書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

思考の断片の断片(73)

2008年10月31日 | 思考の断片
▲「The Official website of the Central Tibetan Administration」30th October 2008.
 〈http://www.tibet.net/en/index.php?id=68&articletype=press

His Holiness the Dalai Lama's Envoys leave for China for 8th Round of Talks.

His Holiness the Dalai Lama's envoys Kasur Lodi Gyaltsen Gyari and Kelsang Gyaltsen, accompanied by three senior assistants are arriving in Beijing for the 8th round of talks with the representatives of the Chinese leadership.

They will be in Beijing as a follow-up of the 7th round of talks.

They will be there for about a week.

The Envoys had their final briefing from Professor Samdhong Rinpoche, Kalon Tripa, in New Delhi.

Thubten Samphel
Secretary, Information
30th October 2008

 簡潔さ、あたかも『春秋』本文の如し。

 とすれば、

●「BBC NEWS」08:52 GMT, Wednesday, 29 October 2008、「China in Dalai Lama talks offer

 は、さしづめ『左氏伝』か。

●「msn 産経ニュース」2008.10.30 21:35、「ダライ・ラマ特使と中国、第3回対話へ

 などは、『穀梁伝』だろう。

●「中国網 チャイナネット」2008-10-29、「ダライ側は約束を履行し、西蔵人民に有益な事をすべき

 は、むろん、『公羊伝』。

Clarifications on H.H. the Dalai Lama's Remarks

2008年10月29日 | 抜き書き
 昨日10月28日「Dalai Lama 'loses hope' for Tibet」から続く。

▲「The Office of His Holiness the Dalai Lama」Tuesday, 28 October, 2008.
 〈http://www.dalailama.com/news.300.htm

 Since the Chinese Government has accused His Holiness of orchestrating these protests in Tibet, he called for a thorough investigation to examine these allegations, even offering access to Central Tibetan Administration files and records here in India. So far, this offer has not been taken up, but the situation in Tibet becomes graver by the day. Therefore, His Holiness said that it is difficult for him to continue to shoulder such a heavy responsibility when the present Chinese leadership does not seem to appreciate simple truth, reason and common sense. In the absence of any positive reciprocal response from the Chinese leadership, His Holiness feels that if he cannot help find a solution, he would rather not hinder it in any way. His Holiness feels he cannot afford to pretend that his persistent efforts to find a mutually satisfactory solution to the Tibetan problem are bearing fruit.

 盾のまず一面。だが党と政府の宣伝機関にすぎない中国メディアに、残る半面を期待するのは、まあ無理だろう。「南方都市報」の馬鹿記事を見よ。
 
 →「南方报业网」2008-10-28 08:53:15(「南方都市报」)、「达赖放弃与中央谈判」
 〈http://www.nanfangdaily.com.cn/nfdsb/200810280010.asp#

「Dalai Lama 'loses hope' for Tibet」

2008年10月28日 | 抜き書き
▲「BBC NEWS」5:22 GMT, Monday, 27 October 2008.
 〈http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7693052.stm

 Will it lead, for example, to a hardening of position by the Tibetan government-in-exile, if the Dalai Lama's middle ground of modest autonomy within China is abandoned?
 And does it also mean that the Dalai Lama wants to extract himself personally from the political fray? That too is unclear.

 As a political ploy, the Dalai Lama's move does help to push Tibet back into the spotlight.

 That would have striking implications. His international profile is one of Tibet's strongest cards and the government-in-exile would surely be weakened without his advocacy.
 But his absence would also raise the stakes for China. Many see the Dalai Lama as Beijing's best hope - and urge the Chinese to do business with him while they can.

