くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ぶったまげ! けもの大図鑑」

2017-06-11 21:23:15 | 自然科学
 娘と書店に行ったところ、この本を手に取ったら「わたしもさっき見た!」と言ってました。
 表紙にアニメキャラみたいなイラストがあって「日本の動物園で会えるフレンズたちが満載!!」って書いてあるからかな。
 「ぶったまげ! けもの大図鑑」(MS MOOK)。中身にアニメキャラは全く関係ないんです。
 レッドデータリストのランクとか学名とか、結構まじめな図鑑ですよ。
 中でも興味深いのは、「見られる日本の動物園」というリストが入っていることです。
 結構幅広く展示されている動物もいれば、一ヶ所しか表示がないものもあります。
 稀少な例としては、オセロット(ズーラシア)、アフリカオオコノハズク(掛川花鳥園)、ブラウンキーウィ(天王寺動物園)、タスマニアデビル(多摩動物公園)といったところでしょうか。
 ニシツノメドリ(パフィン)も、上野と那須動物王国にしかいないんだって。わたしはシフゾウが見たいのですが、多摩動物公園と安佐動物園と熊本しかない。
 孫悟空のモデルともいわれるキンシコウが見られるのは熊本だけみたいです。
 わたしは西の方にはほとんど行ったことがなく、九州なんてこれから先いくことができるのかとすら思うのですが、こう聞くと熊本に行ってみたい気がします。
 

「スズメの謎」三上修

2016-11-22 06:47:26 | 自然科学
 今年度改定の国語教科書に掲載されている「スズメは本当に減っているのか」の元本。三上修「スズメの謎 身近な野鳥が減っている?!」(誠文堂新光社)です。
 テストを作るのに、挿絵を参考にできないかと思って、再度借り出したのですが、そういえば以前読んだときに感想を書いていないかも、と気づきました。
 夏休みに家庭訪問の傍ら読んだため、タイミングを失ったのでしょう。田んぼの脇に車を停めて、時間まで読んでました。
 前任校では購入したのですが、現在の勤務校にはないのです。
 ただ、校内にはスズメがいます。クラブハウスあたりに巣がある。この本を読んだ当時、探しに行きました。

 わたしが中学生の頃、帰り道で電線からこぼれ落ちそうなくらいのスズメが留まっているのをよく見たものですが、言われてみれば最近見かけません。
 スズメに絶滅の危機がくるときもあるの?
 三上先生は、スズメの数を調べようと考えます。
 でも、正確な数がわかるはずがないので、調査の結果を検討して「減っている」と結論づけてよいという結果になります。
 わたしはこれ、クリティカルシンキングだと思うのですが、どうでしょう。正解ではなく、納得解。
 スズメの減少は、絶滅につながる可能性がある。かつてのリョコウバトのように。
 教科書に書かれている部分は、この本のほんの十数ページにすぎません。
 スズメという鳥のことを、わたしはありふれた鳥だと思っていました。田舎住まいのわたしには、朝からスズメの声が聞こえているのは当たり前でしたから。
 スズメが減っているという実感はありませんでしたが、事実を知ったからにはよく観察してみようと思います。

「はつみみ植物園」西畠清順

2016-08-26 06:55:27 | 自然科学
 プラントハンター西畠清順の「はつみみ植物園」(東京書籍)が面白そうだったので借りました。
 「はじめに」によると、六回ほど発売延期になったそうです。というのも、西畠さんがお忙しいから……。ワールドワイドに活躍されているのだから、原稿を書く時間も限られますよね。
 ただ、そのせいか後半は西畠さんの関わったお仕事の紹介やプロフィールとかで、植物のよもやま話が読みたかったわたしには物足りない感じでした。ファンブックみたいというか。
 サボテンのトゲは葉が変化したものだとか、こんにゃくの花が咲いたら異臭騒ぎになったとか、帰化植物は日本在来植物の六分の一にあたる1200種くらいとか、そういうのがおもしろかった。(漢字が渡来する以前のものは記録にないので「あったことにしよう」ということなんだって)
 ちなみに野菜のほとんどは外来種。
 果実に比べて野菜がおいしくないのは、植物の体本体(葉、根、茎など)だから。果実はタネなので遠くに運んでもらう必要がある。
 中でも興味深いのは、オンブーという植物。すごい成長の早さで、五年後には八メートルにもなるそうですが、分類上は「草」だそう。
 確かもう一冊、同じシリーズがありましたよね? 「そらみみ植物園」でしたか? そちらも読んでみたいと思います。

