くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「トップアスリート」小松成美

2010-02-06 02:22:26 | 芸術・芸能・スポーツ
読み始めると加速されて、ぐんぐん読めるのです。誰もが知っているアスリートたちの半生と、現在彼らが抱えているもの、これからどういう目標をもっているのか。
小松成美「トップアスリート」(扶桑社)。筆者は、以前「聞き上手は一日にしてならず」にも登場していた人なので、なにやら親近感もあり、とてもさくさく読めました。
ぱらぱらとめくっていって、まず目についたのは、レスリングの吉田沙保里さん。北京五輪が印象的だったので、気になる存在なのです。「負けることの悔しさを思えば、練習漬けの毎日も苦にならない」という言葉、彼女らしい気がします。
次いで、菅山かおる嬢。宮城出身ですからね。古商だし。バレーはかなり長いことファンだったので、「背景」がよくわかっておもしろいです。
ただ、ラリーポイント制になって以来、ほとんど見なくなってしまったので、山本隆弘選手をよく知りません。わたしにとって「バレーの山本」っていうと、山本健之だから(笑)。
あとは、井上康生ですねー。オリンピック前にやってきた教育実習生がずっと柔道をしていた人で、井上さんの友達だったのです。とにかく柔道に真面目に取り組んでいて、普段の練習が終わった後も一人黙々とトレーニングしていると言っていました。
そこまで読んだら、全部読むしかないでしょう!
じっくり腰を据えて読んだのですが、気になる人といえば、為末大です。考える、イメージする、実践する、失敗を見直す、またそれを改善するために考える……。
インタビューに対して、「私は」と言葉を選びながら語る姿が彷彿とされてきます。哲学的な思考を感じる。すごいなー。ハードルって、そんなにグレードの高い競技なんだーと納得させられちゃう。
それから、それから、といろんな人を紹介したくなりますが、どこから読んでもいいし、自分の興味がある部分だけつまんでも悪くないと思うので、ご一読をおすすめします。かくいうわたしも、「私の1冊 日本の100冊」(学研ムック)で、村主章枝が紹介しているのを読んで手に取ったのです。
ただ、結構いろいろなスポーツを取り上げてはいるんだけど、ハンドボールとかバドミントンとか剣道とか、中高生が部活でやっている種目をもうちょっと入れてもらえると嬉しいな。目標となる選手がどういう姿勢で活動してきたかがよくわかると思う。
いや、もちろん種目を超えて伝わるものはあると思いますよ。

あと、全体を見て感じたのは、幼少期における親や指導者の役割、ということ。中島一貴や室伏幸治のような「二世」選手はもちろんですが、結構環境によるところが大きいと思いました。純粋に「部活」から実力を認められてきた人は福士加代子を始めとして、そう多くないような。野球選手なんて、硬式リトルリーグのない環境だと不利なのでは? と思わされてしまいました。
で、この本がおもしろいので、「アスリートの夢」(きむ)も買ってみたのですが……。停滞しています。DVD見ればまた違うのかも知れないけど、詩は必要なのかなあ? 「中学生の夢」はとってもよかったんですが。
選手の皆さんの言葉だけで結構含蓄があるので、さらに詩が入ると、一体どっちがメインなのよという気になる。わたしだけ? うーん、ナカムラミツルとかも性に合わなかったのでそのせいでしょうか。