「天皇陛下 お気持ち表明」 8月8日15時から
陛下が、心の内を素直に国民に向けて、テレビを通じて現在のお気持ちを述べられた。酷暑の中であるので、国民の多くが、テレビ画面に目を焼き付けたものであろう。中には敗戦直後のことなどを思い出したひとも多いことだろう。
確か82歳になられた、陛下、過去に手術を受けられたり、海外での戦跡地巡り、多くの戦死者を出した島々を訪問されて、心ならずも天皇陛下の名のもとに、悲惨な戦士者がでていること。たまたま、この時期に重なって天皇の地位にあったことによって、心ならず、戦後処理のために長い年月、かけて世界中の戦跡を訪れたり、慰霊の旅の連続など、大変なご苦労を重ねてこられている。「天皇陛下 お気持ち表明」には、多くの歴史や、自らのの思いの結晶であったことと愚考したしだいである。
82歳ともなれば、その責任の重さはどのようなものか、推察させていただくのみである。地方への行幸啓といっても、気の抜ける時間は、まったくないはずである。たまたま犬山の日本モンキーセンターへ、おいでになられたことがある。私は当時、日本モンキーセンターで働いていた。ご訪問の時期が近くなると、傷んだままだった道路がきちんとした本舗装になった。車列のコースである道路は、立派な舗装路になった。また車窓から見える範囲の「枯れ松」はすべて切られたし、木の薮で奥が見通せないところは、かなり奥まで見通せるように整理され、不審者の隠れる余地はない。
事前に愛知県警が約一年前から、準備したことであり、ぬかりはない。園内は当然のこと、蜘蛛の巣のひとつもなくなった。園内のマンホールまで調べていた。
当時、私はオランウータンとチンパンジーの「赤ちゃん」を人工保育していた。母親が育児放棄してしまったものである。動物園ではよくあることだ。私はそれらの殆どすべてに育児箱を作って自宅へ持って帰り、夜間は、2~3時間ごとに授乳した。夜、眠るとき育児箱は枕元に置いた。「赤ちゃん」だから、空腹になれば、騒ぐし、泣き出す。私は起きだして「ミルク」を作り、それが適温か否か、そして、その濃さは確実か?。調べたうえで授乳する。当然オムツの交換もだ。(人の場合と変わらない)
現在のように、残業、とか時間外作業とかには無縁。若かったことと、何よりも好きなことだからできたことだ。両陛下の行幸啓のあと、その年は、主なる皇室の方々が次々にモンキーセンターを訪問された。ミッチーブームがあって、現皇后さまは現 黒田 貴子さま(当時は内親王)をお連れになって、再度訪問された。私は報道陣の写真撮影場所に定められている欅の木の周囲を囲った場所に、人口保育で育てたオランウータンとシロカンムリマンガベイを出しておいた。天皇、皇后の行幸啓とは違うので、それは許された(両陛下の行幸啓のときも思ったが皇后さまが、まあ可愛いなどと手を出されたらサルの方から抱き着いていく。そのような事態になれば困るのである。普通に歩かれているが県警サイドでは秒単位で動いているのだ。国道の交通規制その他)
更に別の機会にミッチーこと現皇后さまは、貴子内親王をお連れしてモンキーセンターをご訪問。貴子内親王だけがサル見学から漏れていたのだ。「まあ 可愛い」とのお声。
用意しておいたミルクの入った小さな哺乳瓶を御付きの人に渡す。そのミルクはミッチーに渡された。欅の根元の石畳に腰かけられたミッチーさんの手にしたミルクを、いち早く見つけたシロカンムリマンガベイがミルク瓶に近づく。次いでオランウータンの「赤ちゃん」には大きなミルク瓶がわたる。その場所に集合していた報道陣からは一斉にシャッター音が響き続く。「これは使える」の声が。更にシロカンムリマンガベイがミッチーさんの膝に乗ったり、移動したり落ち着かない。
現皇太子さまがおひとりで春休みに訪問されたことがあった。学習院の六年生の春休みのときと思う。寒い日だった。それでも半ズボン姿。風が吹いて冷たい。「寒い」といいながらサルを見て回られた。お付きの人はどんなに寒くてもそのことについてはカバーしない。私は「これは皇室の厳しさなんだ」と思う。現皇太子さまが別の機会にご訪問されたときのことだが、皇室からのお付きの係官の肩に乗ったり、係官がしっかりと抱えた封筒の中を覗いて引き出したり、大切であった筈の封筒のなかの書類を引っ張り出して、それを破ってしまったり、やりたい放題。皇太子さまが、「破っちゃった」と言われたがお付きの係官は顔をゆがめたり、書類を持ち直すようなことはしたが、サルのコドモを手で強く追い払うことはやらない。皇太子さまが喜んでいるからだ。
しまいにはシロカンムリマンガベイのコドモが皇太子さまの頭の上に載って周囲の報道関係者を睥睨し、落ち着いたもの。これには報道陣が大喜び。「いい、最高だ」。「使えるな」。「絵になるな」。翌日の朝刊では、全ての紙面を飾っていた。こんな思い出もあるサルと皇室の関係。仕掛け人は「次男坊殿下、秋篠宮さまである。この宮様は動物好きで有名。学習院の「高校ご卒業記念旅行」に中部地方を選ばれているし、紀子さまも仲間の一員として、ご旅行にはメンバーに入っていたし、モンキーセンターにも寄っている。秋篠の宮様はご自分でも動物を飼っておられたと聞く。長年「日本動物園水族館協会の名誉会長をやっておられたが、いまも変わりはないと思われる」。