
一昨年から始まった、ネット読書会「カラマの会」に参加しています。最初にドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」を読んだので、カラマの会と名付けられました。今回はジョン・スタインベックの「エデンの東」を読みました。4,5か月くらいかけてじっくり読み、ミクシーのコミュを用いて1冊毎に感想を書きあってきました。(非公開です)メンバーは10人ほどです。
去年、「カラマーゾフの兄弟」の締めくくりとして会合が初めて開かれましたが、わたしは用事があって出席できませんでした。今回は、上野で集まることになり、昨日行ってきました。始めてお会いした方もおられましたが、すぐに意気投合して、きれいに盛りつけられた美味しい食事(写真)をいただきながら、時間のたつのも忘れて楽しく語らいました。
スタインベックの聖書解釈が間違っているのでは?というところに話が集中しましたが、真実はわかりません。
「カラマーゾフの兄弟」に比べ、軽い作品でしたが、「エデンの東」の中に数名の魅力的な登場人物がいました。わたしが書いた感想の一部を紹介させていただきます。わたしの感想は子供っぽいのですが……。(他の方はもっと深く読み込んでおられます。)
エデンの東は、文庫本で4冊にもなる長編です。本より映画の方が有名ですが、映画は小説全体の最後の4/1程の部分にすぎません。以下の文章は3冊目の感想ですが、映画に出てくる双子はまだ11歳です。
Sさんと同じくわたしもサミュエルの死が残念でなりません。でも、3巻を読んでいると、サミュエルの死後も彼の気配が感じられます。
リーが「たぶんわたしたちは、あの人のひとかけらを心の中にもっているのでしょう」とアダムに言っています。トムもサミュエルが空気の中どこにでもいると感じています。小説の登場人物の中でいちばん存在感のある人のように感じました。
また、興味深かったのはアダムの双子の息子達です。
彼らはまだ11歳ですが、はっきりとした性格の違いが描かれています。温厚で誰にでも好かれるアロンと対照的なキャル。
少女アブラがアロンに好意を持っていると知ると、キャルは策略をめぐらします。アロンのプレゼントしたウサギの入った箱をアブラに捨てさせるようにし向けるのです。
少年の悪戯にしては巧妙すぎるそのやりかたにキャルの心の闇を感じます。
アロンがアダムの性格を受け継ぎ(実際はアダムと血がつながっていませんが)、キャルは母親キャシーの性格を受け継いだのでは?と思いましたが、キャルはキャシーのような得体の知れない不気味さを持っていません。
考えてみると、ふたりが生まれてから10年もの間、アダムは放心状態で、子供たちに愛情を注いでいませんでした。リーが愛情を持って育てましたが、彼らは両親の愛を知らないのです。
そのような環境に置かれながらもアロンは素直に育ったのですね。でも、わたしはなぜかちょっとひねた性格のキャルに好感を抱いてしまいます。(映画で成人したキャルを演じているジェームス・ディーンのファンだというわけではありませんが……)
作者はこのふたりを対比させて書くことによって、何を伝えたかったのでしょうか。
やはり、小説と映画は別物と考えた方がいいですね。