書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

劉暁波著 劉燕子編訳 『天安門事件から「08憲章」へ 中国民主化のための闘いと希望』

2011年02月28日 | 政治
 翻訳は、 劉燕子、横澤泰夫、及川淳子、蒋海波各氏の分担。
 著者の文集(詩を含む)。読後感だが、同じ著者の『現代中国知識人批判』(野沢俊敬訳)と比べると、別人の観がある。個人的には、中江兆民が井上毅に変わったくらいの違和感を覚える。その理由としては、訳者の文体の違いもあるが、より大きくは、編集方針の違いによるものだろう。文章の取捨選択の基準の差がでたのではなかろうか。アンソロジーというものはすべからく編者の主観のフィルターを一度濾過することになるので、こういうことがまま起こりやすいかと思える。
 
(藤原書店 2009年12月)

「高学歴の人ほど血圧が低い、米研究」 から

2011年02月28日 | 抜き書き
▲「AFPBB News」2011年02月28日 14:41、発信地:ワシントンD.C./米国。(部分)
 〈http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2788088/6887583

 米ブラウン大学(Brown University)のエリック・ラウクス(Eric Loucks)准教授(公衆衛生)は、循環器疾患の大規模疫学調査フラミンガム(Framingham)研究のフラミンガム第2世代コホート(Framingham Offspring Study)登録者から抽出した約4000人のデータを分析した。
 その結果、17年以上の教育を受けた女性(すなわち、修士号または博士号を取得した女性)は、高校中退の女性よりも、平均収縮期血圧が3.26mmHg低いことが分かった。男性も、大学院進学者は高校中退者より、平均収縮期血圧が2.26mmHg低かった。
 大学院に進学しなかった大卒者にも、これほど顕著な差はなかったものの、大学に行かなかった人と比べて男女ともに血圧が低い傾向があった。
 喫煙、飲酒、肥満、高血圧治療などの要因を考慮しても、高学歴になるほど血圧が低い傾向には変わりなかったという。


 なんで!?

「回答お礼も試験中、問題文訂正も反映…入試流出」 から

2011年02月28日 | 抜き書き
▲「YOMIURI ONLINE(読売新聞)」2011年2月28日7時23分。(部分)
 〈http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110228-OYT1T00148.htm

 受験をテーマにした人気漫画「ドラゴン桜」の著者、三田紀房さん(53)は、「模試や参考書の問題などを投稿するうちに、本番の試験で試してみたくなったのではないか。貴重な試験時間中にお礼のコメントをしているところを見ると、本当に合格したいのかは疑問だ」と分析する。

 なるほど。ズルではなく欲得ぬきの芸術かスポーツというわけか。(「ゲーム」というとふまじめなニュアンスがくっつくっから言わない。) この見方が当たっているかどうかはまだわからないが、物事をみる上で対象とある程度の距離を置くことを忘れずつねに視野に余裕を持つようこころがけるべきことを教えられる。

桑田佳祐 『MUSICMAN』

2011年02月28日 | 音楽
 予約していたから初回生産限定版だ、ザマミロ(誰に?) 23日に手許に届いてから、聴きたおした。
 たしかに、アマゾンレビューで誰かがいうように、『孤独の太陽』(1994年)や、そして『ROCK AND ROLL HERO』(2002年)に比べると、やや劣るかも知れない。しかしこの比較は、パワーに限っての話である。間口や奥行きの深さ(なんとなく円熟とは言いたくない)を勘定に入れれば、このアルバムはダントツに最高だと、思った。
 DVD所収のPVがどれも素敵。桑田さんはもとより(「それ行けベイビー!! 」!!!、「月光の聖者達」は寒気モノ)、「本当は怖い愛とロマンス」の斎藤誠さんに痺れる、「銀河の星屑」の金原千恵子さんにぞっこん。しかしこのお二人だけでなくて、桑田さんのサポートミュージシャンって、みなさん鮮やかに自己があって、大人で、とても恰好がいいのだ。単に個性があるというだけじゃなくて、一人一人が誇りを持って、くっきりと自立しているところがえもいえず。おなじ目的のもとに集まったプロが、それぞれおのれのもてる技を出し合って、一つの曲を作っている、奏でているという感じ。皆さん桑田さんとのつきあいも長いし。桑田さんというのは、きっと人を引き立てることのうまい、気配りの人なのだろうな。そうそう「君にサヨナラを」のPVで黒タイツで踊っている女の人って(レストランのギャルソン姿の女性も多分そうだけど)、『音楽寅さん』(第二期)のダンサーチームの人だ。こうなるともう、一家(ファミリー〉だね。
 
