作品の配列が、現代(老舎「離婚」)から古代(『世説新語』)へと、倒叙になっている。著者がそのほうが現代人には取っつきやすいと考えたが故の順序であるが(「はしがき」)、私は白話の時系列的な変遷をたどるという別の理由で、後ろから読む。
「7 孝経直解」と「6 老乞大」に関して、前者はウイグル人貫雲石の作(元代1308年)、後者は著者不明で、原本は元代成立も今日残るテキストは明代(1480-1483頃)の改訂本である。両者共に「漢児言語」であるが後者の方が解りやすい。その理由はこの時間差のせいかと推測する。
「解りやすい」とは現代漢語により近いということである。だがおかしなことにこれより新しい「5 金瓶梅詞話」「4 紅楼夢」「3 品華寶鑑」「2 兒女英雄傳」よりも理解しやすい。一つには文章が短いことがある。いま挙げた5から2は一文が長いうえに、文と文がいくつも繋がっている。「10 朱子語類」(南宋時代・1270年)と共通する特徴。
(朋友書店 1957年5月)
「7 孝経直解」と「6 老乞大」に関して、前者はウイグル人貫雲石の作(元代1308年)、後者は著者不明で、原本は元代成立も今日残るテキストは明代(1480-1483頃)の改訂本である。両者共に「漢児言語」であるが後者の方が解りやすい。その理由はこの時間差のせいかと推測する。
「解りやすい」とは現代漢語により近いということである。だがおかしなことにこれより新しい「5 金瓶梅詞話」「4 紅楼夢」「3 品華寶鑑」「2 兒女英雄傳」よりも理解しやすい。一つには文章が短いことがある。いま挙げた5から2は一文が長いうえに、文と文がいくつも繋がっている。「10 朱子語類」(南宋時代・1270年)と共通する特徴。
(朋友書店 1957年5月)