くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「チームひとり」吉野万理子

2010-02-26 05:29:52 | YA・児童書
東小卓球部シリーズも三冊め。吉野万理子「チームひとり」(学研)です。
広海の話ときいて、気になって仕方なかったのですよー。
双子の転校生で、兄とダブルスを組んでいたのに、その兄はサッカー部に入ってしまった。そして、一つ上の純と組むことになったのです。
今回は、「ひとり」ということに焦点の当たった話になっています。ふたりでやってきたつもりだったのに、ひとりになってしまった広海。もともとたったひとりで卓球部に入ってきた純。広海は純の精神的な強さに憧れます。自分にはできないことだから。
後半で明かされますが、広海は誰かに頼る癖がある。才能があるのにそれではいけない。大浦コーチは思い切って広海をシングルスのみの起用にします。納得できない気持ちをもちながらも頷いた広海ですが、純から誤解されてしまい……。
いやー、いいです、大浦コーチ! 今回は彼がいちばん素敵だった。
どうしても大人の目で見てしまうからなのでしょうけれど、卓球にかける思いを聞いて、しんみりしました。
「もし東小のコーチやってなかったら、オレは店に昔の同級生集めて、卓球やりまくってたよ。それか西小のコーチだな。つまりおまえと出会ってなくても、オレは卓球やらずにいられないの」
大浦コーチは、全日本ベスト8まで進出した実力をもちながら、膝の故障で引退しているのです。
それにしても、大地がそんなにうまくなっているとは。来年は全中かー。
ふと思ったのですが、四冊めは出るのでしょうか。主人公は? ミチルか陽子なのかしら。
吉野さん、デビュー作は五ページくらいで読めなくなってしまったので、こんなに気になる話を書ける人だとは当時思ってなかったですよ。
中学生になる彼らの活躍が楽しみですね。