書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

朱慶之編 『仏教漢語研究』

2017年06月29日 | 人文科学
 書肆による紹介

 「代前言:仏教混合漢語初論 (朱慶之)」で、仏教漢文がそれまでの文言文と異る点の一つとして、“受動態(被動句)が多用されるようになったこと”と、さらに“「是」を動詞(繋辞)として使う判断句(「AはBである」構文)が、口語の範囲から溢出して文語の世界に出現したこと”が挙げられている。同書16-17頁。

(商務印書館 2009年6月)

谷川理宣  「『大無量寿経』と中国思想 翻訳語を通して」

2017年06月24日 | 東洋史
『印度学仏教学研究』38-2、1990年3月掲載、同誌230-236頁。

 「格義」それ自体は、どの言語のどの外国語翻訳の際にも起こる、いわばテクニカルな現象であり話柄にすぎないが、この論文は、中国の“格義仏教”の本当の意味と、それが中国仏教史上また宗教・哲学・思想史上において持った意義について、“格義”、“格義仏教”といった概念や用語を全く使うことなく(正確には最後に「格義仏教(中国独自の仏教)」と1度だけ名が挙がる)、解き明かしている。量的には小編だが、問題の核心を一挙に指し示す大論考と謂うべし。

陳鋭/高袁 「素朴的技巧:《法律答問》中的法律解釈方法」―法学在線 北大法律信息網

2017年06月16日 | 東洋史
 原題:素朴的技巧:《法律答问》中的法律解释方法 -陈锐 高袁 - 法学在线 - 北大法律信息网
 http://article.chinalawinfo.com/ArticleHtml/Article_70181.shtml

 私が『法律答問』を読んでこの史料の内容的な特徴のひとつとして認識したことを、同じようにそれとして指摘してある(「1.语词定义」)。これをどう評価するかはべつとして、そういう事実を事実として共有する視角は私以外にもあるわけだ。そして教えられたのはここのみに止まらない。

高崎直道/木村清孝編 『シリーズ・東アジア仏教』 5 「東アジア社会と仏教文化」

2017年06月16日 | 地域研究
 中国人は原典あるいは原意に即してその教理を理解するのではなく、インド仏教思想とは思想類型のまったく異なる中国独自の伝統思想に基づき、あるいは中国古典との類比によって理解しようと試みた。あるいはそれが必然であった。このような解釈法を「格義」といい、それに基づいた仏教を格義仏教という。 (丘山新「序章・漢訳仏典と漢字文化圏――翻訳文化論」 本書24頁)

 中国の場合に限らず、外来の思想・宗教あるいは広く文化一般に接し、受容する際には、自国の伝統的文化に基づいて解釈し受容することは必然の道である。白地の布が染料に染められていくのとは異なり、受容する側にはすでにその国・民族の色彩がある。そしてそこには常にその国・民族独自の受容の仕方があるのである。中国の場合、仏教を受容するにあたり、翻訳にせよ、インド仏教の教理解釈にせよ、あるいはさらに自己の教理構築にせよ、明白な漢字文化・中国文化意識に基づき、それに引き寄せ、あくまでのその土台の上で解釈し受容する、と要約されるようなきわめて独自の特色があきらかであることは、不十分にせよこれまでの論述から理解されたであろう。 (丘山新「序章・漢訳仏典と漢字文化圏――翻訳文化論」 本書31頁)

 “外来の思想・宗教あるいは広く文化一般に接し、受容する際には、自国の伝統的文化に基づいて解釈し受容する”ことが“中国の場合に限らず”なのであれば、その中国が、“仏教を受容するにあたり”、“明白な漢字文化・中国文化意識に基づき、それに引き寄せ、あくまでのその土台の上で解釈し受容”したこともまた、“独自の特色”とはいえないのではないか。

(春秋社 1996年2月)

George Lakoff and Mark Johnsen, "Metaphors we live by"

2017年06月16日 | 抜き書き

  We saw in the ARGUMENT IS WAR metaphor that expressions from the vocabulary of war, e.g., attack a position, indefensible, strategy, new line of attack, win, gain ground, etc., form a systematic way of talking about the battling aspects of arguing. It is no accident that these expressions mean what they mean when we use them to talk about arguments. A portion of the conceptual network of battle partially characterizes the concept of an argument, and the language follows suit. Since metaphorical expressions in our language are tied to metaphorical concepts in a systematic way, we can use metaphorical linguistic expressions to study the nature of metaphorical concepts and to gain an understanding of the metaphorical nature of our activities. ('2. The Systematicity of Metaphorical Concepts', p. 7)

  The weak homonymy position would deny that we understand the abstract in terms of the concrete or that we understand concepts of one kind in terms of another kind at all. It claims only that we can perceive similarities between various concepts and that such similarities will account for the use of the same words for the concepts. ('18. Some Consequences for Theories of Conceptual Structure,' p. 112)

(London: The university of Chicago press, 1980)

ツイッター 「上海吳越語bot‏ @zaonhae_bot」 “ 亂七八糟!(ルゥーチェパッツォー!)”

2017年06月16日 | 人文科学
亂七八糟!(ルゥーチェパッツォー!)

 訳:めちゃくちゃ!


 この「亂七八糟」という言葉、『漢典』をみると『二十年目睹之怪現狀』が例文になっている(『國語辭典』)。この小説は旧白話で書かれているがここは上海語由来の語彙を取り入れたということだろうか。それとも旧白話の語彙が現在の上海語に入ったものか。
 七と八にそれが示す数字以上の意味(たくさん)を持たせるのは上海語の生理か、それとも旧白話か。

中村明 『日本語レトリックの体系』

2017年06月16日 | 人文科学
 出版社による紹介

 まさしくタイトルどおり、日本語のレトリックについての論著書である。なんとなれば例文はすべて日本語である。珍しい、いな素晴らしい。

(岩波書店 1991年3月)

傅剛 『魏晋南北朝詩歌史論』―百度百科

2017年06月16日 | 人文科学
 原題:傅刚『魏晋南北朝诗歌史论』

 該書を大学図書館相互貸借サービスで他大学から借りて読んだ(吉林教育出版社 1995年2月)。「总序」(张松如)の「中国封建社会の文学は云々」でもう駄目だと思ったが、本文を読んでもっとだめだと思ったのは、文体論あるいは作品評価の土台になる審美観が、当時(すなわち史料に書かれているところ)の、また筆者個人の、主観的なそれで、読者を論理的に説得できる客観的な標準や、万人を納得させかつまた容れられやすいであろう定量分析的な発想と方法論とがそこにはまったく示されていないことだった。まさに情意文の集まりである。

顧炎武 『日知錄』 卷19 「文須有益於天下」

2017年06月16日 | 人文科学
 テキストは维基文库から。

  文之不可絕於天地間者,曰明道也,紀政事也,察民隱也,樂道人之善也。若此者有益於天下,有益於將來,多一篇,多一篇之益矣。若夫怪力亂神之事,無稽之言,剿襲之說,諛佞之文,若此者,有損於己,無益於人,多一篇,多一篇之損矣。

 きついことを言う。無知による迷信の言、無責任な嘘や面白半分のでたらめ、他人の言説著作の剽窃、算盤づくあるいは腹に一物あっての提灯記事などは文としてことごとく認めないと。

刑部芳則編 『明治をつくった人びと 宮内庁三の丸尚蔵館所蔵写真』

2017年06月02日 | 日本史
 出版社による紹介

 見知っていた人、初めてその姿かたちを知る人、まったく見ず知らずの人、それぞれ、いろいろ。

(吉川弘文館 2017年4月)