http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011072803810.html
書評された本の表紙の写真にあるように、この日本語訳はベトナム語原書とともに、英訳をテキストに用いている。その比較の過程で、英訳版に「かなり重大な誤訳と省略部分」「ミス」がある事実を、訳者井上氏は末尾の「解説」で報告する。だが氏が証拠としてあげるいくつかの実例を見る私の目には、誤訳やミスどころか、これはなんらかの理由にもとづく意図的な改変なのではないかとさえ思える、いわば“ひどさ”なのであった。
それはさておき、その井上氏は、このこととともに、英訳本の「下訳」では某日本人女性〔名前が挙げられている〕の、「原作との照合」で東大留学中の某ベトナム人女性〔同上〕の、それぞれ「協力を得た」と、記されている。では氏御本人はこの翻訳において何をなされたのだろうか。
12月6日追記。
氏は、もちろん「解説」を書かれている。それも入念で力の籠もった内容であり、作品の紹介と同時に――言うなればそれの必然として――ベトナムという国家について、目配りとメリハリとのじつに効いた、同国現代史の周到かつ明快な概説ともなっている。
書評された本の表紙の写真にあるように、この日本語訳はベトナム語原書とともに、英訳をテキストに用いている。その比較の過程で、英訳版に「かなり重大な誤訳と省略部分」「ミス」がある事実を、訳者井上氏は末尾の「解説」で報告する。だが氏が証拠としてあげるいくつかの実例を見る私の目には、誤訳やミスどころか、これはなんらかの理由にもとづく意図的な改変なのではないかとさえ思える、いわば“ひどさ”なのであった。
それはさておき、その井上氏は、このこととともに、英訳本の「下訳」では某日本人女性〔名前が挙げられている〕の、「原作との照合」で東大留学中の某ベトナム人女性〔同上〕の、それぞれ「協力を得た」と、記されている。では氏御本人はこの翻訳において何をなされたのだろうか。
12月6日追記。
氏は、もちろん「解説」を書かれている。それも入念で力の籠もった内容であり、作品の紹介と同時に――言うなればそれの必然として――ベトナムという国家について、目配りとメリハリとのじつに効いた、同国現代史の周到かつ明快な概説ともなっている。