恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

これより恐山

2007年10月19日 | インポート

Photo  むつ市内から恐山へは、昔から恐山街道と呼ばれる道が通っていました。この山道を進んでいくと、やがて右の写真のような門が見えてきます。これは現在「結界門」と呼ばれていますが、正式な名称ではありません。今は堂々たる門ですが、以前は木の門だったそうです。

 「結界」とは、もともと僧侶の修行の場を言い、俗世界からの区別を強調する名称です。その意味からすると、ここからいよいよ恐山の聖域に入ることを示し、参拝者の心構えを促すことになりますから、「結界門」という呼び名も、まんざら不適当ではないでしょう。ただし、恐山はどなたでも参拝が自由ですから、特定の人を排除するような意味で「結界」になっているわけではありません。念のため。 

 ところで、先月、台風9号が下北半島を通過しました。Photo_2 このとき、街道脇の大きな木が、「結界門」から少し離れた路上に倒れてしまいました。ここを塞がれると、恐山は行き来ができなくなります。おりしも、当日の宿泊者が上山してくる途中で、ちょっとした騒動になってしまいました。ここは県道なので、整備は県の役目ですが、その日は休日の上、青森市から作業員がやってくるのでは、時間がかかりすぎて役に立ちません。そこで、恐山の営繕係を中心とする男性従業員が総出で、チェーンソーなどを持ってかけつけ、30分そこそこで除去しました。

 今回は彼らの活躍で事なきを得ましたが、以前には倒木が電線や電話線を切断してしまったことがありました。そうなると大変です。境内の電気系統は完全に機能しなくなり、外部への連絡もできなくなります。もし並外れた大木が道を塞げば、そこから先は歩く以外、連絡をつける方法はありません。

 自然の中で暮らすとは、やはり緊張感があるものなのですね。

 お知らせ。先だってNHKのラジオ番組で受けたインタビューが、「在家仏教」という雑誌に掲載されることになりました。11月に出るようです。よろしければご覧下さい。


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