海外から来日した選手や関係者は、先月から今月6日までに4万2681人に上りました。

このうち、空港での検査で陽性が判明したのは37人で陽性率は0.09%、選手村や競技会場など大会の管轄下で行った62万4364件の検査では138人の感染が確認され、陽性率は0.002%でした。

このほか、日本に在住する大会の委託業者やボランティアなどの中には自主的に検査を受けて感染が確認された人もいて、組織委員会などはこうした人たちを含めて検査で陽性になった人として発表しています。
さらに、組織委員会によりますと、検査で陽性になるなどして来日しながら大会に出場できなかったり途中で棄権したりした選手は、合わせて19人だったということです。

引用終わり

 

  とてもわかりづらい内容です。そこで上記をまとめますと、海外からの来日者総数42,681人のうち感染者数138人。感染率わずか0.003%。一方国内関係者の総数が不明なので感染率は出ませんが、感染者数は292人。その計算は、

総感染者数430人―海外組感染者数138人=292人  

 

国内関係者数は膨大のため、率などの計算は不要なのかもしれません。結論としてオリンピック関係者が大勢来日した­­せいでの感染爆発は起こりませんでした。

 

  毎日毎日4千人以上の感染者が出ている東京とはくらべものにならないくらい感染者は少数で、しかもオリンピック関係の感染者が東京の居住者に感染させたケースはニュースになっていませんでしたので、あってもたいしたことはないのでしょう。むしろ東京都においてはオリンピック前からコロナを自ら感染爆発させてしまった、というべきでしょう。

  それが証拠に海外メディアの心配事は全く逆でした。日本が感染爆発の中にあるため、日本に行って選手が感染することへの危惧という話はあっても、自国選手が日本人に感染させるかもという話など全くありません。そしてむしろ「今回のオリンピックは日本でなければ開催はできなかった」と評価していました。日本という国には日本人の秩序ある行動様式があり、海外からの関係者もその秩序に従わざるを得なかったのでしょう。

 

  選手一人一人が生涯を賭けて臨んだオリンピック、本当に開催してよかったと私は思っています。ちなみに昨日の報道でオリンピックを開催してよかった人とよくなかった人の率は、よかったが6割と事前の調査と反対の数字になりました。そして内外すべての選手が開催に対して「感謝」の言葉を寄せてくれました。彼らのおかげで我々も心底オリンピック観戦を楽しむことができました。

コメント (5)
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