その日、私は珍しくモノレールに乗って羽田空港に向かっていました(実は、飛行機が嫌い)。
日中ながら乗客は多く、私は荷物置き場付近にずっと立っていました。すると、いつ間にか右隣に、いわゆる「ヤンキー風」「ギャル的」少女(ほぼ間違いなく10代半ば)が立っていたのです。
金と白に染め分けられたクルクルの巻き毛が何本も垂れ下がっている上に、バービー人形のような派手なメイク。オレンジ色のタンクトップ(という名前の服があったような)と銀色のショートパンツ、耳と首と両指と両手首、さらに両足首と腰に何本ものリングとチェーンが巻き付き、高下駄のようなサンダルの革ひもが膝まで結び上がっていました。
あまりにインパクトのある風体に私は怖れをなし、まかりまちがって痴漢かなにかに誤解され、「インネン」でもつけられては目も当てられないと、立ち位置を左に1メートル弱、不自然でないよう用心しながら移動しました。
すると、あろうことか、彼女は正確に1メートル弱身を寄せてきて、私の顔を見上げたのです。仰天した私は、イースター島のモアイ像のごとく、直立不動で車窓の倉庫街に視線を集中し続けました。
言いようのない緊張と緊迫の数分後、モノレールは羽田の第二ターミナルに滑り込みました。
「よかった・・・」
何が「よかった」のかわかりませんが、私は思わず独り言ちてエスカレーターに乗り、改札に折れようとしたところで何気なく振り返ったら、なんとバービーギャルが後ろにいたのです!
「わあっ!」と叫びそうになりました。私は、自分がモアイ状態の最中に、彼女はどこかで下車したと思い込んでいたのです。
すると、彼女はニッコリ笑って、
「お坊さんでしょ!」
「えっ、ええ、そう・・・」
「ねえ、ちょっとお茶しよ!!」
「えっ! ええっ・・・と、お茶・・・!?」
「時間無い?」
時間はありました。搭乗時間まで1時間以上あったのです(私は駅や空港には早く行く主義)。
「うん・・・。ちょっとそういうわけには・・・、すみませんね」
私は彼女の視線を切ると、ほとんど一目散という有様で、手荷物検査場に向かいました。
振り向きませんでしたが、私は彼女が後姿を見ていると思いました。
文庫本くらいにしか見えないバックだけを肩にかけていた少女です。空港に用があるとはとても思えません。偶然ではなく、彼女は私についてきたのです。そして、何か話がしたかったのでしょう。
しかし、そのとき私はあの恰好を見て、なんだか面倒なことになりそうで嫌だったのです。
私は搭乗口についてからも、ずっと彼女のことを考え続けました。明るく、屈託なく笑いながら「お茶しよ!」と言ったのは、実は勇気を振り絞ったのかもしれない。親でも友達でもない誰かに、どうしても話したい何かがあったのかもしれない。
あそこで「お茶」は嫌だったにしろ、寺の連絡先でも教えて、また気が向いたら連絡するように言えばよかったのに。
自分と話をしたいと言う人に対して、時と場所で妥協してくれる限り、面会を断らないと私が決めたのは、もう20年近く前の彼女との出会いからです。
日中ながら乗客は多く、私は荷物置き場付近にずっと立っていました。すると、いつ間にか右隣に、いわゆる「ヤンキー風」「ギャル的」少女(ほぼ間違いなく10代半ば)が立っていたのです。
金と白に染め分けられたクルクルの巻き毛が何本も垂れ下がっている上に、バービー人形のような派手なメイク。オレンジ色のタンクトップ(という名前の服があったような)と銀色のショートパンツ、耳と首と両指と両手首、さらに両足首と腰に何本ものリングとチェーンが巻き付き、高下駄のようなサンダルの革ひもが膝まで結び上がっていました。
あまりにインパクトのある風体に私は怖れをなし、まかりまちがって痴漢かなにかに誤解され、「インネン」でもつけられては目も当てられないと、立ち位置を左に1メートル弱、不自然でないよう用心しながら移動しました。
すると、あろうことか、彼女は正確に1メートル弱身を寄せてきて、私の顔を見上げたのです。仰天した私は、イースター島のモアイ像のごとく、直立不動で車窓の倉庫街に視線を集中し続けました。
言いようのない緊張と緊迫の数分後、モノレールは羽田の第二ターミナルに滑り込みました。
「よかった・・・」
何が「よかった」のかわかりませんが、私は思わず独り言ちてエスカレーターに乗り、改札に折れようとしたところで何気なく振り返ったら、なんとバービーギャルが後ろにいたのです!
