国家の第一は民主主義である。美しさとか品格はまやかしの国家論である。新聞に掲載されている論文を中心に批判する。
品格より民主そして自由
集団自決を解明する
太平洋戦争が終わって66年になる。戦後の政治・経済は66年間で大きく変化した。1991年にはソ連が崩壊して社会主義体制は崩壊した。唯一の社会主義大国である中国も市場経済を導入して、アメリカと貿易することによって目覚しい経済発展をし、過去の社会主義対資本主義の対立構図も変貌した。
中東ではアメリカ軍進攻によってイラクとアフガンが民主主義国家を形成しつつある。チュニジアとエジプトは市民革命が起こり民主主義国家へつと移行しつつある。リビアもカダフィ大佐の独裁国家が崩壊した。
世界が大きく変貌し、民主主義が世界中に広まってきているのに、沖縄では66年前の軍国主義の亡霊とまだ付き合っている。日本が軍隊を持つと66年前以上前の軍国主義に戻るという幻想を沖縄の学者、政治家、マスコミが振りまいているのには呆れるしかない。
集団自決について考える。
石原晶栄沖縄国際大学名誉教授は、「まさに沖縄戦で皇軍部隊が住民に命令・強制によって集団死させた」と、述べている。石原晶栄氏は学者でありながら、集団自決を客観的に認識することはなく、革新政治家と同じように日本軍のせいにしている。
渡嘉敷島の集団自決に関しては家永氏が訴訟を起こし、裁判所は結論を出した。
「その時の高裁は、「集団自決の原因については、「集団的狂気、極端な皇民化教育、日本軍の存在とその誘導、守備隊の隊長命令、鬼畜米英への恐怖心、軍の住民に対する防諜対策、沖縄の共同体の在り方など様々な要因が指摘され、戦闘員の煩累を絶つための崇高な犠牲的精神によるものと美化するのは当たらないとするのが一般的」とした(第三次訴訟・高裁判決文)」。
1、集団的狂気
2、極端な皇民化教育
3、日本軍の存在とその誘導
4、守備隊の隊長命令
5、鬼畜米英への恐怖心
6、軍の住民に対する膨張対策
7、沖縄の共同体のあり方
裁判所は集団自決の原因はさまざまな要因があったと指摘している。学者であるなら裁判所の判断は尊重するべきである。
2、極端な皇民化教育・・・皇民化教育をしたのは学校であり、沖縄の教師である。沖縄の教師は中央政府の指示に従い全国と同じように徹底した皇民化教育をやった。天皇崇拝が沖縄で広まったのを日本軍のせいにするのは間違っている。
5、鬼畜米英への恐怖心・・・鬼畜米英への恐怖心を植えつけたのを日本軍であるというのも間違っている。日本軍も関わってはいるが、鬼畜米英を流布したのは沖縄の教員、公務員、政治家である。「鬼畜米英」は軍国主義国家となった日本政府が敵国であるアメリカやイギリスを悪いイメージとして国民に浸透させる目的で広めたのであり、その手先となったのが公務員やマスコミであった。
7、沖縄の共同体のあり方・・・沖縄は明治政府によって強引に廃藩置県をさせられた。形は変えられても人々の思想が簡単に変えられることはない。沖縄の人々の多くは琉球王朝時代と同じ思想であったと考えられる。特に地方や離島の人々の思想は琉球王朝時代の思想からそんなに変化しなかったであろう。
明治以後は大地主制度である。太宰治の家は大地主であり、小作人を搾取していたというのは有名な話だ。沖縄の離島では大地主が村長となり離島を支配していたと思われる。村長は琉球王朝時代に近い支配力があり、村長は武士階級に属する人物であり島民は村長に服従していただろう。
渡嘉敷島でアメリカ軍の上陸が押し迫ってきた時、村長の弟が自決用の手榴弾を日本軍に要求したが断られたという記録がある。村長が自ら集団自決を覚悟していたと推理できる。
戦前の人たちが私たちと同じ意識であったと考えるのは間違いである。戦前の人々には武士は偉い。武士が世の中を治めるのは当然であると考えている人々のほうが多かった。士農工商の身分制度がなくなったとはいえ、財産を持っているのは武士階層の人間であり、学問を勉強し教養があるのも武士であり、政治家もほとんどは武士出身だった。公務員も武士出身がほとんどを占めていた。
農民出身で出世したのは謝花昇くらいしかいなかった。
渡嘉敷島の集団自決は、村長と親族の呼びかけで島民は集合し、最初に村長が、「天皇陛下ばんざい」と叫んで自決したので、次々と島民は自決していったと記録を残している。渡嘉敷島の集団自決には村長の決意が深く関係していた。
石原晶栄氏が「沖縄戦で皇軍部隊が住民に命令・強制によって集団死させた」というのは、裁判所の判断を無視した強引な理屈である。沖縄の歴史は政治に利用しないで客観的な視点から研究してほしいものだ。
石原晶栄氏が「あらゆるメディアを駆使して、土石流の勢いで戦争肯定の意識を沖縄や日本国民に浸透させつつある」という発言は、あまりにも被害妄想が強いのにあきれてしまうしかない。
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