書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「大統領制はさらなる事態の混乱を引き起こすだけ ローザ・オトゥンバエヴァ氏」

2011年08月31日 | 地域研究
▲「ИТАР-ТАСС」17:14 30/08/2011、「В Киргизии возврат к президентской модели правления обернется хаосом, считает Роза Отунбаева」
 〈http://www.itar-tass.com/c13/214700.html

 キルギスの将来のためには議院内閣制のほうがいいと言っている。
 10月からのキルギス行きは、延期した。優先順位を入れ替えて、他の場所へ先に行くことにした。現地との連絡がまったくうまくいかない。宿舎の予約すら確認できない。独立20周年(今日)の準備で国挙げてそれどころではなかったのかもしれないが。それとは関係はないとは思うが、一昨日あたりから、中国との国境が閉鎖されている(中国側から)というし、なんとなく行く気が失せた。“大きな話”は、現地へ行かなくても、報道で十分追えるから。
 今度、あらためて行くときは、学者やおえらいさん連とは関係なく、一介の異邦人の長期滞在者として、土地の人々のなかで暮らしてみたい。西トルキスタンという土地は、私にとってはそういう興味と関心がある。いわゆる土地勘というやつ。むろん、キルギス語をはじめとするテュルク諸語を学んで。

「全公演完売でも100万ドルの損!?」(上)(中)(下)

2011年08月31日 | 地域研究
▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2011/08/31 15:00:41、ニューヨーク=キム・ギョンウン記者。
 〈http://www.chosunonline.com/news/20110831000064
 〈http://www.chosunonline.com/news/20110831000065
 〈http://www.chosunonline.com/news/20110831000066

 米国のそれもニューヨークでやるとは。リンカーンを殺したジョン・ウィルクス・ブースを、北部でヒーローと讃えるようなものだが、いいのかな。
 そして、安重根を国家の英雄として讃えることは、本当に韓国と韓国国民のためになるのか。伊藤博文を殺したことで、状況は何が良くなったのか? 本当に、彼は結果として、韓民族のヒーローたり得るのか?
 ともあれ、この記事の対象であるユン・ホジン氏なる人物も、その記事を書いて氏を賞賛したキム・ギョンウン記者も、この記事をトップニュースに据えた「朝鮮日報」の編集部も、すべて正気でないことがわかった。いいか、何度でも言うが、安重根は、人ごろしなんだぞ。人を殺すのが慕うべき英雄の尊敬すべき所業か。まったく狂っている。中国の「環球網」などはしょせんは商売の反日愛国無罪だが(だから世間とお上の風向きを見て適当なところで翻身する)、しかし、「朝鮮日報」(三大紙すべて)はどうも本気の狂気のようだから(いつまでも言っている)、恐ろしい。

「中国に超大国の資質はない、アメリカに取って代わるなど夢物語だ―カナダ紙」

2011年08月31日 | 地域研究
▲「レコードチャイナ」2011-08-31 14:57:01、翻訳・編集/岡田。
 〈http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=53972

 2011年8月27日、カナダのナショナルポスト紙は、中国がいずれ米国に取って代わり世界唯一の超大国になるという見方について、「荒唐無稽な夢物語でしかない」との記事を掲載した。中国には超大国になる“資質”が欠けていると指摘している。28日付で環球網が伝えた。

 米国は多くの資質を持っていたが、中国はそうした意識すらないため、米国は中国に取って代わられる心配などする必要はない、と記事は指摘している。


 そのとおりです。すくなくとも100年以上は。ただそのあいだ、米国は、中国の嘘と騙しに気を付けた方がいい。盗まれる。
 「環球網」がどういうつもりでこの記事を紹介したのか知らないが、たぶん、たんに反米(反西側)感情を煽るためだろう。けしからんと。その程度のところだから。あそこは、自らを顧みる能力のない、そして乗せられやすい人間をターゲット(喰い物)にした売文発財メディアである。

水谷尚子 「新疆消息」 を見て

2011年08月31日 | 地域研究
 〈http://twitter.com/#!/NAOKO_MIZUTANI_

 先月の『週刊新潮』櫻井よしこ氏の記事について、心を痛めてる。離婚したトフティ氏(ウイグル人元政治犯)の妻への中傷。彼女が新潮と櫻井氏に抗議したにも拘わらず、謝罪掲載はなかった。さらに昨日付で櫻井氏のHPに、英文でトフティ元夫人の近況が載った。彼女は掲載許可はしてないと言っている。(本日)

 もしこれが事実であるなら、大問題だ。真相の究明を望む。

 櫻井氏に嘘(彼女が中共のスパイだと)を述べたウイグル人。そしてそれを検証無く掲載した出版側。何も反論できない北京にいる元夫。トフティ氏が若い女性と暮らしているとの噂は真赤な嘘。彼は監獄での暮らしで体調をこわし、車いす生活。いったい誰が、誰得で、ゲスなデマを流すのだろう。(本日)

 この問題に関わってから、こうしたつまらない中傷合戦にばかり発展するのはなぜなのか、私には理解できない。(本日)

 本当に。それこそ中国側のスパイが攪乱のために活動しているのかもしれないが。
 ところで、一学究が、この水谷氏のツイッターにコメントを寄せて御自身のツイッターでの発言をリツイートされているが(以下引用)、

 〔略〕中国政府も在外ウイグル人の政治運動家たちも「そこそこ」歴史を歪曲している。それを悪いとは言わない(だって政治ってそういうものでしょ)。(8月11日)

 学問のテーマとして取り上げた対象そのものが本来政治と密接にからみあったような代物であったとき(近現代のウイグル史がまさにそうだし、中国史だって丸ごとそうだ)、そんな乙にすましていられるであろう耶。あなたのご専門はウイグルはウイグルでも近代以前に言語と、どちらかといえば“考証学派”のお方とお見受けしたが。