「ニホンカワウソはつくづく運がわるかった?!」熊谷さとし

2016-08-08 21:04:52 | 自然科学
 グラビアのニホンオオカミ関連の写真だけでも、ものすごく心引かれます。熊谷さとし「ニホンカワウソはつくづく運がわるかった?!」(偕成社)。
 絶滅危惧種を扱ったものに関心があるのでかなりたくさん読んでいると思いますが、現在でも目撃情報があるという話題は興味深かったです。
 ただ、熊谷さんの語り口が独特なので、読者を選ぶかもしれません。
 なにしろ自分のことを「俺」と書き、研究者の方と「義兄弟」なんていっているので、これまで読んだものとはタイプが違っていました。
 熊谷さんはもともとは学習まんがを描いていたそうです。イラストがユーモラスで、子どもにも親しみやすいのではないでしょうか。
 カワウソやオオカミのほかに、状況別で絶滅や激減した動物についても紹介されています。
 もう返却したので、間違っていたらすみませんが、リョコウバトとかトキ、コウノトリ、アホウドリ、ドードー……なんということか、鳥しか思いだせない(何故?)
 これから絶滅について知りたい人には、保全・保護の違いから説明してくれる、入門書としても頼れる一冊だと思いました。

「北国に育つホタル」浅田義邦

2016-08-07 16:40:05 | 自然科学
 すみません、古い本で。
 浅田義邦「北国に育つホタル 私の観察日記」(誠文堂新光社)。1974年刊!
 ゲンジボタルの里といわれる金成沢辺の環境保全のために、ホタルの人工飼育に取り組んだ校長先生の記録です。
 近くに住んでいるというのに、わたしはゲンジボタルの飛ぶ様子を見たことがありません。
 友人が一昨年見に行って「びっくりするくらい飛んでた!」といってました。
 
 浅田さんは、町内の学校に転勤したことをきっかけに、天然記念物「沢辺の源氏蛍」として指定された板倉堰の環境を整えることと、タマゴを採取して人工飼育をすることを計画し、ホタルを増やしたいと行動します。
 餌になるカワニナをとったり、水槽の温度管理をしたり。手探りでの観察の日々。
 病気で入院した友人に、やっと誕生したヘイケボタルを見せに行くエピソードや、飼育を通して各地の人々と交流する姿も。

 でも、これほど苦労されたホタルの人工飼育は、その後当地で継承されているのかというと、わたしにはわからないのです。栗原の観光マップにはかかれていないし、金成出身の同僚も学校でホタルの話は出なかったと言っていました。
 ただ、ネットで検索すると、浅田さんからタマゴを譲り受けた方が、今もホタルを育てていることがわかります。
 つながり続けるというのは、たいへんなことですよね。

「身近な野の花のふしぎ」森昭彦

2016-04-16 20:34:21 | 自然科学
 転勤以来ものすごく忙しくて、これから先も休みはかなり消失すると思われ、非常に憂鬱です。生徒が落ち着いているので、このまま頑張ろうと思っていますが。
 疲れているせいか、8時くらいにもう眠くなる。この本を読んでいるとさらにその比率が高くなります。心地よいからでしょうか。
 「身近な野の花のふしぎ」(サイエンス・アイ新書)。
 「身近な雑草のふしぎ」が面白かったので同じ系統のものを借りてきました。
 「野の花」と「雑草」ってどう違うのか迷うところですが、花が咲くことをメインに集めているのでしょうね。特に「帰化植物」を集めている部分が興味深いです。
 道端や校庭に咲くあの赤い花は「ナガミヒナゲシ」というのですね。
 五年くらい前からやたらと目につくようになってきました。すごい勢いで席巻されていく花壇に驚きます。
 「セイタカアワダチソウ」が増えるのが気になってできるだけ切ってきたわたしとしては、花粉症のアレルゲンだと誤解されていたという話と、根っこがなわばりを主張する物質を形成するのだけれど、自家中毒を起こしてしまうというのが衝撃的でした。
 
