河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

ロイヤル・フィル1 1989-23

2007-03-11 21:00:00 | 音楽

1989年の1112月にロイヤル・フィルが来日した。

国内で15回公演と、だいぶ多い回数をこなした。

最近は演奏団体の来日公演回数はかなり少ないが昔は多い団体もあった。

ただ、演奏回数が多い団体は当時の東欧の外貨稼ぎか、もしくは1.5流以下の団体のような感じであり、どうも演奏の前にそのような印象が出来上がってしまう。

このときの指揮者はピアノよりも指揮が好きそうに見えるアシュケナージ。弾き振りである。

最近もそのような指揮者が多いが、好き、と、見事、というのは必ずしも一致しているわけではない。

この来日公演は、19891116日から122日まで15回公演。

出来たばかりのオーチャード・ホールでは3回行われた。

そのうちの2回に出かけてみた。

最初がこれ。

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19891120()7

オーチャード・ホール

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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3

シュトラウス 英雄の生涯

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ウラディミール・アシュケナージ指揮&ピアノ

ロイヤル・フィル

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ロイヤル・フィルの英雄の生涯と言えば、昔、セラフィム・レーベルからでたレコードを思い出す。

何が描かれていたか忘れたが、薄いブルーのジャケットで、指揮はもちろんトーマス・ビーチャム。

セラフィムはエンジェル・レコードのレーベルであり、1970年代はやったいわゆる廉価盤である。

それまで何度か発売されているのだろうが、とりあえずはその安さに惹かれて買ったわけだ。

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トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィル

1972年頃発売 価格1,000

SERAPHIM AA-5085

A面2143

B面2150

1958年録音

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ビーチャムの作ったオーケストラなので何をしてもいいわけだが、そのわりには素晴らしい演奏のレコードだった。

オーナー会社の社長みたいなもんだが、だいたいは社長の我儘をきいていれば給料を自然にもらえる。我儘きき代が給料のようなものだが、ときとして素晴らしい内容のことも、たまには、ある。

ビーチャムは、たまには以上に、良い指揮をした。

金ででも買える才能豊かな演奏家がいるということは、ないよりましというわけだ。

技術も個性も豊かな人間100人というのは、今のあたりさわりのない会社の社員1000人に匹敵するハンドリングのしづらさがあると思うが、そこらへん、ビーチャムのふところの深さはカネをしまう場所だけではなかったということだろう。

デニス・ブレインがビーチャムのふところをみていたかどうかは知らないが、音だけ聴いているとこころゆくまで鳴らしきっているようだ。

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ということで、アシュケナージの棒によるヘルデン・レーベンはどうであったか。

ロイヤル・フィルのやや肉厚な音は、ペーヴメントのように敷きつめられているわけではなく、聴こえてくる透明感と言うのは、何か足りなくて、もしくは、うどんのように太すぎて隙間がある、みたいな割と大雑把な鳴りであった。

演奏団体の能力は高いがアンサンブルに関心が少ないようにも見受けられる。

どうしてもビーチャムのレコードのサウンドが聴こえてきてしまい、勇壮なホルン、こまやかなヴァイオリンの表現、などくらべてしまう。

出来たばかりのオーチャード・ホールでのサウンドはちょっとガチャガチャしており、大きいショーウィンドウにひびがはいり一気に割れたような、透明な割れたガラスのような、感じで、それが良いのかどうか判然としないが、イギリスのこのロイヤル・フィルには合っているように聴こえた。

アシュケナージの指揮自体はとりたててどうのこうのいうものではなく、バレンボイムなどとは比べものにならない。心情の発露がないのである。

前半の弾き振りは、軽い。

この3番の暗黒のような第1楽章。曲がこれだけ第12主題をだしてくれてほとんどのものを見せてくれてからようやくピアノが出てくる、その紆余曲折が表現出来ていない。

全てのものをもっとよく噛み砕いて自分のものとしてからでも棒に熱中しても晩くはないのではないか。

とそのときは思った。

おわり

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