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生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

「こころ」を読んで(その2)

2011-09-22 16:57:45 | 読書
昨日、こちらは夕方から夜にかけて暴風雨でした。
今まで台風の予報ニュースを聞いてもそれほど警戒していませんでした。上陸の恐れありと言っても、それてしまうことが多かったからです。

今回はまともに通り過ぎたので、いままでにない雨風にびっくりしました。マンションでかなり密閉性のある窓なのですが、そのの隙間から雨水が入り込むほどでした。
こちらは被害はありませんでしたが、被害にあわれた方々のためにお祈りします。


夏目漱石の「こころ」の感想文の続きです。
第2部「両親と私」では、父親が病気で田舎に帰った『私』のことが書かれています。

『私』が先生のことを両親に話すと、就職の世話をしてもらうように先生に頼んだらいいと言われます。
『私』は先生が就職口を探してくれることなどあり得ない(本文には『有り得べかざる事』と書かれています)と思いつつ手紙を出します。

すると先生から一通の電報が届きます。『洋服を着た人を見ると犬がほえるような所では、1通の電報ですら大事件であった』と書かれています。100年前の日本はこのような時代だったのですね。

電報には「会いたいから来てほしい」という旨のことが書かれていました。『私』は気になりながらも父親が危篤なため行くことができません。そのうち先生から長い手紙が届きます。それは遺書でした。第3部は先生の遺書の全文です。

若くして両親を亡くした「私」(これ以降の「私」は先生のこと)は、信頼する親族に裏切られて人間不信になります。その後上京して軍人の未亡人の家に下宿することになりました。そこにはひとりのお嬢さんがいて、いつの間にか「私」はお嬢さんに惹かれていきました。

同郷の親友Kも同じ下宿に住むことになりました。Kは次第にお嬢さんと打ち解けていき、「私」はKに嫉妬を感じるようになります。

友人Kにお嬢さんに対する恋心を打ち明けられたとき、「私」は自分の気持ちは隠して「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」と言い放ちます。

一言自分の気持ちを話せばKは自殺しなかったかもしれないのに……と、「私」の言動にイライラするのですが……でも、心情が痛いほどわかるのです。

「私」はKを出し抜くようなかたちで奥さんにお嬢さんと結婚させてほしいと言い、すんなり受け入れられてしまいます。自分の卑怯さに苦しみ、そのことで悩む「私」。Kが自殺したことで、これから一生自分の罪と向きあって行かなければならなくなり、結局「私」も死を選んでしまいます。

「罪からくる報酬は死です(ローマ6:23)」と聖書にあります。
しかし、罪の問題は自殺して解決することではありません。

「私」の死は奥さんのこれからの人生に暗い影をもたらすでしょう。奥さんが真相を知らなかったとしても……いえ、知らないだけに苦しむことになるでしょう。

「私」は奥さんの白い心にしみをつけたくないと思って打ち明けなかったのですが、わたしが奥さんなら打ち明けてほしいです。たとい夫がひどいことをしたとしても、苦しんでいるのなら打ち明けて一緒に苦しませてほしかったと思います。何かを隠していることは結婚当初から気づいていたのですから……。

さて、漱石はこの小説を書いて何を訴えたかったのでしょうか……。人間が生まれながらに持っている原罪について書いたのかもしれません。

漱石自身、自分の罪に気づいていたのでしょう。罪を明らかにすること……そこまででは問題が解決されません。
イエス・キリストを信じればどんな罪でも赦されることを漱石に知ってもらいたかったです。
              
                        おわり


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