いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

初代イプサム

2010年01月12日 | 自動車

 ウィンダムを板金修理に出してしまったので、ほんの2日間ですが代車の初代イプサムが極楽家にやって来ました。日本型ミニバンとして先行したホンダの初代オデッセイが大ヒットになったのを見て急遽開発されたミニバンで、既存車種をベースに作ったためか、オデッセイより一回り小さくなりました。Dピラーの角度以外にたいして特徴のないデザインですが、キャラクターの「イプー」を旗印にテレビ広告を打ちまくり、オデッセイにあまり遜色のないセールスを達成したのはさすがトヨタの販売力です。

 レンタカーのキーホール周りが傷まみれなのはお約束ですね。オデッセイより小さいサイズに3列シートを詰め込んだ結果として、シートが小さいなどの弊害はありますが、取り回しのいい実用的なファミリーカーになりました。高速道路でややうるさいことを除けば、燃費も良好で使いやすいです。

 この車体はオリックスレンタカーを引退して、その後は代車として使われているようです。走行距離は11万7千km。安っぽいなりにさして損傷のない内装。トヨタの内装は丈夫です。ぐにゃぐにゃしたハンドリングのウィンダムに比べると、街中では見切りもいいし動かしやすいですが、フロントサスの能力そのものはウィンダムの方が上のようで、イプサムのコーナーリングは滑らかさを欠きます。この辺は価格差相応と言えますが、どっちにしてもハンドリングのいいトヨタ車には乗ったことがありません。

 これは開発者も重々承知でやっていることで、トヨタの顧客が曖昧なハンドリングを好んできたということです。数代前のクラウンの主査が、「クラウンを乗り継いで30年以上というお客様は多い。そのお客様のクラウン観を、トヨタに入って30年もしない自分が変えるのは僭越である。」と言ったのを雑誌で読んだことがあります。

 上手に運転しよう、きれいにコーナーを曲がってやろうという運転への興味がない人の多くは、「トヨタなら安心」という信仰を抱いているようですね。操作系が大雑把だから、操作に気を遣おうが安楽に運転しようが、同じように走る。これが「トヨタなら下手でも大丈夫」という妙な信頼を生んでしまったのでしょう。でも、例えば初心者向きのテニスラケットって、簡単に打ち合うだけならいいですけど、コントロールの幅が狭くて使いにくいですよ。打ち損じても何とか前に飛ぶだけのことで、ボールをコントロールしようとすると却って難しい。だから上達した人は初心者用のラケットなんか見向きもしないのだと思います。それと同じで、トヨタの乗用車にはどれもコントロールの幅の狭さを感じてしまいます。逆説的に言わせてもらえば、私は「トヨタ車の運転は難しい」と思っています。

 それでもこの後に借りて乗った後継車「アイシス」はエンジンもハンドリングも改善されたと感じました。聞くところでは最新のクラウン、マークXあたりからトヨタの目指す操縦性がかなり変わってきたようです。官製不景気やあまり本質が理解されていないエコブームがクルマの逆風となって苦しいところですが、エンジニアの理想と販売の現実が両立できるようなクルマ作りができるといいですね。
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