狼たちの処刑台

HARRY BROWN／０９年／英／１０３分／犯罪ドラマ／劇場未公開
監督：ダニエル・バーバー
出演：マイケル・ケイン、エミリー・モーティマー、チャーリー・クリード・マイルズ、ベン・ドリュー、リーアム・カニンガム

＜ストーリー＞
ドラッグの売人やギャング団の抗争が相次ぐ地区にある公共団地で暮らすハリー。妻の最期を看取れず、親友もギャング団に惨殺されたハリーの怒りと哀しみは、やがて復讐を決意させ…。

＜感想＞
ブロ友としてお世話になっている、にいなさんがお薦めされていたので、借りて参りました。
普段から他ブロガーさんの評価は気にしているんですが、それが愛しの人だと即借りですよ（照

で、これ、オープニングからガツッときましたね。
バイクに乗ったチンピラが乳母車を押す主婦を殺し、その後逃げる際に車に轢かれるまでをクールなカメラワークで見せてくれるんですが、もうこれでこの映画は面白くなると確信しました。

チェスが趣味な普通のお爺ちゃんが、妻と友人を最低・最悪ギャング団のせいで亡くし、その悲しみを怒りへと移し復讐していくといった単純な話なんですが、名優マイケル・ケインの老体を武器にした表情・表現演技が素晴らしく、グイグイと引き込まれてしまいました。

相手が情けのいらないギャングなので、ハリーの復讐劇には手に汗握るハラハラとしたものを感じながらも、最後には爽快感に満たされちゃう。

ハリーの親友殺しの容疑者として、警官に尋問されるギャングたちの悪態からも分かる様に

こいつら絶対許せん！

といった、観る者にも怒りの感情を植え付けてくるので、ハリー頑張れ！と応援心が鳴りっぱなし。

死にかけていた少女をさり気に助け出す優しさ、重い病気を患っているが故に事の最中に倒れてしまう体の弱さ等を描く事で、ハリーの本当の人間性も観て取れ、彼の人柄に惹かれ易いというのも演出としては大成功。

こんなお爺ちゃんで大丈夫なのか？

という心配も起きますが、元海兵隊という事もあり、確実に相手を追い詰め仕留めていく様には、腕力としては非力だけれど銃を持たせると無茶苦茶強いという部分にカタルシスさえ抱かせてくれるんだから、もうカッコいいの一言に尽きます。

ダイナーでの件は流石に万事休すかとドキドキしましたが、やっぱ悪党には負の文字が最適ですね。

クールで渋いマイケル・ケインの悪に対する鉄槌には只只痛快。

危うく鑑賞スルーする所を救ってくれたにいなさんには改めて感謝。
面白かった！
傑作っす！！

オフィシャル・サイト(英語)

評価：★★★★☆
１１／０３／２６ＤＶＤ鑑賞（新作）

にほんブログ村
レンタル開始日：2011-03-04
メーカー：アメイジングD.C.

ベストセラー

BEST SELLER／１０年／韓国／１１７分／ミステリー・サスペンス／PG12／劇場公開
監督：イ・ジョンホ
出演：オム・ジョンファ、リュ・スンリョン、チョ・ジンウン、イ・ドギョン

＜ストーリー＞
新作が盗作の疑いを掛けられて以来作家としての名声を失ったヒスは、娘のヨニと人里離れた別荘へと移り住む。しかし、やがてヨニは奇妙な物語を口ずさむようになり…。
＜感想＞
レヴューはこちらを参照して下さい。

オフィシャル・サイト（日本語）

評価：★★★★
１１／０３／２５ＤＶＤ鑑賞（新作）

にほんブログ村
レンタル開始日：2011-03-25
メーカー：E-MOTION

冷酷処刑人 ～父なる証明～

THE HORSEMAN／０８年／濠／９６分／犯罪サスペンス・アクション／劇場未公開
監督：スティーヴン・カストリシオス
出演：ピーター・マーシャル、ブラッド・マクマレー、ジャック・ヘンリー、クリス・ソマーズ

