いま中休みに『大使閣下の料理人』を拾い読みしていて気がついたが、この物語の時間における在中国大使の姓は阿藤という(最後に倉木和也と交替する)。この“阿藤”は、続編となる『グ・ラ・メ! 大宰相の料理人』の日本国首相の姓と同じである。偶然のはずはないからここには何か含意があったのだろうか。後者で設定としてなにか語られているのかもしれないが、このあいだ多くの本雑誌とともに整理してしまったので確かめるすべがない。
昨晩は消耗したのでひさしぶりに柳沢きみお『大市民』シリーズを最初から読んでしばし寛いだ。バブル崩壊直後から始まる作品エピソードのなかには、さすがに今日から見ればずれているものがないでもないが、全体を貫くテーマと美意識自体は、いまもそのままで通用すると思う。というか私がそれを好んでいる。
主人公の山形は、いつも酒を楽しく飲んで酔っ払っている(シリーズの進行とともに次第にその量は増してゆく)。これは酒がほぼまったく駄目になった今の私にはちょっとうらやましくもあるところだ。
ひと言でいえば著者の身辺雑記、あるいは私小説みたいなものか。読み始めたときはこちらは30そこそこ、主人公は開始時45才で、「かっこいい中年」キャラクターとして憧れつつ読んでいたのが、いつのまにかこちらがその年をとうに過ぎてしまった。山形も年を取って、後半では60を越えた。作者と同じ年だからいま連載されていたら今年70才になるはずである。
私は『最終章』まで持っている。だがシリーズとしてまだ終わっていないらしい。いま調べてみたら今年電子書籍で最新刊が出ている。
主人公の山形は、いつも酒を楽しく飲んで酔っ払っている(シリーズの進行とともに次第にその量は増してゆく)。これは酒がほぼまったく駄目になった今の私にはちょっとうらやましくもあるところだ。
ひと言でいえば著者の身辺雑記、あるいは私小説みたいなものか。読み始めたときはこちらは30そこそこ、主人公は開始時45才で、「かっこいい中年」キャラクターとして憧れつつ読んでいたのが、いつのまにかこちらがその年をとうに過ぎてしまった。山形も年を取って、後半では60を越えた。作者と同じ年だからいま連載されていたら今年70才になるはずである。
私は『最終章』まで持っている。だがシリーズとしてまだ終わっていないらしい。いま調べてみたら今年電子書籍で最新刊が出ている。
ひじかた氏が亡くなったので、たぶんこれが最終巻になるのだろうか。「いいかげんな3人がいいかげんな《落としどころ》を探っているのだ・・・と思いました」のせりふが印象的(「演歌エレジー」)。
基本いいかげんな人間が、そのいいかげんな生のなかで真面目にもがき、くるしむ、その哀楽をすくい上げ、メロディに載せて唱うのが演歌らしい・・・と暮夜ひとり勝手に合点する。
(日本文芸社 2017年12月)
基本いいかげんな人間が、そのいいかげんな生のなかで真面目にもがき、くるしむ、その哀楽をすくい上げ、メロディに載せて唱うのが演歌らしい・・・と暮夜ひとり勝手に合点する。
(日本文芸社 2017年12月)
予想通りのハッピーエンド、と思いつつ、もしかしたらそうならないかもと思わせられつつの6年間(作中経過時間にして作品の掲載時間)だったのでしょう。最初からの読者には。私は昨年から、駆け足でのおつきあいでした。
(KADOKAWA/メディアファクトリー 2015年7月)
(KADOKAWA/メディアファクトリー 2015年7月)
ある人に教えられて読んでみるとすこぶる面白いので既刊を大人買いしたシリーズ。最新刊。
香山なつ希ちゃん、やはり白人とのハーフだったのか。外見からの後付設定かもしれない。だが“後付け”とは作者が当初意識下ではそれと認識していなかった“大設定”かもしれない。なぜあの造形にしたのか。
(KADOKAWA/メディアファクトリー 2014年4月)
香山なつ希ちゃん、やはり白人とのハーフだったのか。外見からの後付設定かもしれない。だが“後付け”とは作者が当初意識下ではそれと認識していなかった“大設定”かもしれない。なぜあの造形にしたのか。
(KADOKAWA/メディアファクトリー 2014年4月)
面白い。西村氏の作品は『大使閣下の料理人』以来である。この作品、「これまでにあるレシピとそれをなぞっただけの料理」ではなく、「見直したレシピとこれからあるはずの料理」が出てくる。そこが好きになった。天道氏の絵も。
(講談社 2010年10月)
(講談社 2010年10月)
雑誌連載時には読んでいないが、ウィキペディアによればほぼ2ヶ月に1度のペースだそうである。荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』の最近の部もそうだが、週刊ではない長期の連載になると、山場でもたらすテンションをあえてやや抑えるという、テクニック上の行き方もあるのだろうか。次の回あるいは巻まで読者が"待ちきれる”ようにする為の。
(集英社 2013年11月)
(集英社 2013年11月)
旦那も嫁も脇役も完璧にイカレテル世界(『スティール・ボール・ラン』風に)。
庵野監督って、本当にこうなんですか。島本和彦『アオイホノオ』で描かれる若き「庵野秀明」と美事に符合はしますが。
(祥伝社 2005年2月)
庵野監督って、本当にこうなんですか。島本和彦『アオイホノオ』で描かれる若き「庵野秀明」と美事に符合はしますが。
(祥伝社 2005年2月)
自分の精神疾患と失踪、ホームレス生活、アルコール中毒に治療のため精神病院入院と、重く悲惨でさえある内容を、ドライなほどのユーモア感覚で他人が読める話にしているところが凄い。これまでに読んだ、この人が自らの経験を基にした『日記』物のなかでは、一番面白いと思う。ほかの日記ものとは異なり、自らの漫画家としての回想記・半生記の側面もあるが故に。
(イーストプレス 2005年3月)
(イーストプレス 2005年3月)