 さて本心か駆け引きか。

安重根は平和の使徒だそうな(2)

2008年10月27日 | 抜き書き
▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/10/24 17:01、兪碩在(ユ・ソクジェ)記者「『安重根は東北アジアの平和都市を夢見ていた』(下)」
 〈http://www.chosunonline.com/article/20081024000071

 東洋平和に向けた安重根の具体的な構想は、現在の観点からみても非常に目新しいものだ。まず日本が旅順を清に返還した上で、韓中日3カ国が共同で管理する軍港とし、各国が代表を派遣して平和会議を組織すべきと主張した。具体的には3カ国の若者で構成された軍団を編成し、彼らに2カ国以上の言語を学ばせ、銀行を設立して共用通貨を定めようという主張だった。21世紀の欧州連合(EU)を連想させるような概念が、すでに安重根の思想の中に存在していたことになる。 (兪碩在記者)

 旅順を返還すべきなのはロシアである。旅順は、1900年の北清事変のあと、ロシアの租借地となっている。1895年の下関条約で旅順を含む遼東半島は清から日本へ割譲されることとなったが、直後の三国干渉で取りやめになった。だから安重根の事実認識は根本から間違っている。そしてその錯誤を看過した兪碩在記者のそれも同様である。よしんば三国干渉がなく、旅順が日本の領土になっていたとして、清国に返してもすぐロシアに転貸されるだけではないかとは思わなかったのか。現実の旅順がそうなったように。空想家である、安も兪記者も。

 それとも、これはすべて、日本をより貶めるために当時の日本の天敵ロシアを救世主・正義の味方扱いして持ち上げる戦術か。

 →「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/09/28 01:26、兪碩在記者 「『ロシアの韓国系メディアが安重根の義挙を主導』
 →「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/10/24 17:08、兪碩在記者 「伊藤博文に3発命中、ロシア語で『韓国万歳!』

10月27日追記。
 日露戦争後、1905年のポーツマス条約の結果、旅順が日本の租借地となったことを忘れていた。だから「事実認識が根本から誤っていた」「空想家」は私のほうである。この点について、安重根の霊と兪碩在記者にお詫びしたい。

安重根は平和の使徒だそうな(1)

2008年10月25日 | 抜き書き
▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/10/24 17:01、兪碩在(ユ・ソクジェ)記者 「『安重根は東北アジアの平和都市を夢見ていた』(上)」
 〈http://www.chosunonline.com/article/20081024000069

 安重根の銃弾が絶叫していたのはほかでもない、“東洋の平和”だった  (兪碩在記者)

 1909年10月26日、安重根による狙撃は単なる暗殺ではなく、侵略への抵抗という平和のメッセージだった (兪碩在記者)

 安重根は被植民諸国の民族を代表していたのであり、東洋平和のかく乱者を処断することでアジアの平和に貢献した“世界史的な人物”だった (中国ハルビン市に住む安重根研究家のソ・ミョンフン氏(元ハルビン市民俗宗教事務局副局長)

 安重根による伊藤博文殺害は、韓国侵略の元凶であり東洋平和の破壊者に対抗し、人間の自由を守ろうとする正義の行為だった (国民大学の張錫興(チャン・ソクフン)教授)

▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/10/24 17:01、兪碩在(ユ・ソクジェ)記者 「『安重根は東北アジアの平和都市を夢見ていた』(中)」
 〈http://www.chosunonline.com/article/20081024000070

 安重根をテロリストとする認識は、韓国近代史そのものに傷をつける危険な発想だ。ある一人の義挙ではなく、“義兵部隊組織の指揮官”として行動したのだから、“ハルビンでの大勝利”と呼ぶべきだ (ソウル大学の李泰鎮(イ・テジン)教授)

 おおっぴらに殺人行為を賛美し、殺人者を賞賛し、さらには人殺しを平和のメッセージやらに平和に貢献する行いであるなどと唱え、正義のためなら人を殺すのはそれはテロではなく“勝利”であると言う。しかもそれを公言する。私には狂っているとしか思えない。
 たとえば井伊直弼の暗殺は、歴史の高みから見れば、かなりの程度正当化できるかもしれない。しかしもしそうであっても、井伊を暗殺した水戸藩と薩摩藩の浪士たちを手放しで誉めるのは憚られる。吉良上野介を討って主君の仇を取った赤穂の浪人たちは、少なくとも当時の価値観からみれば義士であろう。だが、私はそのことを理解しつつも、いわばよってたかって老人一人をなぶり殺した行いそのものは、とても褒める気にはならない。