＜ストーリー＞
娘の遺体を車に乗せて全国を行脚する父・クリスチャン。彼は娘を殺した犯人たちに制裁を加えるべく、次々と犯人を捜し出して容赦なく殺害していく。

＜感想＞
重い映画です。

無理矢理ヘロインを打たれ、レイプ紛いのＡＶに出演された揚句、路上放置されて殺された娘。
父親は害虫駆除業者を装い、ビデオ製作に関係した人物宅を訪問し、片っ端から殺していきます。

終盤までこそは復讐者としての成行きを映しつつ、途中でヒッチハイクした少女との交流を境に、父親が胸に秘める娘の想いというものを切なく描き出し、何ともやるせない感情を引き起こさせてくれます。
溺愛する娘を持つ父の気持ちを察すると、多少なりとも復讐には理解出来ますからね。

本作をおぞましいと感じたのは終盤辺りからで、復讐者という立場から、今度は標的に拉致され拷問されていく件です。
ヒッチハイカーの少女も関係無いのに捕まり、男どもに弄ばれ、その間、父親の男は拷問マニアの変態にあらゆる手段で甚振られ続けられるのです。

自分がやってきた事が身に降りかかっているという恐怖。

拷問シーンも痛々しいものがあり、嫌な雰囲気に包まれます。
警官も拉致に加担し、非情さが前面に押し出されているので気分が損なわれる事間違いなく、何とか窮地から脱し、少女を救うべくボロボロの姿で立ち向かっていく姿には爽快感などなく、むしろ胸が締め付けられる思い。

復讐を生み出す物は哀しみだけしかない

そんな思いだけが最後まで残りました。

評価：★★☆
１１／０３／２５ＤＶＤ鑑賞（新作）

にほんブログ村
レンタル開始日：2011-03-25
メーカー：アース・スター エンターテイメント

スプラッター・ナイト 新・血塗られた女子寮

SORORITY ROW／０９年／米／１０１分／ホラー／劇場未公開
監督：スチュワート・ヘンドラー
出演：ブリアナ・エヴィガン、リー・パイプス、ルーマー・ウィリス、ジェイミー・チャン、オードリーナ・パートリッジ

＜ストーリー＞
ミーガンは、友人と結託して恋人・ギャレットに自分が突然死したと思わせるいたずらを仕掛ける。ところが、パニックに陥ったギャレットは本当にミーガンを殺してしまい…。

＜感想＞
悪戯のつもりが本当の殺人事件へと発展し、数カ月後、死体を隠した女子生徒たちが何者かに襲われるという、云わば『ルール』等のティーン・ホラーに似た作品。

彼女らを襲う人物は何者なのか？
殺されたと思われていた女生徒なのか？

とまぁ、この手のホラーはそこに注目が集まる訳ですが、はっきり言って

何でお前やねん！

って奴が犯人です。
意表を突くものにしたかったんでしょうけど、動機が無理矢理過ぎ。

「あいつらと一緒にいたらダメになる」

というのが理由らしい。
そんな安易な理由で殺される人物も嘆かわしい。

まぁ確かにグループのリーダー格の女は感情的で直ぐにキレる、とんでもないビッチ女なので、犯人が嫌うのは分かるが、だったら彼女だけ殺せばいいやん。
巻き添え食った他の仲間を殺すのに時間かける暇があるなら、最初に殺しておけば万事ＯＫじゃね？
でも、勿体ぶって最後まで生かしていた事が、瞬殺でぶっ殺された時の爽快感に繋がり、物凄くスカッとしたね。

殺しのレパートリーはそんなに無いんだけれど、寝そべって酒を飲んでいた女の口にボトルをドスッと突っ込み惨殺するシーンが一番インパクトがあって良かった。

殺人鬼に怯える女生徒達に可愛さ的な魅力がないのと、思ってたほどのハラハラしたシーンがないのもホラーとしては失敗。

アメリカ人大好きな屋内パーティ・シーンが余りにも多過ぎて、それが肝心な緊張感を失っているのかも。

寮長のばばぁが何処から持ってきたのかショットガン撃ちまくる所は意味不明で笑えたけど。

オフィシャル・サイト（英語）

関連作：『スプラッター・ナイト／血塗られた女子寮(1982)』（オリジナル）

評価：★★
１１／０３／２５ＤＶＤ鑑賞（新作）

にほんブログ村
レンタル開始日：2011-03-25
メーカー：ツイン