幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処での一(ひ)と殷盛(さか)り
今夜此処での一と殷盛り
サーカス小屋は高い梁(はり)
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒(さか)さに手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が
安値(やす)いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
夜は劫々(こふこふ)と更けまする
落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
□中原中也「サーカス」(『山羊の歌』(文圃堂、1934)所収)
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【参考】
「【詩歌】丸ビル風景 ~正午~」
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処での一(ひ)と殷盛(さか)り
今夜此処での一と殷盛り
サーカス小屋は高い梁(はり)
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒(さか)さに手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が
安値(やす)いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
夜は劫々(こふこふ)と更けまする
落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
□中原中也「サーカス」(『山羊の歌』(文圃堂、1934)所収)
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【参考】
「【詩歌】丸ビル風景 ~正午~」