「全員協議」は無効だ



 17日の沖縄タイムスを見て驚いた。なんと、県教委「全員協議は有効」と一面にでかでかと掲載していたのだ。普通の人なら、一面にでかでかと載っているのだから、全員協議は有効であり、全教育委員が集合して東京書籍を多数決で決めたのだから、有効だろうなあと思うだろう。
 タイムスも新報も、石垣市、与那国町、竹富町の全教育委員が集まったことは何度も強調するが、石垣市は4万9千人、竹富町は4000人、与那国町は1600人であり、人口では石垣市が9割を占めているという事実は今まで一度も掲載していない。

 新聞も育鵬社の教科書採択に反対する識者たちも、石垣市、与那国町、竹富町の全教育委員による多数決で東京書籍を選択したのだから民主主義的であり、8月23日の協議会で育鵬社を決めたやり方は非民主的であると主張している。しかし、石垣市が人口9割も占めているという事実を知った上で、石垣市、与那国町、竹富町の同数の教育委員による多数決が民主的であると主張できるだろうか。

 新聞は全教委に多数決は民主的であると主張する目的で、故意に石垣市、与那国町、竹富町の人口を掲載していないのじゃないかと疑いたくなる。石垣市が人口9割も占めているのに、「全員協議」は有効であるとするのは横暴だ。

 8日の全教育委員の賛成過半数による東京書籍の選択は無効である理由を箇条書きにする。

1、石垣市は4万9千人、竹富町は4000人、与那国町は1600人という、人口格差が大きいのに、教育委員を同数にして、賛成多数で教科書を選択するのは非民主的な教科書の選択であり認められない。
2、法律には素人だから断言はできないが、恐らく教育委員は地方教育行政法によって任命されたと思う。だからそれぞれの市町で任命された教育委員の役目はそれぞれの市町の教科書を選択することだ。
石垣市の教育委員は石垣市の教科書だけを選択する権利がある。石垣市の教育委員は武富町や与那国町の教科書を選択する権利はない。同様に竹富町の教育委員は武富町の教科書を選択する権利はあるが、石垣市や武富町の教科書を選択する権利はない。

 石垣市の教育委員は石垣市内において教育委員であり、石垣市から一歩でると教育委員の資格は有しない。同じように、竹富町の教育委員は武富町から一歩出ると教育委員ではなくなる。与那国町の教育委員も同様である。
 県教育庁は石垣市与那国町が育鵬社の教科書を選択し、武富町が東京書籍の教科書を選択したので、八重山全体の教科書を選択するために、各市町の教育委員を集めた。県教育庁が集めたのは地方教育行政法ではなく教科書無償措置法によってである。
 地方教育行政法によって任命された教育委員は教科書無償措置法にはなんの権利も有しないはずだ。石垣市の教科書を選択するために任命された教育委員が武富町や与那国町の教科書を選択するような行為はできるはずがない。
 地方教育行政法によって任命された教育委員は教科書無償措置法に対しては教科書を選択する権利はない。県教育庁が教科書無償措置法を適用する場に、地方教育行政法によって任命された教育委員を呼ぶことはできなかった。なんの権利もない教育委員が教科書無償措置法に準じて決めなければならない八重山地区の教科書を決めたことは無効だ。
3 8月23日に各市町の教育長が集まって、教科書無償措置法が求める八重山地区の教科書を決めようとしたが、公民の教科書は石垣市と与那国町は育鵬社を推薦し、武富町は育鵬社の教科書に反対した。2対1だから育鵬社の教科書に決まったようなものだが、教科書無償措置法には強制力がない。
 だから、竹富町は協議で少数派だったが東京書籍を選択した。武富町が東京書籍を選択したのは地方教育行政法にもとづいている。

 教科書無償措置法には強制力はない。もし強制力あったならば竹富町は育鵬社の教科書を選択しなければならなかったはずだ。
ところが県教育庁は教科書無償措置法には関係のない三市町の教育委員を集めて、教育委員の賛成多数の議決をして東京書籍を選択し、石垣市と与那国町に東京書籍を選択するように強制したのだ。