「わあっ!」と叫びそうになりました。私は、自分がモアイ状態の最中に、彼女はどこかで下車したと思い込んでいたのです。
すると、彼女はニッコリ笑って、
「お坊さんでしょ!」
「えっ、ええ、そう・・・」
「ねえ、ちょっとお茶しよ!!」
「えっ! ええっ・・・と、お茶・・・!?」
「時間無い?」
時間はありました。搭乗時間まで1時間以上あったのです(私は駅や空港には早く行く主義)。
「うん・・・。ちょっとそういうわけには・・・、すみませんね」
私は彼女の視線を切ると、ほとんど一目散という有様で、手荷物検査場に向かいました。
振り向きませんでしたが、私は彼女が後姿を見ていると思いました。
文庫本くらいにしか見えないバックだけを肩にかけていた少女です。空港に用があるとはとても思えません。偶然ではなく、彼女は私についてきたのです。そして、何か話がしたかったのでしょう。
しかし、そのとき私はあの恰好を見て、なんだか面倒なことになりそうで嫌だったのです。
私は搭乗口についてからも、ずっと彼女のことを考え続けました。明るく、屈託なく笑いながら「お茶しよ!」と言ったのは、実は勇気を振り絞ったのかもしれない。親でも友達でもない誰かに、どうしても話したい何かがあったのかもしれない。
あそこで「お茶」は嫌だったにしろ、寺の連絡先でも教えて、また気が向いたら連絡するように言えばよかったのに。
自分と話をしたいと言う人に対して、時と場所で妥協してくれる限り、面会を断らないと私が決めたのは、もう20年近く前の彼女との出会いからです。
まさかの人生相談だったら。
後悔した気持ち、分かる気がします。
和尚さんにも恐いものがあったのね⁉
バービーには困ったものね!!
(((ο ´艸`ο))))
見掛けで判断するお坊さんって、、、?
「どうかしたの?」くらい聞いてもよかったでしょうね!
その子にとって、お坊さんのイメージ
は、「聞いてくれない者」になったかもしれませんしね!
その子が、幻滅して、落胆して、ニュースにならないことを、ただ祈ります。
(;-人-;)
カールクルクル巻のヘアピース(かつら)を
毎日つけ変えて
ラーメ入り(ピカピカ光る素材)のワンピースを着て
高層ビルのような12㎝ハイヒールを履き
トップクラスのブランドバックを持ち
なのに授業では
一番前に座り
教授のジョークまで書き込むー知識に飢えた女子大生でした。
ですが、外見とは裏腹に
心の中では
誰か
自分に『応えてくれる』人を
必死に探し求めていました。
応じてくれるーとは
正解を言ってくれることでなく
押したら
返ってくる作用があるーとの確認でしたけど、
彼女には
その作用と作用点が合わなかった(持てなかったかな)から
孤独だったようです。
あのギャルはきっと
配慮深く、清く見えたあるお坊さんなら
きっと他の人とは絶対違う反応をするだろうーと思って勇気を出して
断れても平気なように
軽々しく声をかけたかも知れませんね...
修行を積みたいです。
コレって奥様のことでしょうか?
結婚できない独身者がよく使う、「縁がないから」というのは、違うように思いますね。
それも、10代半ばといえば、不満も多く、不安なことだらけでしょう。
最初、バービーちゃんは、数名の「仲間」と一緒かと思っていましたが、どうやら「一人」だったのですね。
悪くいえば、それを見捨てられたということなのですね。
よくいえば、物珍しいお坊様を、カラカいたかっただけなのかもしれませんね。