書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

今週のコメントしない本

2006年04月29日 | 
 今週は、昨日金曜日の『外務省の百年』下と、下の②の『日米交換船』で、時間を食いました。

①感想を書くには目下こちらの知識と能力が不足している本
  該当作なし

②読んですぐ感想をまとめようとすべきでないと思える本
  鶴見俊輔/加藤典洋/黒川創 『日米交換船』 (新潮社 2006年3月)

③面白すぎて冷静な感想をまとめられない本
  西村ヒロシ原作 かわすみひろし漫画 『大使閣下の料理人』 18・19 (講談社 2003年12月ほか)
  
④参考文献なのでとくに感想はない本
  武田清子 『天皇観の相剋 1945年前後』 (岩波書店岩波現代文庫版 2001年11月)

  井出敬二 『中国のマスコミとの付き合い方 現役外交官第一線からの報告』 (日本僑報社 2005年12月)
  古森義久 『亡国の日本大使館』 (小学館 2002年8月) 

  木村毅 『文明開化』 (至文堂 1955年9月再版)
  市井三郎 『思想からみた明治維新 「明治維新」の哲学』 (講談社学術文庫版 2004年2月)
  伊藤整ほか編 『日本現代文学全集』 3 「政治小説集」 (講談社 1965年12月)

  田中直毅 『二〇〇五年体制の誕生 新しい日本が始まる』 (日本経済新聞社 2005年11月)

  大隈秀夫 『マスコミ帝王 裸の大宅壮一』 (三省堂 1996年11月)
 
⑤ただただ楽しんで読んだ本
  西村ヒロシ原作 かわすみひろし漫画 『大使閣下の料理人』 20・21 (講談社 2004年8月ほか)

  司馬遼太郎著者代表 関川夏央監修 『司馬遼太郎対話選集』 1 「この国のはじまりについて」 (文藝春秋 2002年11月) 

  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著 西村醇子訳 『魔法使いハウルと火の悪魔』 (徳間書店 2002年12月13刷)

 では来週。
 あ、それから、スタジオジブリの映画(正確には宮崎駿監督作品)で私が一番好きなのは、『ハウルの動く城』(2004年)です。

外務省百年史編纂委員会編 『外務省の百年』 下

2006年04月28日 | 日本史
 3月25日「今週のコメントしない本」①の上巻の続き。
 昭和15(1940)年7月23日、新外相松岡洋右は、外務省において省員に対し就任挨拶を行った。本書13頁から15頁にその内容(速記録か)が引用されている。松岡という人物は異常としか思えない、それほど常軌を逸した内容である。
 (ここに書き写すのは止めておく。煩を厭うわけではなく、こちらの頭までおかしくなりそうだからである。)
 昭和前期の日本陸軍は、“力が正義”、“強者の意向がすなわち法”の立場を、すこしも飾らず押し出してくるところ、驚嘆するほかない露骨さである。軍国主義とはかくありたしと、いっそのこと讃えたくなるほどだ。

(原書房 1979年10月再版)

日木流奈 『ひとが否定されないルール 妹ソマにのこしたい世界』

2006年04月26日 | その他
 なにしろ今頃読んでいるような有様だから、これは本心から事情通にたずねたいのだが、“著者”をめぐる様々な疑惑は、どうなったのか。
 副題の“妹ソマ”は結局、“娘ソマ”だったのか、あるいはやはりそうではなかったのか。

★参考にしたサイト。
 あいふる「トピック19 NHKスペシャル『奇跡の詩人』~日木流奈くんについて~」
 →http://hp1.cyberstation.ne.jp/negi/DEMO/topic/t019.htm

(講談社 2002年6月第5刷)

マークス寿子 『ひ弱な男とフワフワした女の国日本』

2006年04月26日 | その他
“大量消費を目的とする品物のなかには、ほんとうの贅沢品はない” (「2 中流意識と見せかけの豊かさ」 本書45頁)

 当たり前でしょう。
 つまりこの本は、この当たり前のことも分からないほど愚かな者か、あるいは分かってはいるのだが有名人や地位肩書きのある人間によるお墨付きがないと自信が持てない権威主義者を、ターゲットにしているということだ。

