くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ガリレオの苦悩」東野圭吾

2010-02-16 05:29:58 | ミステリ・サスペンス・ホラー
いやー、湯川先生に泣かされるとは思ってもいませんでした。
東野圭吾「ガリレオの苦悩」(文藝春秋)です。短篇集なので、わりと犯人は察知しやすいのですが、この理科知識満載のしかけにはいつもながら嘆息いたします。
わたしは今までに「探偵ガリレオ」と「予知夢」を読みまして、「容疑者X」は幾度かチャレンジしたのに、未読です。でも映画は後半だけ見たんですよー。そのせいか、以前読んだときとは明確な変化がありました。湯川学の顔が、福山雅治で浮かぶのです。
制作が決定したとき、福山のラジオでそのことを知ったのですが、彼は湯川が「変人」であることにこだわっていましたねー。
でも、ナイスなキャスティングだったと思います。ドラマ見てないけど。

今回は五つの短篇が収録されているのですが、わたしが泣かされたのは二つめの「操縦る(あやつる)」です。「メタルの魔術師」! 父と娘との愛情が交差してとてもいいです。それを支える湯川が、人間的にも成長していて、自然に涙が。
若い女性刑事・内海薫が登場し、草薙の存在感がかなり薄くなってしまいましたね。
だからラストの「撹乱す(みだす)」では活躍が見られておもしろかった。
すごく視野の狭い男が主人公で、世の中を自分本位にしか見ていないのが伝わってきました。(そういえば二話の男も嫌な奴でしたね)
結構あちこちに「容疑者X」についての傷あとが見えるようになっているのもおもしろかった。
なんだか今なら、「容疑者X」が読めそうな気がします。「聖女の救済」も借りてあるのですが、どちらを先に読むべきなのか、悩みますねー。