初代、2代目とセールスが好調で、ホンダの日本市場では軽自動車と並ぶ両輪となったフィット。昔は中型セダンのアコードが売れたり、ミニバンがブームとなったりしたのですが、今はフィットとその派生車種以外の存在感が薄く、ホンダの普通車ラインアップはかつてのVWみたいになってしまいました。
つまり、会社の業績がビートルとかゴルフに極端に依存した体質です。その代わり、「ゴルフが駄目ならVWはおしまい」という危機感を持って開発していたため、ゴルフの先進性と完成度は他の追随を許さなかったということです。今のVWはグループ企業のアウディやポルシェも好調であり、自社でもRVの比率が高まっているので、ゴルフへの過度な依存はありません。
VWとは逆に、フルラインメーカーから事実上のフィット、軽自動車専業になってしまったホンダが放つ次の矢は、絶対に外せない1本です。新型フィットにその気合を感じられるでしょうか。9月発売と発表された新型車は、漏れ聞こえる情報では見事な力作のようです。
まずデザインが好評をもって迎えられている、というのは昨今のホンダ車にはあまりないことです。ホンダのデザイン室を率いる南さんのインタビューがなかなか面白い。新型フィットのフロントはインサイトにも似た翼のモチーフに異形ランプの構成ですが、より昆虫的と言うか動物的で、あくのある顔つきです。嫌だという人もいるでしょうが、これぐらいわかりやすい方が個性的でいいという人が少なくないでしょう。ホンダは久々に特徴のある顔を持ったと思います。
シティあたりで「可愛らしい」顔を作り上げたホンダ車のデザインは、白物家電のように特徴のないロゴあたりから低迷し、ヤツメウナギと言われた3代目インテグラとか、意味不明な二段グリルの3代目CR-Vなど、変わったデザインを出してはすぐ引っ込めて熟成させず、後継車には無難なデザインを採用して魅力が薄れるということを繰り返していたと思います。例えば3代目インスパイア UA4/5とか、3代目レジェンド KA9あるいはエリシオンが採用していた五角形のモチーフなんて、単純すぎてアイデンティティーになりませんでしたし、元々五角形はクライスラーのシンボルです。同時期にマツダが同じような五角形グリルを採用したこともあり、この2000年ごろのホンダ車のデザインには個性と言うべきものがありません。
この点、新しいモチーフを追求してついには市場に納得させるベンツ(W210からW211の丸目フロントなど)やトヨタ(新型クラウンなど)のデザイン力に大幅に劣っていました。デザイナーの力量と言うよりは会社の方針でしょうけどね。
無難なデザインで何とかシェアだけ減らさなければ、という消極的な方針は市場から手痛いしっぺ返しを受け、売れていたはずのセダンもミニバンも大幅に生産縮小、残るはフィットだけ、という危機感が浸透したことで、さすがにホンダもデザイン部門の思い切った権限強化に動いたのだと思います。
そういう目で新型フィットを見ると、未完成な習作と無難な路線の間で揺れていたホンダの迷いは、きれいに払拭されたように思います。マッシブで力強く、間延びしたところがないのは、好評だったシビック タイプR EUROを髣髴させます。仕事に迷いがない、ということは大事ですよ。
もちろんプリウスを越えたと言われる新型ハイブリッドシステムも重要ですが、デザインの悪いクルマは売れません。新しい技術には、それを実感させてくれる新しいデザインが欲しいものです。今度のフィットも販売好調でしょう。また、この水準のデザインがホンダの標準になるなら、モデルチェンジを控えたオデッセイなどのミニバンにも期待できます。
つまり、会社の業績がビートルとかゴルフに極端に依存した体質です。その代わり、「ゴルフが駄目ならVWはおしまい」という危機感を持って開発していたため、ゴルフの先進性と完成度は他の追随を許さなかったということです。今のVWはグループ企業のアウディやポルシェも好調であり、自社でもRVの比率が高まっているので、ゴルフへの過度な依存はありません。
VWとは逆に、フルラインメーカーから事実上のフィット、軽自動車専業になってしまったホンダが放つ次の矢は、絶対に外せない1本です。新型フィットにその気合を感じられるでしょうか。9月発売と発表された新型車は、漏れ聞こえる情報では見事な力作のようです。
まずデザインが好評をもって迎えられている、というのは昨今のホンダ車にはあまりないことです。ホンダのデザイン室を率いる南さんのインタビューがなかなか面白い。新型フィットのフロントはインサイトにも似た翼のモチーフに異形ランプの構成ですが、より昆虫的と言うか動物的で、あくのある顔つきです。嫌だという人もいるでしょうが、これぐらいわかりやすい方が個性的でいいという人が少なくないでしょう。ホンダは久々に特徴のある顔を持ったと思います。
シティあたりで「可愛らしい」顔を作り上げたホンダ車のデザインは、白物家電のように特徴のないロゴあたりから低迷し、ヤツメウナギと言われた3代目インテグラとか、意味不明な二段グリルの3代目CR-Vなど、変わったデザインを出してはすぐ引っ込めて熟成させず、後継車には無難なデザインを採用して魅力が薄れるということを繰り返していたと思います。例えば3代目インスパイア UA4/5とか、3代目レジェンド KA9あるいはエリシオンが採用していた五角形のモチーフなんて、単純すぎてアイデンティティーになりませんでしたし、元々五角形はクライスラーのシンボルです。同時期にマツダが同じような五角形グリルを採用したこともあり、この2000年ごろのホンダ車のデザインには個性と言うべきものがありません。
この点、新しいモチーフを追求してついには市場に納得させるベンツ(W210からW211の丸目フロントなど)やトヨタ(新型クラウンなど)のデザイン力に大幅に劣っていました。デザイナーの力量と言うよりは会社の方針でしょうけどね。
無難なデザインで何とかシェアだけ減らさなければ、という消極的な方針は市場から手痛いしっぺ返しを受け、売れていたはずのセダンもミニバンも大幅に生産縮小、残るはフィットだけ、という危機感が浸透したことで、さすがにホンダもデザイン部門の思い切った権限強化に動いたのだと思います。
そういう目で新型フィットを見ると、未完成な習作と無難な路線の間で揺れていたホンダの迷いは、きれいに払拭されたように思います。マッシブで力強く、間延びしたところがないのは、好評だったシビック タイプR EUROを髣髴させます。仕事に迷いがない、ということは大事ですよ。
もちろんプリウスを越えたと言われる新型ハイブリッドシステムも重要ですが、デザインの悪いクルマは売れません。新しい技術には、それを実感させてくれる新しいデザインが欲しいものです。今度のフィットも販売好調でしょう。また、この水準のデザインがホンダの標準になるなら、モデルチェンジを控えたオデッセイなどのミニバンにも期待できます。