(草思社 1997年10月第12刷)

▲韓国の竹島(独島)を自国領土と主張する根拠は、1952年の李承晩ラインのはずである。その李承晩ラインによれば、対馬も韓国領である。それではなぜ竹島同様、対馬にも軍隊を送って占拠しないのか。筋の通らないことをする。一刻も早く実効支配すればよかろう。

松本清張 『昭和史発掘』 2

2006年04月25日 | 日本史
 第2巻に収録されているのは、
 「芥川龍之介の死」
 「北原二等卒の直訴」
 「三・一五共産党検挙」
の三本。
 「三・一五共産党検挙」では依拠した共産党関係者の証言内容についての検証が甘いことに失望。「北原二兵卒の直訴」では、1927(昭和2)年の名古屋陸軍大演習直訴事件前後における北原泰作(1906-1981)を完全無欠のあたかも英雄のように描く一方、戦中・戦後の北原に全く触れないのが不満、というより不審。さらには当時の時代背景の説明部分で、「田中メモランダム」が、何の疑いもなく本物扱いされていることに驚愕。
 よほど気負って全12巻完全読破に挑戦したのだが、それほどの相手ではなかったのかもしれない。案外薄手のようでもある。

(文藝春秋文春文庫版 1978年8月第2刷)

伊藤整ほか編 『日本現代文学全集』 2 「福澤諭吉・中江兆民・岡倉天心・徳富蘇峰・三宅雪嶺集」

2006年04月25日 | 人文科学
 この巻は再読。
 それにしても、巻末、柳田泉の「作品解説」と「福澤諭吉・中江兆民・岡倉天心・徳富蘇峰・三宅雪嶺 入門」は、行き届いて間然するところのない、とてもいい出来の、凄い文章である。

(講談社 1969年2月)

今週のコメントしない本

2006年04月22日 | 
 模様替えして2回目です。
 使い勝手がよくなったところは、たしかにあります。目下、手当たり次第の乱読期に入っているので、とりあえず読み通したものの、感想を書くほどまでの感興がさしあたり湧いてこない書籍は、「④参考文献なのでとくに感想はない本」に放り込んでおけばいい。

①感想を書くには目下こちらの知識と能力が不足している本
  朝日新聞社編 『日本科学技術史』 (朝日新聞社 1962年3月)

  反核研究会 『亀裂 反核運動シンドローム』 (日中出版 1986年7月)

②読んですぐ感想をまとめようとすべきでないと思える本
  鶴見俊輔編 『語りつぐ戦後史』 3 (思想の科学社 1970年8月)

  山田寛 『カンボジア現代史25年』 (日中出版 1998年6月)

③面白すぎて冷静な感想をまとめられない本
  秦郁彦 『昭和史を縦走する』 (グラフ社 1984年8月) (再読)
  秦郁彦 『現代史の争点』 (文藝春秋 1998年5月) (再読)
  秦郁彦 『現代史の対決』 (文藝春秋 2003年1月) (再読)

  思想の科学研究会編 『共同研究 明治維新』 (徳間書店 1968年9月3刷)

④参考文献なのでとくに感想はない本
 谷沢永一/渡部昇一 『拝啓 韓国、中国、ロシア、アメリカ合衆国 殿 日本に「戦争責任」なし』 (光文社 1997年11月)  
 井沢元彦/金文学 『逆検定 中国国定教科書 中国人に教えてあげたい本当の中国史』 (祥伝社 2005年9月)
 朱建栄 『胡錦濤 対日戦略の本音 ナショナリズムの苦悩』 (角川学芸出版 2005年10月)

 田口卯吉 『日本開化小史』 (講談社 1981年11月)
 金井圓 『お雇い外国人』 17 「人文科学」 (鹿島出版会 1976年11月)
 長谷川如是閑 『ある心の自叙伝』 (日本図書センター版 1997年12月)