思考の断片の断片(73)

2008年10月24日 | 思考の断片
▲「YOMIURI ONLINE 読売新聞」2008年10月24日15時58分、「交際女と共謀、痴漢虚偽告訴の元甲南大生に実刑」
 〈http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081024-OYT1T00478.htm?from=top
 
 判決によると、蒔田被告は交際していた女と共謀。2月、女が市営地下鉄御堂筋線の車内で乗客の男性(59)に触られたとの被害をでっち上げたほか、1月には、女がインターネットの出会い系サイトで誘い出した別の男性に「おれの女に手を出しやがって」と顔などを殴り、金を奪おうとするなどした。

 大学生が美人局をしたと思えばけしからんこと甚だしいが、美人局が大学に通っていたと見れば殊勝なものではないか。


▲「msn 産経ニュース」2008.10.23 11:31、「スタートレック内紛?タケイ氏にカーク船長役がかみつく」
 〈http://sankei.jp.msn.com/world/america/081023/amr0810231133002-n1.htm

 シャトナー氏は、タケイ氏が長年にわたって自分へのわだかまりを抱いていると指摘した上で、「原因が何なのか知らないが、哀れなやつだ」とこき下ろした。

 タケイ氏の著書『星に向かって ジョージ・タケイ自叙伝』(貞包智悠/貞包有美訳、有悠、2005年5月)にその理由はたっぷり書いてあったが。タケイ氏は、ウイリアム・シャトナー氏のあまりに自己中心的な性格にとても我慢ができなかったと、具体的な例をふんだんに挙げて述べている。タケイ氏のこの指摘がどこまで客観的なものなのかは知らないが(注)、すくなくとも理由ははっきりしている。

 注。おなじく『スタートレック』でミスター・スポックを演じたレナード・ニモイ氏は、自身の自伝(富永和子訳『わたしはスポック』扶桑社、2001年4月)で、シャトナー氏の持つ自己顕示欲が強い側面を指摘しながら、程度の差こそあれこれは俳優一般の通弊だから仕方がないとでも言いたげで、たいして問題視はしていない。

想像力が足りないのか確信犯のダブルスタンダードなのか「産経新聞」の若干の記者たちは

2008年10月24日 | 思考の断片
▲「msn 産経ニュース」2008.10.21 08:49、「【対馬が危ない】(上)韓国、不動産相次ぎ買収」
 (http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081021/trd0810210907005-n1.htm

 古事記や日本書紀にも登場する「対馬」(長崎県)。国境を背負い、古来、防衛の要衝だった“防人の島”が、韓国パワーに席巻されている。韓国からの観光ラッシュに続き、島の不動産が続々と韓国資本に買い占められている。リゾートホテルに民宿、釣り宿…。過疎化に悩む対馬自身が本土よりはるかに近い韓国に傾斜せざるを得ないという複雑な事情もあり、豊富な資金力を武器に買収はこれからも激しさを増すだろう。韓国人観光客のなかには、自国領土と本気で信じ込んでいる人すらいる。日本人が気づかない間に、対馬は、安全保障、主権国家としての領土保全にかかわる深刻な事態にさらされつつある。(編集委員 宮本雅史)

 なにを大げさな。
 バブルの時に日本人にロックフェラー・センターを買われた米国人の気持がいまにしてよくわかるだろう。
 ――と思っていたら、麻生首相が報道のあった当日のうちに同趣旨の発言を行っていたことを遅まきながら知る。

