生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

「こころ」を読んで(その1)

2011-09-21 16:51:56 | 読書
台風の影響でこちらはひどい雨風です。今日の輪読会と水曜礼拝はやむなくお休みしました。

朝、出かけようかどうしようか迷っていました。
朝はまだそれほど雨が強くなかったのですが、昼ごろからひどくなるとの予報でした。かつてならどんな雨風でもびしょぬれになっても出かけていたのですが、最近根性がありません。無理をするとすぐ体調が崩れてしまうからです。

輪読会の仲間から「今日はどうしよう……」とメールがありました。彼女も車の運転をしないので、バスと歩きで教会へ行かなくてはなりません。

「台風というのは(欠席の)立派な理由になるよね」ということで意見が一致して、お休みしすることにしました。
日曜なら台風の最中でも(着替えやくつを持って)出かけていくのですが………。


ネット読書会で夏目漱石の「こころ」を読んだので、今日はその感想を書いてみました。
最初に読んだのは中学生のとき、大人になってからもういちど読み、今回は3回目です。
ストーリーはわかっているのに途中からぐいぐい引き込まれて読みました。

「こころ」は、3部構成になっています。
第1部は「先生と私」第2部は「両親と私」第3部は「先生と遺書」です。

鎌倉の海岸で出会った先生にひかれた書生の『私』は、東京へ帰ってからも、頻繁に先生の家をたずねるようになります。
なぜ『私』が先生にひかれたのか……その部分が不明ですが、現実にありそうです。

先生は奥さんと二人暮らしで、仕事もせず、ゆうゆうと過ごしています。戦前は、先祖の財産を上手に管理して、安楽な一生を送る人がいたそうです。そう言う人を「高等遊民」というと読書会のお仲間に教えていただきました。

ときどき『私』に素っ気ないそぶりをする先生。ほとんど人づきあいもせず、毎月決まった日に雑司ヶ谷の墓地に墓参りに行く先生の行動の裏に深い謎が隠されていると感じさせられます。先生の過去に何かあると匂わせています。

そして、先生が亡くなってしまうことが小説の最初の方に書かれています。
さすが夏目漱石です。読者は、先生がなぜ亡くなったのかと思い、物語にひきこまれていきます。

第1部で印象に残った箇所は、遺産の問題について助言する先生の言葉です。


『平生はみな善人なんです。少なくともみんな普通の人間なんです。それがいざという間際に、急に悪人に変わるんだから恐ろしいです。だから油断が出来ないのです。』


罪ある人間の本質に迫った言葉だと思いました。

                 つづく


追記:わたしのHP「生かされて・・・土筆文香」久々に更新しました。エッセイ喜怒哀楽をまとめたものと、「南吉への想い」です。ブログに書けなかったことも追加しています。ご覧ください。




にほんブログ村 哲学・思想ブログ キリスト教へにほんブログ村
↑ここをクリックしてください。そうすると、より多くの方がこのブログを読んでくださるようになります。

拍手ボタンです

web拍手