語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】中原中也「つみびとの歌 ~阿部六郎に~」

2015年08月04日 | 詩歌
 わが生は、下手な植木師らに
 あまりに夙(はや)く、手を入れられた悲しさよ!
 由来わが血の大方は
 頭にのぼり、煮え返り、滾(たぎ)り泡だつ。

 おちつきがなく、あせり心地に、
 つねに外界に索(もと)めんとする。
 その行ひは愚かで、
 その考へは分ち難い。

 かくてこのあはれなる木は、
 粗硬な樹皮を、空と風とに、
 心はたえず、追惜のおもひに沈み、

 懶懦(らんだ)にして、とぎれとぎれの仕草をもち、
 人にむかつては心弱く、諂(へつら)ひがちに、かくて
 われにもない、愚事のかぎりを仕出来(しでか)してしまふ。

□中原中也「つみびとの歌 ~阿部六郎に~」(『山羊の歌』(文圃堂、1934)所収)
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 【参考】
【詩歌】中原中也「夕照」
【詩歌】中原中也「骨」
【詩歌】中原中也「月夜の浜辺」
【詩歌】中原中也「一つのメルヘン」
【詩歌】中原中也「湖上」
【詩歌】中原中也「汚れつちまつた悲しみに・・・・」
【詩歌】中原中也「サーカス」
【詩歌】丸ビル風景 ~正午~



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