 ●「msn 産経ニュース」2008.10.21 21:25、【麻生首相ぶらさがり詳報】韓国資本の不動産買い占め「合法的に買っておられるわけでしょ?」(21日夜) (3/3ページ)
  〈http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081021/plc0810212127015-n3.htm

 --韓国国内で対馬が自国領土だという論調が盛り上がっていて、韓国の国会議員が返還決議を出したり、対馬島内の不動産を買い占めるなどの動きが出ている。こうした動きに対しての受け止めは

 「土地を買おうということに関しては、合法的に買っておられるわけでしょ? 日本がかつて米国の土地を買ったのと同じですから。ニューヨークの土地を買っていたのと同じですから。自分が買ったときは良くて、人が買ったら悪いというのが産経新聞とは。それほど偏向しているわけではないと思いますね。それが一点。それから韓国政府が、対馬があの韓国領土ということを言ったことは、過去1回もないと思いますよ」

 李承晩大統領の時に言ったはず。

 →「中央日報 Joins.com」2005/04/10 17:58、「韓国、サンフランシスコ講和条約で対馬領有権を要求」
  〈http://www.chosunonline.com/article/20050410000024

「『ぶら下がり』なんていらない」

2008年10月23日 | 抜き書き
▲「池田信夫 blog」2008-10-22。
 〈http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/6b5ea7369364ae6f76b7c1659441aae2

 首相 そういう引っかけるような言い方やめろって。

 「msn 産経ニュース」のもとの記事が確かに爆笑モノである。
 ところでいらないといえば、この「産経」の記事ではさすがにないが、テレビのニュースでよく見かける「~~ですが・・・・・・」とか、「どうですか」とかといった、不勉強なのか頭が悪いのかしらないが何を聞きたいのかさっぱりわからないレポーターの質問も、いらないものだろう。「お子さん(親御さん、ご兄弟、ご姉妹etc.)を亡くされたいまのお気持ちは」という、馬鹿と無神経の極北とも言うべき愚問は(さすがに最近見なくなったが)、何にもましていらない。

イアン・ブルマ氏に関する3つの発見

2008年10月23日 | 思考の断片
▲「中央日報 Joins.com」2008.10.22 16:39、「『韓日連帯で中国とのバランスを取るべき』イアン・ブルマ氏(1)」
 〈http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=106321&servcode=A00%C2%A7code=A10

--中国の浮上で崩れる北東アジア勢力の均衡のために韓国と日本が同じ民主国家として連帯するのはどうか。

「そういう連帯が必要だ。アジアを一つの国が支配するのは望ましくない。韓国と日本だけでなく東南アジアや米国を引き込むことも可能だろう。日本を拘束する効果もある。日本の右傾化を防ぐということだ。ヨーロッパの統合もドイツ民主主義に前向きな役割をする」

 この人、日本異質論者だったのか?

▲「中央日報 Joins.com」2008.10.22 16:39、「『韓日連帯で中国とのバランスを取るべき』イアン・ブルマ氏(2)」
 〈http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=106322&servcode=A00%C2%A7code=A10

--日本には過去に自国が起こした戦争に対する罪の意識(war guilt)がなく、韓国・日本の連帯を妨げる主要原因の一つとなる。ドイツと違うが、なぜそうなのか。

「ドイツでは執権勢力の交代があったが、日本の場合、帝国主義時代の官僚がほとんど自分の領域を守った。日本では過去の歴史はまだ解決されていない政治的な問題だ。罪の意識を持っているのは左派だが、それは少数だ」

 この人、こんなに頭が固かったのか?

--韓国と日本の政治的な未来は。

「韓国政治のほうが元気だ。韓国政治の未来が明るいのは政党間で政権をやり取りしているからだ。1970年代に世界の人々は儒教文化を取り上げながら、韓国で民主主義が達成されるにはさらに数十年かかると考えていた。しかし韓国は民主化された。日本は政治的に枠にはまった現状を維持している。本当の権力移動がないばかりか、官僚の力が非常に強い」

 この人、こんなに感情的だったのか?