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トランプ・バイデン ディベート結果

2020年10月01日 | アメリカ大統領選挙2020

  昨日のばかばかしいディベートに、日本での報道では「お互いが非難の応酬をしていて両者痛み分け」というような報道が多いのですが、現地アメリカをはじめ、海外での報道はそんないい加減な印象だけのコメントはしていません。

  そもそもなんでディベートがひどく混乱したのかに関しては、トランプのせいだということをしっかりと指摘しています。アメリカの各報道もイギリスのBBCでも同じです。そのことは次の数字を見ればあきらかです。

討論中、ルール破りの割込み回数

トランプによる割込み;73回

バイデンによる割込み;9回

  圧倒的にトランプ側のルール違反であって、両者痛み分けなどではありません。統計好きのアメリカのことなので、2人のしゃべっている累積時間は何対何なのか調べてみましたが、みつかりませんでした。割込み時間を含めてザクッと推定すれば、6対4から7対3のあいだくらいで、トランプが時間を占有していました。

  また日本では「今回のディベートでは、肝心な政策論争にならなかった」と報道されています。確かにそのとおりなのですが、この数字を見れば、ぶち壊したのはトランプだということが鮮明に見て取れます。

 

  私は前回のヒラリーとのディベートでも同じようにトランプによる割込みが多かったので、今回も司会者の制止は効かないだろうと思っていました。公平にする方法としては、単に一人だけが話せるようにマイクをセットし、時間を公平にすればいいだけなので、実に簡単にできます。スイッチング・コントローラーを司会者に渡せば済む話です。

  今回のディベートを終えて、さすがにトランプによるディベートの攪乱を再現させないため、新たな方策を考えると主催者が宣言しています。

  大統領候補によるディベートに、そもそも主催者がいることをご存知でしょうか。報道関係企業の主催ではありません。機関の名はCommission on Presidential Debates 略してCDPと言い、それだけを専門とするNPO法人です。

  そのニュースに早速トランプ陣営は「CDPによるルール変更に反対」という狼煙をあげました。それを言う事自体、トランプのルール違反を認めていることなのに、おバカな陣営です。今回の司会者や次回以降の司会者もCDPが公平性を考え、すでに9月2日に決めています。

  私は以前から、トランプは自分が不利になると後付けでもルールを変更してしまう詐欺師だと指摘していました。ゴルフで一緒にプレーしたことのあるプレーヤーが、「彼は自分の打ったボールがOBラインを超えれば、キャディーにOB杭を引っこ抜かせて、ボールはセーフだと言い張り、池に落としても池のそばに別のキャディーを置いておいて、別のボールを池を超えたところに置かせる、とんでもない輩だ」という報道を引用したことがあります。

  今回は自分が選挙に負けそうになると「選挙システム自体をインチキだ」と言い張って、「裁判に持ち込む」と宣言。すでに負けを見越したこれまたおバカな宣言です。

 

  一方、「このところ世論調査でトランプが劣勢を挽回しつつある」という報道を日本ではよく見かけます。これも数字の中身をよく検証して、トランプ支持派の調査機関が結果を発表するたびに数値が歪められてしまう事実を知れば、実際はそんなことはないのがわかります。

  私の予想では、今回のディベートを受けてもトランプのディープな支持者は変わらないでしょう。しかしバイデン支持者は思いを固め、バイデンは大丈夫なのかという疑問からどちらか決めかねている人々の多くが、彼は認知症などではないと確信し、バイデン支持になびいていく。その結果世論調査もバイデン支持者が今後増加するだろうと思っています。しかし世論調査は時間がかかります。

  そのかわり日々数字が出てくる大統領選勝敗予想オッヅでは、昨日まではバイデン有利の差が9.5だったものが、ディベートの終わった時点ではなんと19.0ポイントにも一気に拡大しました。ディベートでの勝敗をオッズ業者はこう判断したのです。

      9月30日  10月1日

バイデン;  54.5    59.8

トランプ;  45.0    40.8

差;     9.5     19.0

出所;Real Clear Politics, Presidential Race Odds

https://www.realclearpolitics.com/elections/betting_odds/2020_president/

 

  今回のディベートの焦点であった「バイデンは大丈夫か」を彼が無事乗り越えたため、たとえオクトーバー・サプライズが出ても、高みの見物を続けられると私は勝手に確信しました。

 

 

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