書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

YouTube "The Cherry Orchard -1981 (Judi Dench) Part 1/4"

2018年09月28日 | 映画
 The Cherry Orchard -1981 (Judi Dench) Part 1/4

 とはいうものの、最初の5分で観るのをやめてしまった。なんだか変な感じがする。言葉はイギリス英語である(ここまでは私にもわかる)。だが細かくはどの方言を使っているのだろう。たとえばロパーヒンである。そして登場する人々の誰が、どの方言(地域的・社会的)を使うかという判断は、どういう理由によるのだろう。
 ヘドリック・スミスが『ロシア人』で、デヴィッド・リーンの『ドクトル・ジバゴ』を一緒に観たロシア人たちが、登場人物たちの挙措のおかしさ(ロシア人としての)に途中で爆笑したというエピソードをたしか記していたが、私の感じた“変”は、それとすこし通じるところがあるかもしれない。

黒須洋子 『テレビ映画「新選組血風録」の世界』

2018年05月27日 | 映画
 栗塚旭さんは『燃えよ剣』の方が“やりきった”という感覚があって好きらしい。島田順司さんは『燃えよ~』は自身が30才を超していたうえ周りの期待も高くてそれまでと同じ沖田を演じるのはしんどかった由。左右田一平さんの斎藤一が『血風録』だけなのは本人のインタビューでも触れられておらず分からない。

(新人物往来社 2000年10月)

【読書感想】エンピツ戦記 - 誰も知らなかったスタジオジブリ ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

2017年01月24日 | 映画
 http://fujipon.hatenadiary.com/entry/20160614/p1

  舘野仁美著 平林享子構成 大橋実イラスト『エンピツ戦記 誰も知らなかったスタジオジブリ』(中央公論新社 2015年11月)。
 
 「いやほんと」。この回想録を読んだ者として、まったく同感です。例として抜き出すところも同じ。私もここを挙げる。

坂口祐三郎著  新赤影製作評議会編 『坂口祐三郎 赤影 愛と復讐』

2016年11月24日 | 映画
 この本は、正確には著者坂口氏にインタビューしての聞き書き+フィルモグラフィー。
 坂口氏は、そのなかで、役者というのは「自分じゃない他人をいつもやってるわけ」だから、「そういう神経の分散ができるってのは」頭がおかしい人間でないと勤まらないと仰っている(本書135頁)。
 それはそうかもしれない。

 つまり気違いが普通のことやるから面白いんでしょう。普通の人が普通のことやって面白いですか。何も面白くない。 (136頁)

 作る側も、みんな変だった。 (136頁)

 (自分の子供を作らないのは復讐だというのを)言いたいのはこっちであって、それを理解するかしないは相手の問題であってね、承前)いちいち理解してもらわなくたっていですよ。だって気違いの言っていることを、まともな奴にわかれって言うのも無理じゃないですか。 (138頁)

 訳者もそうかもしれない。「自分じゃない他人をいつもやってる」のは同じである。
 学者もそうだろうと思う。「普通の人が普通のことやって面白いですか。何も面白くない」。

(ワイズ出版 1999年9月)

野上照代 『もう一度 天気待ち』

2014年12月08日 | 映画
 黒澤監督の作品は、あくまで私が観たそのなかで言えばだが、比較的早い時期の何本かを除き、よくわからない。 しかしこの回想録は、黒澤映画のカメラ横と後ろからの、当事者による、自身の堅牢な記憶と周囲への確認作業に基づく証言、同時に黒澤映画の観客への「いかに観るか」の助言として、とても面白かった。未見の作品も含めできるだけ見直してみようという気に。

(草思社 2014年1月)

エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ監督 『最強のふたり』(2011年)

2014年04月23日 | 映画
 面白かった。オマール・シー演じるドリスのキャラクターは最初から当て書きだったそうだが、それを抜きにしても、ほかの役者に演れるかどうか。ウィル・スミスではちょっと屈折が出てしまう気がする。若い頃のモーガン・フリーマンでも難しい。『野のユリ』のシドニー・ポワティエならあるいは。