 ところで、わたくし現在ひっそりと図書室改変してます。メイン担当じゃないんですが。
 やっぱり本の整理をしていると落ち着きますね。地道に頑張ります。

「野生動物と共存できるか」高槻成紀

2016-03-24 05:21:55 | 自然科学
 著書のお名前にピンときた方は、東京書籍の国語教科書(一年)の「オオカミを見る目」を読まれてはいませんか?
 高槻成紀「野生動物と共存できるか 保全生態学入門」(岩波ジュニア新書)は、オオカミをはじめ様々な生物の実例を用いて保全生態学について紹介しています。
 「オオカミを見る目」に補充を加えた文章も載っていますし、三年生の「絶滅の意味」(中静透)で描かれているリョコウバトやジャワマングースのことも。ラッコとコンブの例に、さらにはウニやシャチの数も関わっていたことが判明して、知的好奇心を刺激されてしまいます。教材研究にはもってこいの一冊。
 わたしは絶滅について調べ学習をさせるために、文献やら新聞記事やらを集めているのですが、そこに書かれていたことが集約されているため、知識がぎゅっと集まってくるようで、非常にエキサイティングでした。
 
 

「ハクチョウ水べに生きる」

2016-01-26 20:00:04 | 自然科学
 朝から頭痛がひどくて困っています。
 こういうときは、根をつめない緩やかな本を。「ハクチョウ水べに生きる」(小峰書店)。文/嶋田哲郎、写真/伊藤利喜雄。「つながってるよ いのちのWA!」の二冊めです。
 舞台は宮城県栗原市・登米市。地元ですから、親しみをもって読みました。

 わたしにとって、伊豆沼・内沼、そして迫川は幼い頃からハクチョウを見に行った場所。冬にはハクチョウやガンが渡ってくるのは当たり前のことでした。
 授業中にも鳴きながら飛んでいく姿が見える。子どもが生まれてからは一緒に沼まで行ったこともあります。友達の娘さんが、意外に大きいハクチョウに怯えて泣いちゃったり。
 この本にもありますが、首を伸ばしたハクチョウは思った以上に巨大なんですよ。普段は少し離れた場所から見るからそうとは気づかないんですけどね。

 ハクチョウは沼や田んぼにえさを取りにいきますが、日によって向かう場所が違う。それはなぜか。嶋田さんは毎日観察して、その理由を解き明かします。水田に行く日は、雨で水位が上がるために採食できるというように分析できるからだそうです。ハクチョウは「こしとり」という食べ方をするのでかわいたところでは難しいのだとか。
 沼ではレンコンをを食べます。沼底にあるのでハクチョウにしか食べられない。ハスは増えすぎると沼水を汚す原因になるので、管理に役立ってくれているというのもなるほどと思いました。
 驚いたのは、ハクチョウが食べる野生のハスはピンクの花が咲き、食用ハスは白い花が咲くとのこと。そうなのか! はす祭りではピンクの花の中を舟が移動するイメージが強いので、やっぱり伊豆沼は野生ハスが中心なのですね。
 
 ハクチョウの生活、興味深く読みました。
 同じシリーズのコウノトリもおもしろかった。豊岡のコウノトリ、全国で目撃されているのですね。地域の方々が復活を目指して努力する様子が感じられました。
 わたしはコウノトリにはもともと関心があったのですが、地元のハクチョウの話題を読んで、環境を大切にしなければならないのは同じだと感じました。
 
 頭痛は、結局鎮痛剤を飲みました。
 わたし、結構丈夫なので(点滴打ったこともない)体調崩すとつらいですね。今はすっきりしております。

「ニセ科学を見抜くセンス」左巻健男

2016-01-22 02:54:56 | 自然科学
 山本弘さんのニセ科学検証ものがおもしろかったので、類似作品を借りてきました。左巻健男「ニセ科学を見抜くセンス」(新日本出版社)。
 ちょっと本を借りすぎていて(呆れ)、全部読んではいないのですが。
 中でも印象深いのは、ズバリ「EM」です!

