鎌田茂雄 『中国仏教史』 全6巻 2017年12月18日 | 宗教 同じ著者による同名の著書(岩波全書版 1978年9月)を読んだきりだったので、読んでみた。こちらは基本的に唐代で終わっている。 (東京大学出版会 1982年1月~1991年1月)
木村尚三郎ほか編 『中世史講座』 6 「中世の政治と戦争」 2017年12月16日 | 日本史 竺沙雅章「宋代の士風と党争」から。 台諫の発言が公議を反映するといえば、はなはだ聞こえはよいが、往々にしてそれは恣意的主観的であった、まったくの公正な議論とはいえない。 (本書119頁) そもそも当時の台官諫官に現在の我々が頭に想い描くところの“公正”という概念や“公正たれ”という倫理規範は存在したのか。私は『国朝諸臣奏議』を通読して、どちらのそれも見いだせなかった。 また、本書には小野和子氏の「明代の党争」も収録されている。出版年から推測されるように、視角も議論も下部構造が上部構造を規定するという大前提枠組のもとにある。つまり社会経済史の変形であって政治史でも政治過程分析でもない。ここに人間はいない。
『ブックレット菜の花17 部落解放史の最前線 啓発・教育の現場と研究をつなぐ』 2017年12月16日 | 数学 服部英雄・寺木伸明・布引敏雄・石瀧豊美著、社団法人福岡県人権研究所編集・発行、2013年2月。 赤根武人の母親(生母、実の母親)は被差別民だったという説が山口市の被差別のなかに以前よりあることを知る。布引敏雄「幕末長州藩の被差別民 『有志』と『力量』」。高杉晋作の有名な赤根に対する罵倒「あに武人がごとき一土民の比ならんや」(天野御民の証言を筆記)も、本来は「土民」ではなかったのではないかとの推測も。本書74-76頁。
歴史学研究会/日本史研究会編 『日本史講座』 4 「中世社会の構造」 2017年12月16日 | 日本史 冒頭「刊行にあたって」に、「〔編集方針〕(1) 社会主義体制の崩壊、市場の暴走、テロや民族紛争・戦争、国際社会の分裂と国際協調の模索、環境破壊など、現代が直面する諸問題の由来を歴史のなかに探ることを通じて、未来に繋がる歴史像の創造をめざす」(iii頁)とある。そして第1章は、「『二〇〇一年九月一一日のニューヨーク等における国際ネットワーク・テロ(所謂「9・11同時多発テロ事件」)は、一大国による世界支配の成立とその意味を問い直させる事件であった」(1頁)と始まる。章名は「『元寇』、倭寇、日本国王」であるにも拘わらずである。中世どころか日本史そのものがおのれ等の主義主張運動のダシであると高らかに宣言しているに等しい。こんな歴史学は衰退したとしても当然であろう。“本気”が感じられないのだから。 (東京大学出版会 2004年9月)
Wikipedia, "Alphabet effect" 2017年12月16日 | 人文科学 https://en.wikipedia.org/wiki/Alphabet_effect Loganの論文を数年前に読んでいて、あとから(つい先ほど)この項がウィキにあることを知った。であるから議論の紹介内容はこれで間違いないことは確認したが、いずれにせよ、表音文字がいかなる機能と過程をもって使用者の抽象的思考や、はてはゼロの発見にまでのeffect効果を生み出すのかの説明も証明もない。ethnocentric以下の批判は尤もである。 「それでもどこか注意すべき議論や洞察があるかもしれないから」とあれこれ検討するいう意見をどこかで見たおぼえがあるが、自論の立証に失敗している議論や論著はそうと分かった時点で一顧の価値なしと捨て去るべきではないのか。それ以上かかずらうのは時間の無駄であろう。このような見地は、目当ての病状には効かない薬を、副次的作用にみるべきものがあるからと服用し続けるようなものである。
コトバンク 「文選読み」 2017年12月15日 | 人文科学 https://kotobank.jp/word/%E6%96%87%E9%81%B8%E8%AA%AD%E3%81%BF-143200 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 文選読み もんぜんよみ 同一の漢語を漢字音と訓 (和語) で2度読む方式をいう。「豺狼 (サイラウ) のおほかみ」「蟋蟀 (シッシュツ) のきりぎりす (現在のこおろぎ) 」などがその例で,上の字音読みが下の訓読みの連体 (ないし連用) 修飾語となる形をとる。もともと平安時代の漢文訓読から起ったもの。古来『文選』を読むときに多く用いられたところからこの名がある。 別のある研究によれば、その出現は平安時代に遡るとする。 この説明からは、如何にあると、何の為にあるは分かるが、なぜに斯くのごとくなったかが判らない。他の説明も同じ。
コトバンク 「和漢混交文」 2017年12月15日 | 人文科学 https://kotobank.jp/word/%E5%92%8C%E6%BC%A2%E6%B7%B7%E4%BA%A4%E6%96%87-153934 「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」の説明。 漢文訓読の際の語法,すなわちいわゆる訓点語には,純粋の和文と異なる特徴が多くみられるが,平安時代になってそれらの要素が,当時の口語に近かった和文のなかに交り合って,和漢混交文が成立した。鎌倉時代以降,当時の俗語なども混入するようになり,特に軍記物語によくみられる。 なるほどそうか。 明治に確立した普通文も,やはり一種の和漢混交文である。 やはりね。 「日本大百科全書(ニッポニカ)」の解説もいい。 平安時代の和文・漢文訓読文の両様の性格を取り入れ、当時の口語や武士詞(ことば)を交えてなったもの。和文のもつ情緒的なやわらかみに、漢文特有の力強さ、明確な論理性等が加味され、〔中略〕平安時代後期に、漢文の色彩の濃い『三宝絵詞(さんぼうえことば)』『打聞集(うちぎきしゅう)』『今昔物語集』のような説話が文章として残され、和文を基調とした『大鏡』などのなかにも漢文の強い影響がみいだされる。これらを経て鎌倉時代の和漢混交文はできあがっている。鎌倉時代以降は、和漢混交文が文章の主流となり、〔中略〕江戸時代の国学者たちの記した、いわゆる擬古文(ぎこぶん)においても和漢混交文から影響されたものは大きい。[山口明穂] いうまでもないが、どちらについてもすべての論点に賛同するわけではない。
『植村正久と其の時代』 2017年12月15日 | 宗教 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E6%9D%91%E6%AD%A3%E4%B9%85%E3%81%A8%E5%85%B6%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3 第4巻に明治初年の聖書の日本語翻訳についての記述と資料紹介がある。植村はこの明治元訳に携わり、のち大正改訳を提起・参画するのだが、その提起の議論(とりわけ改訳の理由)が、案外保守的であると思える。とりあえずの備忘。
フロイトの精神分析理論を、・・・ 2017年12月15日 | 思考の断片 フロイトの精神分析理論を、最新のニューロサイエンスの成果をもってその正しさを証明しようとする著作を目にした。努力の方向が違うような気がするが、どうなのだろう。たとえば董仲舒の天人相関説も、やりようによっては現代物理学やその他諸科学でかなりの程度補強できるのではないかと思えるからだ。
遠藤光暁 『漢語方言論稿』 2017年12月14日 | 地域研究 著者は1958年生まれだそうだ。もっと年上の方かと思っていた。橋本萬太郎氏のこと、『橋本萬太郎著作集』のことなど記した文章がある。 (好文出版 2001年6月)