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トランプでアメリカは大丈夫か13 貿易戦争 3

2018年06月26日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

今回は自分の吐いた唾が顔にかかったトランプちゃんについてです(爆)

先日のブログでEUとトランプの報復合戦に関して、以下のロイターニュースを引用しました。

>「EUがWTOに提出したリストによると、報復関税の対象にはトウモロコシやオレンジジュース、ハーレーダビッドソンのオートバイ、バーボンウイスキーなど、米共和党の有力議員の地元産品がズラリと並ぶ。米政界で発言力の強い有力議員の地元を狙い撃ちすることで、トランプ政権がこれ以上、保護主義的な措置に走らないように揺さぶりをかける思惑がうかがえる。」

そして私は「天に唾するおバカなトランプちゃん」と揶揄しました。

EUは22日にそれに対して報復関税を実施しましたが、ハーレーダビッドソンは即座にアメリカを出ていく決断をしました。「欧州へ輸出するバイクはアメリカ国外で製造する」というのです。当たり前の自己防衛です。

トランプは自分の顔に自分の唾がかかるばかりでなく、ハーレーダビッドソンが泥も塗ってあげました。

喝采!

これに対するトランプの最初の反応は、「まさか?!オレ様はお前らにためにやってやったのに」でした。そして次の反応は破れかぶれで、ロイターによれば「全ての企業の中でハーレー・ダビッドソンが最初に白旗を振るとは驚きだ。同社のために最大の努力をしてきたが、最終的に欧州への販売で同社は関税を支払わないことになる」と述べ、「税金はハーレーの言い訳に過ぎない、忍耐強くあるべきだ」と批判した。

支離滅裂で、何を言いたいのかも不明です。

今日はさらに補足もしておきます。大前研一氏が以前から指摘していることです。それは、トランプは中国からアメリカの輸出の多さをやり玉に上げていますが、実はその中身の過半はアメリカ製品だという指摘です。

17年年間の中国の対米黒字は3,371億ドル、約36兆円ですが、そのうちアップルのアイフォンだけで約5兆円。アイフォンはシャープの大株主である台湾のホンハイがほとんどの製造を請け負い、中国で製造しています。それにもし25%の関税をかけると、アメリカ人は1,000ドルのアイフォンを1,250ドルで買わされることになります。その分値引きすればアップルの利益は大きく減少します。

アメリカや日本で、オリジナルが中国の製品で競争力を持つ商品などみなさんは思いつきますか?私は思い当たるものはありません。

日本でいえば、ユニクロなどの衣料品や100円ショップは中国製品であふれていますが、それらはいずれも日本の企業が企画し中国で製造して日本に輸出されたもので、利益のかなりの部分は日本企業が得ています。アメリカでも全く同様です。

こうした疑似中国製品に関税を掛けることは、結局また自分の唾が自分の顔にかかることになります。

かわいいおバカなトランプちゃん、どうしてもこの簡単なことが理解できないようです。

コメント (2)
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