書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

思考の断片の断片(12)

2007年01月31日 | 思考の断片
●「大紀元日本」07/01/31 11:01、「専門家ら:2度目の日中戦争はあり得るか」
 →http://jp.epochtimes.com/jp/2007/01/html/d57683.html

 この発想がそもそもおかしい。「2度目の独仏戦争はあり得るか」というテーマで専門家に訊ねようという気になるか?

●「Infoseek楽天ニュース」2007年1月29日18時19分、「多面的、客観的日本像を紹介=中国中央テレビが特別番組制作へ (時事通信)」
 →http://news.www.infoseek.co.jp/search/story/070129jijiX735/%25C7%25F2%25B4%25E4%25BE%25BE/
●「朝鮮日報」2007/01/31 11:01「中国、日本に関する大型ドキュメンタリー制作へ」
 →http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/01/31/20070131000031.html
●「人民網日本語版」2007年1月30日、「CCTVが日本で特別番組を制作、理性的に見る日本」
 →http://j1.peopledaily.com.cn/2007/01/30/jp20070130_67388.html

 番組の出来より番組の製作実現に至った背景のほうが気になる。

犬塚孝明 『密航留学生たちの明治維新 井上馨と幕末藩士』

2007年01月29日 | 日本史
 日本でまだ海外渡航の禁が解かれていなかった幕末文久三年(1863年)、密かにイギリスへ渡った5人の長州藩士、遠藤謹助・山尾庸三・野村弥吉(井上勝)・井上聞多(馨)・伊藤俊輔(博文)が、聴講生となった留学先のロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジで学んだのは、数学や分析化学(注)など、自然科学系の学問ばかりだった。

 注。分析化学(Analytical Chemistry)とは、「科学をはじめて学ぶものをも対象とした実験室教育」を特色とする授業だったという。この分析化学は5人とも選択している。このほか、遠藤謹助は地質鉱物学を、山尾庸三は土木工学を、野村弥吉は地質鉱物学と数理物理学を選択した。本書93頁。

“毎日通学して朝夕は家で稽古すると云ふやうなことで、ウェッセンシーと云ふケミストリーの博士で其の家に居つて算術を学んだりして居つた、一寸言ふと教師が大学に出てケミストリーの方を受持つて居る、それが朝晩に家へ来て教へる、昼間は大学へ行て稽古する、色々さう云ふやうなことをして這入り掛けた” (本書93-94頁にひく『維新風雲録 伊藤・井上二元老直話』、伊藤博文の回想)

(日本放送出版協会 2001年8月)

今週のコメントしない本

2007年01月27日 | 
①感想を書くには目下こちらの知識と能力が不足している本
  島貫重節 『戦略・日露戦争』 上下 (原書房 1980年11月)

②読んですぐ感想をまとめようとすべきでないと思える本
  なし

③面白すぎて冷静な感想をまとめられない本
  伊藤昌哉 『自民党戦国史 権力の研究』 (朝日ソノラマ 1983年9月25版) 〈再読)
 
④参考文献なのでとくに感想はない本
  ハリソン・ソールズベリー著 小川水路訳 『メディアの戦場 ニューヨーク・タイムズと記者ニール・シーハンたちの物語。』 (集英社 1992年7月)
  
  瀬沼茂樹編 『現代日本記録全集』 4 「文明開化」 (筑摩書房 1968年10月)

  梅溪昇 『お雇い外国人 明治日本の脇役たち』 (日本経済新聞社 1965年7月)

  大江志乃夫 『バルチック艦隊 日本海海戦までの航跡』 (中央公論新社 1999年5月)

⑤ただ楽しむために読んだ本
  開高健 『開高健全ノンフィクション』 Ⅲ 「路上にて」 (文藝春秋 1977年7月)

  アッ=タイーブ・サーレフ著 黒田寿郎/高井清仁訳 『現代アラブ小説全集』 8 「北ヘ遷りゆく時」 (河出書房新社 1978年10月) 

  内藤昌 『復元 安土城』 (講談社学術文庫版 2006年12月)

