河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

225- たなざらしにするな ハンス・シュミット=イッセルシュテットのベト全

2007-03-13 20:50:59 | 音楽



2001年に火事で瓦礫になったゾッフェンザールはたしかにいいサウンドのホールだった。燃える前に聴いておいてよかった。
ハンスのベト全はたしかここで録音されたはずだ。柔らかいホール・サウンド。ウィーン・フィルのピュアモルトのようなコクのあるサウンド。デッカの少し固め強調の録音。それに、サンダーバードのパーカーさん似のハンスの剛毅な棒。
これらがうまくミックスブレンドされた演奏。
エロイカ冒頭の打撃音をボリュームをあげて聴くとき、ゾッフェンザールのオンステージの輪郭が目の前にあらわれてくるような素晴らしい立ち上がりだ。

ということで、このベト全も買って聴いてのお楽しみ、だが、例によってちょっとだけのぞき聴してみる。

エロイカは断然素晴らしい。
ハンスの一途な棒がこの曲にはふさわしい、いいものであり、しかしそれはウィーン・フィルという前提があってのものだ。ということがこの良質のサウンドのオーケストラの音を聴けば一耳瞭然だ。
ハンスの棒はどの曲もほぼ一直線。
バシーン、バシーン、とくる。強めのピリオド奏法のような感じで、音を揺らすことなく強く、くる。
1番2番は少し硬直し過ぎに感じるかもしれない。いずれにしてもクリアだ。
といっても、ハンスの場合、表現が過度に振幅することはないので安心だ。ウィーン・フィルも心得たものだろう。
7番のバランス。8番は録音が少し豊穣すぎるかもしれない。
また、これも全般に言えることだが、内声部が豊か。というとなにがなんだかよくわからないが、中音の楽器がよく聴こえる。ヴィオラ、チェロ、あたりがものすごくよく歌っているのが耳に取るようによく聴こえてくる。不思議なサウンドだ。少しばかり硬い録音でありながら、柔らかい音楽がしなるように溢れ出る。
このベト全もたなざらしにしてはいけない。

データはこんな感じ。
ベートーヴェン
交響曲第1番 1968年5月録音
交響曲第2番 1968年9月録音
交響曲第3番 1965年11月録音
交響曲第4番 1966年10月録音
交響曲第5番 1968年9月録音
交響曲第6番 1967年4月録音
交響曲第7番 1969年6月録音
交響曲第8番 1968年9月録音
交響曲第9番 1965年12月録音

ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
ウィーン・フィル

これはバラ売りで、5枚で全部そろう。
「源音復活 DECCAオリジナル・マスターテープ使用」
と書いてある。
このうえないサウンドということになる。
でも、ジャケットは最低。
DECCA  BEST 100 The Special
と勝手に書いてだいなしにしている。
ベスト100なんて書くなよ。
ただでさえ売れないクラシックをさらに売れなくしているだけ。
デッカの企画さん、もう少し頭ひねって考えてね。
ついでに転覆ジャケットもみますか。
ダメジャケ


ということで、良質のCDなのにわりと粗末で丁寧さがないのが玉にキズ。
それにもう一つ。
ジャケット裏の録音データ。

「1966年10月、1968年9月 ウィーン」
と書いてある。だけ。
日付もわからなければ、ホールもわからない。
粗末だ。
それに昔ながらの、古い日付を先に書く慣習。
CDなので日付の後にインデックスを打っているので、かろうじてわかるが、2番が1968年9月、4番が1966年10月だ。タスキ掛け状態のデータ。
インデックスがない録音データも世間一般には存在する。この紛らわしさ。
ソニーを見習えよ。
あすこのデータ開示は時代の流れに乗ってかどうか、やたらとオープンですっきりしている。
ということで多少のジャケ不満、データ不満はあるが、内容はたなざらしするような代物ではないのだ。
おわり