 知ってます? 「EM」。
 わたしは以前利用していた美容院の待合コーナーにあったパンフレットで知ったのですが、消臭効果があると聞いて養護教諭が分けてもらったのですよ。
 トイレで使ってみたのですが……。
 二回めをもらってはきませんでした。
 で、この本を読んで納得しました。左巻さんは、EMは新興宗教団体が関係した微生物資材(農業用)であると書いています。そうそう! 薬効のある物質というよりは、確かに宗教的側面があるのは感じます。なるほどねー。万能薬をうたうっていうのは、胡散臭い感じですよね。
 と思っていたら、ギョッとするようなことが書いてありました。
 国会議員の超党派でEMを推進する連盟が結成されている。さらに開発者は「EM生活をすることを国民の義務にすることを狙っています」って、えええーっ。
 ちなみにEM団子などを環境改善だと信じて、川などに投げ込む活動をした学校もあるそうです。
 
 「水からの伝言」関連でTOSSの批判があり、向山洋一氏が原子力肯定の考えであるという話題も衝撃的でした。
 わたしもそれなりにTOSS活動は読んできたので。
 まあ、確かに「我流」を戒めているけれど、その追試のもとになるものはじゃあどこからくるのか、というのがわたしには謎だったので、わかるように思います。
 ニセ科学は、意外と教育界に浸透しているのかもしれないと思いました。考えて生きていかないとならないですね。

「ニセ科学を10倍楽しむ本」山本弘

2016-01-02 05:55:36 | 自然科学
 これも「YAブックガイド150」の紹介本。
 山本弘「ニセ科学を10倍楽しむ本」(ちくま文庫)。
 「おもしろそうだと思わない?」と息子に見せたら早速読み始めたので、お互いの読んでいない時間を見計らって手にとっていました。
 いわゆる「ニセ科学」。血液型占いとかアポロ陰謀説とかフォトンベルトとか、疑わしいテーマを一刀両断。
 科学的なリテラシーも鍛えられます。

 「と学会」のメンバー原田実さんも紹介していた「水からの伝言」について。学校の道徳の授業で知った夕帆が、自宅でパパ(小説家)に疑問を投げかけます。
「ねえ、パパ。水には目があるのかな?」
 パパにはピンときます。先生がどんな授業をしたのか。水に「ありがとう」と書いた紙をはると美しい結晶ができる。「ばかやろう」だと結晶はできない。
 もちろん水が字を判別できる訳はなく、著者は何枚も写真を撮ってイメージにあうものを採用しているに過ぎません。また、単語は使用背景によって与える印象が変わるもの。パパは具体的な例を出しながら夕帆の疑問に答え、先生にも道徳の根拠を科学に求めてはいけないのだと話しにきます。
 わたしもTOSSの本は結構読んだのですが、この題材はよく覚えていません。自分では取り上げたことないです。ただ、これを生徒に紹介したいと思う教員はいるだろうとは思います。
 だって、都合いいですもん。
 山本さんは「きたない言葉を使うのはやめましょう」と言えばいいではないかとおっしゃいますが、授業として組み立てるにはその一言で終わってしまうわけにはいきませんよね。
 写真という具体、そして言葉との因果関係が伝わりやすくインパクトもある。教材としてもてはやされるのはわかります。
 でも、そんなの信じられないと思う子供はいるでしょう。というより、鵜呑みにしてしまう子ばかりだったら怖いよね。
 わたしだったら、多分うさんくさい感じを捨て切れない。授業者が信じられない内容では、授業にはならないと思うので、こういう題材をストレートに受け止められる方は素直なのだと感じます。

 ちなみに、息子は読み終わったあとに「買うならどっち?」(夫所有)を読んでおりました。