書籍之海 漂流記

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菅本大二 「荻生徂徠の『読荀子』と「礼」」

2013年02月08日 | 日本史
 「読荀子」は荻生徂徠の『荀子』読書ノートである。
 私は、『荀子』を読んでいて、天は自然現象であって人事には関係がないという彼の主張を見た瞬間、徂徠のことが頭に浮かんだ。礼を社会秩序維持のための規範とみる点も二人はよく似ていると思った。
 この論文を読んで、徂徠はやはり『荀子』を読んでいたこと、博学の徂徠だから読んでいたのは当然として、相当の影響を受けている、あるいは考え方の基礎にこれほどの共通点があるということを、具体的に知った。
 ただ、菅本氏によれば、荀子は「道」については古今を通じて普遍なる価値基準であるとして、やはりそこに抽象的・思想的また倫理的な性質を見ているようだが、徂徠の視点はより徹底して政治的・現実的であり、「道」とは「天地自然の道には非ざる」「天下を治むるの経緯条理」(どちらも徂徠自身の言葉)にして「『礼楽刑政』という外的な規範の総体」(管本氏の言葉)にほかならない由。

(『筑波哲学』4、1993年5月、129-139頁)
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4 コメント

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ありがとうございます (菅本大二)
2013-08-13 11:23:25
菅本大二、本人です。本人確認のパスワードは「大二と書いて、ひろつぐと読む」でよろしいでしょうか(笑)。お盆休み、ふだんの多忙からボーとしながら、小5の娘の夏休みの宿題に関するインターネット検索に付き合っていると、娘がこの記事を見つけてくれました。

懐かしい論文です。20年前に書いたものですが、まだ続編の可能性を残してあるテーマなので、このような形で取り上げていただいていること、たいへんありがたく思いました。他の記事も拝読させていただきます。失礼いたしました。
恐縮です (joseph)
2013-08-13 20:52:39
菅本様、
著者ご本人からコメントをいただき感激しております。玉稿の読み間違いがないことを祈るばかりです。
これからもよろしく御教示ください。
コメント受諾、ありがとうございます。 (菅本大二)
2013-08-14 00:26:31
さっそくご返信くださり、ありがとうございました。
徂徠は、その法実証主義的なところが、荀子の弟子とも言われている韓非子にも近いと考えています。ずっと考えている続編は、そこのつながりです。というより、韓非と徂徠は、一方は実際に、もう一方は書物を通して、荀子を師とし、それを批判的に乗り越えた、時とところは違えども二人の愛弟子だった、という物語を書きたいと思ってます。
ブログ、まだまだ一日では完読はできず、拾い読みですが、楽しませていただきました。今後ともよろしくお願いします。
再び恐縮です (joseph)
2013-08-15 00:49:41
こちらこそ、重ねて丁寧なご返信をいただき、恐縮しております。次回作、期待しております。

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