くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「こころの薬」大平健・倉田真由美

2010-02-09 05:24:38 | 哲学・人生相談
最初は複雑だったのです。大平先生と倉田真由美が共著で「こころの薬 幸せになれる診療室」を出版。こりゃまたなんと申しますか。
わたしも「だめんずうぉーかー」は大好きですが、なんだか妙な取り合わせ。しかも倉田再婚出産のニュースで驚いたばかりだし。どきどきしながらも、大平先生の本だし出版元も新潮文庫であることだし、と思いながら買いました。
そしたら、結構倉田が聞き上手なのですよ。インタビューの基本もおさえて、適宜要約したり切り口を変えて質問したりしている。なかなかやりおるわい。ふぉっふぉっふぉっ。
と思いながら読みすすめました。
精神科医は患者の顔を見ればある程度どの薬を処方すればいいかが分かる。うつを引き起こす背後には、直接の原因を探らなければならない。それは本人が意識している原因とは違う場合もありうる。勝つとか負けるとか考えてばかりではストレスがたまってしまう。スピリチュアルがもてはやされる背後には複数の利益を伴う理由があり、それはある人たちにとっては「自分探し」である。では、今いる自分は「ニセ者」なのか。
そんなことが大平先生のソフトな語りで説かれていきます。
中でもわたしが「なるほどっ」と思ったのは二つ。
① 考えても仕方(文字通り、対抗する手段)のないことは考えないと心得ておきましょう。(略)残念ですが、バカは直りません。説教するだけ無駄というもの。
② 「好きです」と告白しないと関係が進まないようになったのはここ二十年くらいのことだと思いますよ。〈告白〉制度って面白くて、互いの気持ちを確かめ合って恋人同士になった途端に、人間関係が大きく変わるでしょう。
どちらもうんうんと頷いてしまいます。意識はしていたはずなのに、言語化できずにいたというか。そういわれてみれば思いあたる節があり、そういうことを指摘されたら、確かに心が軽くなるように思いました。
カウンセリングはその人の表面的な悩みを聞くだけではたりないのだな、と。奥底に沈みこんでいるもやもやしたものを掬い上げる必要がある。難しいですね。わたしはどうも人を表面で捉えがちなので、解きほぐしてあげられないことの方が多いです。
大平先生の本を読むと、なんだかとってもすっきりするのです。心の処方箋を書いていただいているのですね。先生が言うように、うまい具合に開き直れるようにしたいと思います。