 強制力がないということはなにがなんでも八重山地区の教科書を統一しなければならないということではないということだ。高校は学校別に教科書を選択している。義務教育で教科書を統一する理由は転校生が困らないようにするためだ。それ以外の理由はない。八重山の三市町が同じ教科書であれば転校生は困らない。
  
 強制力がない教科書無償措置法に強制力を持たした県の主張は無効だ。

4、協議会は三教育長が同意してはじめて成立するとしているが、三教育長が賛成して教育委員の多数決で教科書を選択しても、選択に資格のない教育委員の参加による採択であるから、選択は無効だろう。
石垣市教育長と与那国教育庁は多数決で決めることには反対しているから、なおさら全員協議は無効だ。
教科書無償措置法は他市町に強制力のない法なのだ。
   
 以上、4つの理由から8日の「全員協議」は無効である。

八重山の教科書問題を県教育庁が指導することになったときに、県教育庁は法に従って行動するべきである。育鵬社を採択したくなくても、そのような私情は捨てるべきである。なんとか、育鵬社を採択しないようにしようという政治思想があるから、毅然とした指導ができないのだ。
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大阪の教育改革がうらやましい

 大阪府の橋下徹知事が率いる地域政党「大阪維新の会」が9月府議会に提案する職員・教育の両基本条例案をめぐり、維新府議団と府職員が16日、公開で議論を戦わせた。職員から「現場の実態を踏まえていない」と指摘され、維新側が条文の再考を約束する場面もあったが、計5時間超に及んだ“第1ラウンド”はほぼ物別れに終わった。
 「率直に申し上げたいのでよろしく」。府総務部の小西禎一部長はこう口火を切り、職員基本条例案の疑問点の指摘を始めた。
 小西部長は給与制度改革、府出資法人の削減、人材バンク制度を利用した再就職支援など、橋下府政下で進めてきた公務員制度改革を列挙。「改めて条例を制定する必要はない」と主張し、人事評価に「相対評価」を採用して各部署の5%の職員には最低ランクを付ける規定にも、「優秀な職員ばかりでも最低ランクを付けるのか」と迫った。
 維新側は松井一郎幹事長や、条例案の策定に関わった経産省出身の紀田馨議員らが中心となり、「将来、橋下知事でなくなっても橋下改革の成果が続くよう、条例でルール化する必要がある」などと答えた。
 相対評価に基づく分限免職に「やる気を失わせる」と批判が相次いだのに対し、前泉佐野市長の新田谷修司議員が「『なんぎな職員を頼むわ』ってやるでしょ」と、評価の低い職員を“たらい回し”にしている実態を指摘。小西部長は「研修などは今(の制度)でもやっている」などと答えた。
 一方教育基本条例案について、府教委の中西正人教育長が「現実とあまりにかけ離れており、施行は弊害が大きい」と批判。正副校長の任期付き公募採用にも「ポストは400以上になり、そんなに人材が集まるか疑問」と指摘し、担当者も「不安定な身分で、継続的に有能な人材が確保できるのか」と続いた。
 小中学校の学力テスト結果の学校別公開には、府教委側から「学校の格付けが地域の格付けになる」と懸念する声が上がり、松井幹事長は「情報公開すれば、地域が一体となって学力向上に取り組んでくれるはずだ」と反論した。
 公務の合間に顔を出し、熱心にやりとりを見守った橋下知事は「地方議会のあるべき姿に一歩一歩近づいている」と述べた。




大阪維新の会はすごい改革をしようとしている。怖いくらいだ。改革の目的は大阪の経済発展であり、大阪府民の生活が豊かになるためだ。そのための公務員制度改革、教育改革だ。
教育改革では

1、知事は府立校が実現すべき目標を設定。教育委員が目標の責務を果たさない場合は罷免できる。
2、正副校長は公募により任期つきで採用。
3、府独自の学力テストの成績を市町村別、学校別に公表。
4、校長に予算要求権、人事権を付与。教科書も推薦できる。
5、府立高校の学区廃止
6、定数を3年連続で下回り、改善の見込みない府立校は統廃合。

 八重山の教科書問題なんか簡単に吹っ飛ぶ教育改革案だ。
維新府議団と府職員が改革案をめぐり討論バトルをするのも素晴らしい。大阪がうらやましい。
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