生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

賢者の贈り物  (日記)

2005-11-11 12:08:08 | 日記
読みたい本はたくさんあるのに、最近ゆっくり読書する暇がありません。特別忙しいというわけでもないのに……。パソコンのやりすぎですね(反省)
創作を続けていると、放出するばかりで頭がスカスカになってしまいます。文学作品をじっくり味わいたいと思って新しい試みを始めました。図書館でカセット文庫を借りてきて、家事をしているときに聴くことにしたのです。

朗読を聴くのは、読むのとは別の味わいがあります。ちなみに最近借りてきた物は、芥川龍之介の蜘蛛の糸、仙人、河童。アンデルセンの人魚姫、オー・ヘンリー短編集、宮沢賢治のセロ弾きのゴーシュ……等どれも昔読んだものばかりで、よく知っている物語ですが、新しい発見があって感動しました。

オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」は高校生の頃読みました。ジムとデラという貧しい夫婦がクリスマスにお互いに贈り物をします。お金がないので、デラは長い髪の毛を切って売り、ジムの懐中時計につける鎖を買います。ジムは、懐中時計を売ってデラに髪飾りを買います。
この物語は、ふたりのプレゼントは役に立たない物となってしまったという笑い話のようなものだと今まで思っていました。

でも、題名は「賢者の贈り物」です。「愚者の……」ではありません。なぜ「賢者の」というのか、テープを聴いてよくわかりました。デラもジムもお互い自分の大事な物を犠牲にして、相手に喜ばれる物を買ったことは、イエス・キリストが
「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ(マタイ22:39)」
といわれたことを実践しているのです。「ふたりはおろかだけど、最も賢明であった。最高の賢者である」と作者は書いています。

長い髪を切ることは現代で考えると、それほど大きな犠牲とは思えませんが、「髪は女の命」という時代に切ったことにデラのジムを想う気持ちの強さが伝わってきます。髪を切ったデラは、ジムの帰りを心配して待ちます。短い髪の自分は、女としての価値がなくなったのでは……と。

「デラは毎日のちょっとしたことでも、小さな祈りを唱える習慣がありましたが、『神様、どうかジムがわたしのことを今でもかわいいと想ってくれますように』と祈った」
というところに感動しました。デラはなんて女性らしいかわいい人なんでしょう。
互いを思いやるふたりは、すばらしいクリスマスを迎えられたと想います。


「一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる(箴言17:1)」
の聖書の言葉を思い出しました。












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