「これなら菅が何百倍もまともだ! 野田? まあ、海江田より若干マシだけどなw【一部差し替え】」 を見て

2011年08月31日 | 政治
▲「むじな@台湾よろず批評ブログ」2011-08-29 18:31:00、むじな(本人)氏のコメント(2011-08-30 19:07:04)から
 〈http://blog.goo.ne.jp/mujinatw/e/f5f8180f33f0d0b993b80a5fe7dd7aa2

 日本にとって根源的で本質的な敵国は中国だけ。/韓国は米韓同盟の相手だし、自由国家の友邦。北朝鮮も将来的には日本に引きずり込むべき懐柔の対象。/敵は少ないほど良い。中国は日本にとって不倶戴天の敵だが、朝鮮はもともと植民地だったこともあるんだし、敵ではないぞ。

 他のエントリーを見る限り、氏の観点からは、米国も日本の敵であるが、中国とは違い、“根元的”and/or “本質的”ではないということだろう。それはさておき、政治からずれば、「敵の敵は味方」および「敵の数をできるだけ少なくする」というのは、最善の戦術だろう。中国を不倶戴天の敵としてそれに対抗する――はっきりいえば勝利する――という、明確に確立された戦略のもとでは。
 私もそれはそうだろうと思う。“自覚せずに世界征服を狙う肝心なところは古代中世そのままの国家中国”というのが、私の中国観であるから。長期的スパンは別として、短期的(多分数十年、もしかしたら100年)には、封じ込め政策と関与政策を併用しないと(それも前者を主調に)、危ないというのが私の観点である。 
 一度は“帝国”として世界を征服したといっていい米国も、かなりひどいことを各地でやっているが、もし、いまのままの中国が米国と同じ地位にたったら(たとえそれが米国と二分した世界の半分であっても)、その“帝国”いや“天下”においては、周辺部にいくほどその程度は緩くなるだろうが、近接する国と国民は、いまのウイグル人、チベット人、あるいは内モンゴル人のような目に遭うことになるのは、かなり確率がたかい。
 ただ、「敵の敵は味方」だから欠点や悪事には目をつぶって――あるいは最初から相手のことをろくに知ろうともしないで――持ち上げるというのであれば、私はついて行けない。念のために言っておくがむじな氏がそうだと言っているのではない。そういう行き方をする種類の“政治的”人間一般は、ということ。

「China Steps Up Suppression of Uyghur」 から 

2011年08月30日 | 抜き書き
▲「櫻井よしこ」2011年08月30日。(部分)
 〈http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2011/08/30/china-steps-up-suppression-of-uyghur/

   “For reasons that completely baffled me, rumors had it that I had left him and got remarried in Japan without waiting for his return. But that was not true. I had waited for his return for a long time while raising our two children in Japan. But when we finally managed to talk on the phone after he had finally come out of jail, what he told me was just astounding. As a matter of fact, it was February 13, 2009 – exactly three days after his release. His first words over the phone were, ‘You may get remarried now.’ He told me, ‘You can send me a postcard and let me know you’re remarried.’”
   Rebiye started crying. But in the back of her mind was the thought that it would be quite difficult for her husband to return to Japan anytime soon, even after serving out his sentence. At the same time, she knew it would be equally difficult for her to be permitted back into China, now that she had steadfastly criticized the Chinese government while continuing to plead her husband’s innocence to the international community. Weighing her husband’s words against the complicated situations they were both facing, and after much soul searching, Rebiye says she eventually decided to be remarried to a man she thought was trustworthy.


 ふーん、そうなのか?

羽地朝秀(向象賢)ほか編 『中山世鑑』

2011年08月30日 | 地域研究
 〈http://manwe.lib.u-ryukyu.ac.jp/cgi-bin/disp-img.cgi?file=iha0230
 
 沖縄(琉球王国)の代表的な史書の一『中山世譜』と同じく、年代の書き方を確かめる。
 
 序(漢文)は「慶安庚寅大呂吉旦」という年紀の書き方である。つまり日本の年号+干支。慶安庚寅とは慶安三年(1650〉年のこと。あと、吉旦(吉日)はともかく、大呂は中国式の十二月(陰暦)を指す言葉である。漢文なのに「慶安」を使っていることはべつとして(あとで述べるが日本向けだからか?)、書き方そのものがなにかおかしい気がする。私は日本の古文書の年代の書き方に暗いのだけれど、これは通常の表記法なのかどうか。ちなみに巻末の年号表記は、この版〈写本)だけのことなのかもしれないが、「大清嘉慶二十一年丙子年十一月吉日」になっている(『中山世鑑』の成立は清の順治七年)。
 本文(和文)については、日本の元号と中国の元号(+干支)を併用。日本に関する出来事には日本のそれを使い、中国と琉球に関する出来事の記述には中国の年号を使用している。つまり大部分が中国の年号ということだ。
 編者の羽地朝秀は、血統的にはたしかに日琉同祖論者だった(この書では王家に関してのみ)かもしれないが、正統論では、沖縄(の君主)は中国に朝貢しその皇帝の冊封を受けて王となり、その頒かつ正朔を奉じる、属国(朝貢国)であると言う立場を明確にしていた。

 この書は和文(日本語)で書かれている。当然、日本人(直接的には薩摩人)の目に触れることを念頭において書かれたであろう。当時の日本の知識人なら、一読してこの書の(つまり羽地とそれを裁可した琉球王朝の)スタンスはすぐにわかったはずである。それとも薩摩藩の異国貿易や幕府による日本支配の必要上、実質さえ押さえておけば、琉球の「異国化」は、日本側にとっても歓迎すべきことだったのだろうか。