語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】中原中也「冬の長門峡」

2015年11月16日 | 詩歌
 長門峡に、水は流れてありにけり。
 寒い寒い日なりき。

 われは料亭にありぬ。
 酒酌くみてありぬ。

 われのほか別に、
 客とてもなかりけり。

 水は、恰あたかも魂あるものの如く、
 流れ流れてありにけり。

 やがても密柑みかんの如き夕陽、
 欄干らんかんにこぼれたり。

 ああ! --そのやうな時もありき、
 寒い寒い 日なりき。

□中原中也「冬の長門峡」(『在りし日の歌』(創元社、1938)所収)
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 【参考】
【詩歌】中原中也「雪の宵」
【詩歌】中原中也「言葉なき歌」
【詩歌】中原中也「北の海」
【詩歌】中原中也「春日狂想」
【詩歌】中原中也「幸福」
【詩歌】中原中也「朝鮮女」
【詩歌】中原中也「朝の歌」
【詩歌】中原中也「曇天」
【詩歌】中原中也「つみびとの歌 ~阿部六郎に~」
【詩歌】中原中也「夕照」
【詩歌】中原中也「骨」
【詩歌】中原中也「月夜の浜辺」
【詩歌】中原中也「一つのメルヘン」
【詩歌】中原中也「湖上」
【詩歌】中原中也「汚れつちまつた悲しみに・・・・」
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