(ビクターエンタテインメント 2011年2月)

「Why Did Burma's Leader Appear on TV in Women's Clothes?」を読んで

2011年02月27日 | 思考の断片
▲「Time.com」Feb. 24, 2011, by Robert Horn / Bangkok Thursday.
 〈http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2053563,00.html

 「お抱えの占い師がそうしたほうがいいといったから」という答え(真相)にビックリ。占い師(複数)は、ミャンマー=ビルマは将来女によって統治されることになると予言したのだという。だからタン・シュエ国家平和発展評議会議長、上級大将は、女性の穿くサロング(巻きスカート)を着用しているのだと。さらには、アウンサンスーチー女史が迫害されるのも、彼女が民主主義者だからより以前に、予言の言う女性だからであると。ここまで来るとちょっと信じがたくなるが(一般のミャンマー国民も国家元首が女装しているのを理解に苦しんでいる由)、ともあれぜひ一読あれ。

「日本にファシズム化の兆し=若者世代から失われた侵略戦争の罪悪感―中国人研究者」 から

2011年02月27日 | 抜き書き
▲「レコードチャイナ」2011-02-27 14:43:56、翻訳・編集/KT。(部分)
 〈http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=49559〉

 日本の反中感情は、毒ギョーザ問題や中国野菜の残留農薬問題を契機に広がりつつあったところに、尖閣沖中国漁船衝突事故でもう一段階上のステージに達したと馬氏は指摘。ファシズム化の兆候だと指摘した。

 これは知日派が定期的にしなければならないらしいところ反日プレイなのだろうか? あまりにも紋切り型の批判なので本気とは思えない。それとも、この馬挺という日本研究者は、早稲田大学政経学部で講師をしているこの人か、毒餃子事件で悪いのは異物を水際で検査で検出できなかった日本側だと言った? だったら本気かもしれない。

「インド警察当局、カルマパの金銭疑惑を無根とした模様」 から

2011年02月27日 | 抜き書き
▲「ダライ・ラマ法王日本代表部事務所」2011年2月11日 インド ニューデリー 、ニュース元:Associated Press。(部分)
 〈http://www.tibethouse.jp/news_release/2011/110222_karmapa.html

 2011年02月11日「『亡命チベット代表者議会によるカルマパ猊下についての声明』 を読む」より続き。

 先週〔2月第1週〕金曜日、インドの警察当局は、北インドの本拠地で先月135万ドルの現金が発見されたかどで捜査中だった、チベット仏教第三の指導者の嫌疑を晴らした模様。
 プレス・トラスト・オブ・インディア通信社によれば、ヒマチャル・プラデシュ州のラジワント・サンドゥ事務次官は、カルマパ猊下の僧院で捜査中に発見された現金は、信徒からの布施であったと述べた。また同次官は、カルマパ猊下は僧院の財務管理関与しておらず、この金銭の出所とは関わりがないとも述べた。
 同通信社は次官が「カルマパ猊下は敬愛するべき仏教指導者であり、州政府は仏教の宗教領域に干渉する意図はない」と述べたと報道した。サンドゥ次官の直接のコメントは得られなかった。


 一応一件落着のようだ。しばらく考えていたが、結局よく納得がいかない。何か“大人の事情”でもあるのかと疑いたくなる。

「早稲田大入試でも不正か 同じハンドルネームでネットに投稿」 から

2011年02月27日 | 抜き書き
▲「msn 産経ニュース」2011.2.27 13:12。(全)
 〈http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110227/crm11022713140008-n1.htm

 京都大などの入試問題が、試験中にインターネットの質問サイトに投稿された問題で、同じハンドルネームの人物が、早稲田大の入試問題も投稿していた疑いのあることが27日、分かった。
 投稿された疑いがあるのは、2月12日に行われた早稲田大文化構想学部の英語の入試問題で、ハンドルネームは、京都大や同志社大、立教大と同じ「aicezuki」。
 予備校のサイトによると、早大の入試問題は、漫画と小説、映画に関する英語の長文を英語で要約する内容だった。投稿者は自分なりに考えたとみられる日本語での要約を「英訳してください」と投稿していた。


