書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

黒川みどり/山田智編 『竹内好とその時代 歴史学からの対話』

2018年08月03日 | 現代史
 私は竹内好は魯迅の優れた翻訳者という以外あまり関心がないのだが(強いて言えば嫌い)、やはり褒めるのだね。「脱亜論」関係の彼の挙措言動はなかったことにして。それが新しいゲームのルールであろうか。

(有志舎 2018年3月)

書棚の向こう側から1999年5月31日―6月6日号の『亜洲週刊』が出てきた。・・・

2018年06月07日 | 現代史
 蔵書を整理した書棚の向こう側から1999年5月31日―6月6日号の『亜洲週刊』が出てきた。「六四悲劇十年祭 平反不平反? 政治気候変幻」(原文繁体字)という大文字が表紙に躍っている。今昔の感ありとも言えるし、昔も今もという感想も持とうと思えば持てる。

小野信爾 『京大生・小野君の占領期獄中日記』

2018年05月23日 | 現代史
 宇野田尚哉・西川祐子・西山伸・小野和子・小野潤子編。
 出版社による紹介

 暗雲のたれこめる今日、戦争反対のビラを撒いただけで逮捕され、まともな裁判もなしに刑務所に放り込まれるというような時代の再び来ないこと承前)を切に願うばかりである。
 (小野和子「あとがき」本書296-297頁)

 ツイッターで「時代と乖離」という表現を見た。ある芸術家についての形容だが、時の流れを意識する必要のある職業もしくは生き方には、生き死にの重大さのある有無だろう。歴史家もある部分、あるいはある程度まで、そうであると思う。本日は「時代と乖離」した大御所のお言葉を聴かされて(読まされて、正直なところ辛かった。

(京都大学学術出版会 2018年2月)

富田武 『シベリア抑留者たちの戦後 冷戦下の世論と運動 1945‐56年』

2018年04月18日 | 現代史
 出版社による紹介

 山脇東洋『臓志』のような、ただし綿密さにおいてきわまりなしと、たぶん自分だけに通じる比喩と表現が浮かんだ内容。

(人文書院 2013年12月)

ハン・スーイン著 安野早己訳 『太陽の都ラサ 新チベット紀行』

2018年04月18日 | 現代史
 初めて読む。奥付の訳者略歴から、訳者が25才、修士課程在学中の訳業ということで、その行文の老練さに驚く。

(白水社 1978年2月)

山代巴編 『この世界の片隅で』

2018年04月04日 | 現代史
 出版社による紹介

 昨年復刊された。半世紀後で第7刷。同じシリーズの大江健三郎『ヒロシマ・ノート』(同年の6月刊)はもっと版を重ねている筈

(岩波書店 1965年7月)

豊下楢彦 『安保条約の成立』

2018年03月11日 | 現代史
 出版社による紹介

 現代史研究というものは、機密また秘匿ほかの理由でアクセスできない資料が(一資料においても重要な個所は)、多くて、立論のそれも核心部が推測に基づかざるをえなくなることが多いようだ。それは、たえず腰だめを強制されているようなものであって、書き手もだろうが、読む方もどこまで安心して身を預けて議論の階段を上っていいのか、それをたえず測っていなければならず、ひどく辛い。この書も、そこからは自由ではない。

(岩波書店 1996年12月)

テッサ・モーリス・スズキ 『北朝鮮へのエクソダス 「帰国事業」の影をたどる』

2018年03月02日 | 現代史
 田代泰子訳。

「あのイザベラ・バードの『朝鮮紀行』に匹敵する名著」という評価がなされている(姜尚中/カン サンジュン「解説」)。専門家ではないので、この著が力作であること以外、賛否両論あると聞く内容については判断ができないが、この評の冒頭に付いている“あの”の意味も含めて、この二者を比較する理由と優劣を決める基準が、私にはよくわからない。

(朝日文庫版 2011年9月)

江藤淳編 波多野澄雄解題 『新装版 占領史録』 上下

2018年02月16日 | 現代史
 出版社による紹介。/
 
 編者の『閉ざされた言語空間』の理屈がいまだに分からない。海舟論と西郷論と漱石論は分かるけれども面白くない。『氷川清話』(共編)は感謝している。

(講談社学術文庫 1995年6・7月)

井口武夫 『開戦神話 対米通告はなぜ遅れたのか』

2018年02月16日 | 現代史
 不学者にも分かる人と名としては加瀬俊一、瀬島龍三、また森島守人ほかが出てくる。ここで主張される議論がすべて正しく真相を穿っているのかどうかは私にはわからない。だが「それにしてもひどいものだ」という部分的判断のつながりは心証として結ばれる。

(中央公論新社 2008年7月)