  高木元 『空海 生涯とその周辺』 (吉川弘文館 1997年11月第2刷) 

思考の断片の断片(11)

2007年01月26日 | 思考の断片
●「大紀元日本」07/01/25 15:32、「胡主席の年内訪日困難、胡・曽両氏の内部闘争白熱化」
 →http://jp.epochtimes.com/jp/2007/01/html/d38416.html

“政治評論家らは、胡総書記は調和の社会と平和躍進を唱えているが、2005年7月に国防大学防務学院院長・朱成虎少将の核発言から、今回の人工衛星の破壊事件まで、江・曽両氏が強い影響力を有している軍部の態度表現が強い姿勢を見せており、胡総書記の国際イメージに大きなダメージを与えることになったと分析している。今回のことから、江派閥にコントロールされている中国軍部は、胡総書記の制御下ではないことが明らかになった。胡総書記は20日間で、5つの指示を下達し、中国軍隊は党の指揮に絶対的服従することを強調したことが逆に、軍部側は党書記の指揮に服従していないことを明確に示している”

 いまの中国を見る一つの判断材料としてメモ。

●「The Moscow Times」Friday, January 26, 2007, "A Monument to Different Interpretations"
 →http://www.moscowtimes.ru/stories/2007/01/26/005.html

 エストニアとロシアとでは異なる両国間の“歴史”について。

  参考:「asahi.com」2007年01月20日01時15分、「対ナチ戦争記念碑、エストニアの撤去立法にロシアが反発」
   →http://www.asahi.com/international/update/0120/002.html

“Unfortunately, politicians on both sides seem more interested in pandering to, and often reinforcing, crude simplifications of a complex past.” (The Moscow Times)
 
 「The Moscow Times」はいうまでもなくロシアのメディアである。
 エストニア側からもこのような複眼思考の声はあがっているのだろうか。

思考の断片の断片(10)

2007年01月25日 | 思考の断片
●「MSN毎日インタラクティブ」2007年1月23日3時00分、「近未来通信詐欺:社長が既に出国 2億5千万円抱え」
 →http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070123k0000m040137000c.html

 口約束を破った人間すら許さない私はもちろんこの糞野郎を許さない。

●「中央日報」2007.01.24 12:39:52 、「<イ・フンボム時々刻々>ヨーコが言わんとしたこと」
 →http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=83966&servcode=100§code=120

 わが同志。

手塚治虫 『ミッドナイト』 4

2007年01月25日 | コミック
 昨年11月12日の第2・3巻以来、ようやくこの最終巻を読む。第1巻を読んだのはそれよりさらに1か月前の10月19日だから、漫画の文庫本4冊を読了するのに3か月かかったことになる。
 この文庫版で初めて収録されたという最終回(ブラック・ジャックが登場する)に、仰天。

(秋田書店秋田文庫版 2002年3月7版)

伊藤昌哉 『新・自民党戦国史』

2007年01月24日 | 政治
 1980年6月の大平正芳の死を以て擱筆する前作『自民党戦国史』を承けて、大平の死後ロッキード裁判で田中角栄に対する判決の出る2か月前、1983年8月までを扱う。
 ロッキード事件について、米国による謀略説を含めいかなる陰謀説にも荷担していない。

(朝日ソノラマ 1983年9月) 

三崎良章 『五胡十六国の基礎的研究』

2007年01月22日 | 東洋史
 中国史上の五胡十六国時代(紀元4-5世紀)は、東アジア地域における民族大移動期に当たり、中国とその周辺部には漢民族乃至非漢民族の国家が乱立して、目まぐるしい興亡を繰り返した。そんななか、「異民族統御官」と著者が総称する官職群が、漢・胡を問わずこの時期の中国諸王朝に設置されていた。この論考はその「異民族統御官」の実態解明を視座の中心に据えてこの時代を把握しようとする試みである。
 書名に、"基礎的研究”と銘打ってある。だが同じ著者による入門編『五胡十六国』(→2002年4月10日欄)とはこと変わり、段違いに骨が折れた。無論こちらの浅学による。

(汲古書院 2006年11月)