メア氏に反論していない友寄氏




 「メア氏著書隠せぬ本音」とは変な見出しである。著書は本音を書くものであり、嘘を書くものではない。友寄氏はメア氏の著書「決断できない日本」に対する批判をするのかと期待したが、文章を読んでみると、友寄氏はメア氏を批判していない。文章を抜粋して揶揄しているだけである。

 「しかし、普天間については、危険は『神話』であり、『中世の天動説』だと述べている。また、農地だった『その周辺に学校などさまざまな施設の建設を次々に許可したのは当の宜野湾市ではないですか』と、自らの正当性を主張する」と延べ「同様の発言で沖縄からの反発があったということなどどこ吹く風。こういう思考と態度が沖縄への占領意識と蔑視からきていることが「」メア発言』の本音であることは言うまでもない」とメア氏を非難している。しかし、友寄氏の非難は理にかなった非難ではない。メア氏が沖縄からの反発に平気であることはメア氏は自分の考えは正しいと信じている証拠であり、沖縄は反論ができなくて、単純に反発しているだけである。

 『その周辺に学校などさまざまな施設の建設を次々に許可したのは当の宜野湾市ではないですか』とメア氏が主張したことに対して、友寄氏は「沖縄から反発があったことなどどこ吹く風」と述べているだけで、メア氏に反論をしていない。沖縄から反発されたからメア氏の発言は間違っているとは言えない。

 普天間飛行場ができた頃は、普天間飛行場の周囲は畑があり、住宅や学校はなかった。それは事実だ。普天間飛行場の周囲の数百メートルは安全地帯と設定されていて軍用地であった。設備としてアメリカ軍が使用する目的がなかったので、アメリカ軍は畑として使用することを許可した。それを黙認耕作地という。
 黙認耕作地で広いのは嘉手納弾薬庫である。嘉手納町を過ぎて読谷村に入った時、右側には建物はなく畑が広がっている。山の一帯が嘉手納弾薬庫であり、弾薬庫には爆弾が貯蔵しているから、貯蔵している爆弾が爆発した時に被害を少なくするために広大な黙認耕作地があるのだ。
 
 普天間飛行場も周囲を黙認耕作地にしていたが、宜野湾市は黙認耕作地の解放を要求し、アメリカ軍が安全地帯として設定していた黙認耕作地が開放されると、普天間第二小学校、沖縄国際大など建物をどんどん建てていったのだ。
 普天間基地の周囲に建物を建てたのはアメリカ軍ではなく宜野湾市である。
基地の外にアメリカの法律は適用できない。普天間第二小学校、沖縄国際大などの移転を決めることができるのは宜野湾市であってアメリカ軍ではない。

 友寄氏は第3代高等弁務官のキャラウェー氏が「沖縄の自治は神話にすぎない」と言い放ったと批判しているが、キャラウェーが悪名高い高等弁務官である原因は、汚職や談合が当たり前であった沖縄の金融・経済界を浄化したことである。それが沖縄の支配者連中に嫌われたのだ。
 メア氏とキャラウェー氏はアメリカ的合理精神を持っていることで共通している。汚職と談合が当たり前で沖縄の政治・経済の発展を真剣に考えていなかった1960年代に、キャラウェー氏が「沖縄の自治は神話にすぎない」と言ったのは、真理である。。

 現在も問われているのは沖縄の自立である。沖縄は自立していると宣言できる時期を断言できるのはまだ誰もいない。

  メア氏やキャラウェー氏の発言は全てが正しいとは言わないが、二人とも物事を真剣に考えるタイプであり、沖縄に対する鋭い警告であることには違いない。
メア氏の発言を真正面から受け止め、認めるところは認め、反論するべきところは反論するのではなく、「こういう思考と態度が沖縄への占領意識と蔑視からきていることがメア発言の本質であることは言うまでもない」と断じるのは、逆にメア氏蔑視である。
 
 日本滞在19年、妻は日本人であり、日本に永住しようと考えているメア氏に「沖縄への占領意識と蔑視」があるだろうか。メア氏の著書は「決断できない日本」であるが、それは日本への蔑視ではなく、叱咤激励ではないだろうか。
 
 メア氏に対して、いい加減な態度を感じる友寄氏のコラムである。
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