 世に狡い奴の種はつきまじ。少なくともこれは日本では狡いことである。卑怯とも謂う。「途中計算もお願いします」に至っては、何をかいわんや。これを頭がいいと賞賛する文化も余所にはあるが、ここは日本だ。
 解決法。いっそのこと、辞書参考書文献持ち込み可の超難問ばかりにしてしまえばどうか。学問ばかりでなく、世間の仕事でもそれが常態なのだから。必要なツールをただしく選択し、さらにそれを使いこなせるかどうかも、能力(脳力)のうちだ。

「犬大将 つれづれ」「2011/02/26 土」 を読んで

2011年02月27日 | 思考の断片
 〈http://inudaisho.sakura.ne.jp/kousin.htm

 数年前に、中国中央電視台他制作による中国の世界遺産紹介ドキュメンタリー番組の脚本(DVD版、一本約45分、全40本弱)を日本語と英語に翻訳する仕事をやった。多いときは週に二本で、翻訳完了と同時に返却しなければならない(もちろん複製不可)のマスターDVDを繰り替えし見ながら、変更が多くてあまり役に立たない元台本と照らし合わせて訳を作っていくのだった。ずいぶんきつい仕事だったが、日本に居ながら中国各地の風物を目の当たりにすることができ、中国の人文地理をはじめとする事象一般に関する視覚的な知識が増えて、ずいぶんその後中国を理解しようとするうえでさまざま役に立ったような気がする。中国全土を、観光旅行レベルぐらいには、あらあらに回遊した経験にほぼ等しかろう。
 途中、台本の理解と翻訳に誤り無きを期すため、ずいぶん勉強をやり直した。その結果、自分の中国知識がいかに穴だらけで偏頗――変な言い方だが中央中心――であるかもよく分かった。
 それはさておき、シリーズの中に、麗江古城と三江併流があった。これらの地域は雲南省の北部、西北部にあって、このブログの著者氏が現在おられる南部(それもベトナム・ラオスに近い国境地帯)ではない。民族も、上記2地方はイ族やナシ族およびその一派とされるモソ族などで、加えて後者にになるとチベット族をはじめ、ヌー族、リス族など、更に多様になる(漢族は言うまでもない)。ハニ族主体のこの辺りとは異なっている。毎日興味津々で拝見している。

 いわゆる民族衣装、実際に着て野良仕事とかしてるから不思議だ。不便じゃないんだろうか。まぁ着てるの女性ばかりだが。

 麗江や三江併流地帯でも、くだんのドキュメンタリーでは、町の風景の画では男は所謂“西式”の恰好の人が多いのに対し(人民服の人もちらほらいた。2000年代半ばの撮影のはずである)、女性はほとんど伝統的な民族衣装を着ていた。カメラが訪れた家の中でも、仕事――家事はもちろん紡績や伝統手芸の家内での作業――中はもちろん、家外の農作業においてもたしか着用していた。麗江周辺はとくに観光化が進んでいるようだから、観光プロモーションビデオの意味あいもあるこのシリーズでは、これは演出だろう(たとえばモデル家庭とか民族村のようなものとか)と思ったりしていたのだが、「つれづれ」氏の話を聞いて見方が揺らいだ。違ったのだろうか。

 建水から紅河まで降りて、そこから山を上がった向こうのあたりに元陽があるが、その辺りから先はずっと棚田地帯だった。元陽のあたりは規模の大きさで有名らしいんだが、これ、大躍進とか文革とかと関係ないんだろうか。どうみても度を越している。

 おしなべて雲南は棚田(梯田)地帯であるが、「百度百科」などを見る限り、これは漢族発祥のものではなく、少なくとも元陽一帯のそれは、ハニ族が創めた耕作方法らしい。現代のハニ族に直接つながる ethnic group の原型ができあがるのは大体1,000年くらい前だとされているようであるけれども、棚田の由来はつまびらかにしない。しかし、大躍進や文革の過程で、そのありかたが拡充強化されたことは大いにあり得るし、いまは観光資源として、民族の伝統としてさらに強調されているところがあるかもしれない。

「『誰も殺されない国になって』日本のリビア人留学生」 を読んで

2011年02月26日 | 思考の断片
▲「asahi.com」2011年2月26日14時2分。(部分)
 〈http://www.asahi.com/national/update/0225/TKY201102250241.html

 モフセンさんは、報道が統制されている母国に暮らす家族らに、電話などでリビアの情報を伝えている。「誰も殺されることのない国になってほしい。報道が真実を伝える国になってほしい」

 田村由美『BASARA』に、「誰も殺されない国」という言葉があった。そういえば、カダフィ大佐は鬱金王に似ているな。「我が世(私の国)」と言うところ