⑤ただただ楽しんで読んだ本
 林鐘国著 朴海錫/姜徳相訳 『ソウル城下に漢江は流れる 朝鮮風俗史夜話』 (平凡社 1987年1月)

 羅信耀著 藤井省三ほか訳 『北京風俗大全 城壁と胡同の市民生活誌』 (平凡社 1988年4月)

 鶴見俊輔 『誤解する権利 日本映画を見る』 (筑摩書房 1959年12月)

 板倉聖宣 『未来の科学教育』 (国土社 1990年9月)

 しばらくこの調子で飛ばします。
 ではまた来週。

▲「毎日新聞」2006年4月22日、「竹島問題:日韓交渉妥結 海洋調査中止、韓国名提起せず」→http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060423k0000m010088000c.html

 国民国家の政府というものは大なり小なり、外国と一朝事あれば、最初からこのあたりで収めるつもりであっても、国民の愛国感情に配慮して「一戦も辞さず」という類の勇ましい見得を切って見せねばならないのであろう。
 この点やや特殊な、戦後日本という国で生まれ育った者としては、それは解るが、「こんな泥臭い田舎芝居につきあってなどいられるか」と思ってしまうのである。マッチポンプの仕組みがあまりに見え透いている。
 さらにいえば、まったく下らないとさえ思うのである。「愛国」とは「外国と争って勝つこと」という発想の貧弱さが何より下らなくて、とても我慢できない。

伊藤整ほか編 『日本現代文学全集』 1 「明治初期文学集」

2006年04月21日 | 文学
 これも最初から読んだほうがよろしいか? 100巻以上あるのだが・・・・・・。

 収録作品:
  仮名垣魯文「安愚楽鍋」
  成島柳北「柳橋新誌」
  服部撫松「東京新繁盛記」
  岡本勘造「夜嵐阿衣花迺仇夢」
  彩霞園柳香「蓆籏群馬嘶」
  三遊亭円朝「牡丹灯籠」
  河竹黙阿弥「島鵆月白浪」

 感想:
 「安愚楽鍋」は、筆者の主観をまったく交えず、世相を写真のように写し取った、究極のルポルタージュである。その一方で、かの有名な「柳橋新誌」は、ただの戯作にすぎない。

(講談社 1969年12月)

司馬遼太郎 『司馬遼太郎短篇全集』 1 「1950~57」

2006年04月20日 | 文学
 全12巻の1。
 時期的には「ペルシャの幻術師」(1956年)、「戈壁の匈奴」(1957年)以前の作品群がほとんどである。
 ジャンルは多彩で、奈良朝以前の古代物あり、南北朝物あり、宋元時代の中国物あり、無道時代のアラビア物あり、モンゴル帝国物あり、昭和前期物あり、現代物あり。
 読んだおぼえのないものばかりである。福田定一時代の短篇は『司馬遼太郎全集』(文藝春秋)に未収録だったのかもしれない。もっとも読んだが忘れただけかもしれぬ。『海音寺潮五郎短篇総集』の例もある(→2002年4月24日、海音寺潮五郎『剣と笛』)。 

(文藝春秋 2005年4月)

▲「中央日報」2006年4月19日、「日測量船、独島進入カウントダウン…海警、非常警戒に突入」
→http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=74913&servcode=200§code=200

“海上警察指揮部のある関係者は「独島(トクト日本名竹島)隣近海上の天候が悪くなり、日本測量船が転覆したり沈没することも憂慮されるが、EEZ境界線から力強く押し出すことを実施する」と述べた”

 そんなに戦争したいのか?

▲「中央日報」2006年4月19日、「盧大統領『日本が攻勢的挑発をしている』」 →http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=74876&servcode=200§code=200

“盧大統領は懇談会で「靖国神社参拝、歴史教科書問題、独島に対する挑発行為などを総合すれば日本の国粋主義性向を持った政権が過去の侵略の歴史を正当化する行為でもあり、未来の北東アジア秩序に対する挑戦的行為ではないかと見ることもできる」と強調した”

 自国の国粋主義性向はかまわないのか。韓国の現大統領はどうやら余程の阿呆らしい。