いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

ロシア料理甘藍(かんらん)

2012年03月30日 | 極楽日記(お店紹介)

 豊明市のロシア料理、甘藍(かんらん)です。耳慣れない言葉ですが、広辞苑によれば甘藍とは葉牡丹あるいはキャベツの別称。料理店なのでキャベツのことでしょうね。甘い藍(あい)と書きますが、球になる葉牡丹やキャベツと違い、藍は背の高い草花なのでちっとも似ていません。なぜキャベツのことを甘藍と呼ぶのかは不明です。

 キャベツの絵と、有名な民族楽器のバラライカがお出迎え。カムコーダーHDR-CX370Vの静止画機能を使っているため、単体デジカメに比べると写真が悪いのはご容赦を。バラライカは展示してあるだけですが、店内ではピアノの生演奏がありました。店内に「アマチュア演奏家募集」と書いてあったのは、聞くところによれば現金のギャラが出せず、報酬は料理だからだそうです。演奏はロシア民謡からモーツァルトのソナタ、ゴダール(ジョスランの子守唄)など多彩。楽しませて頂きました。

 料理の種類は甘欄のホームページを見て頂いた方がいいでしょう。コース料理が主体で、アラカルトもありますが種類は控え目。小さな街の小さな店なので必要以上に手を広げないで、価格の維持と内容充実に向けるということだと理解しました。

 これはキノコのサラダ。本来は地産の多種多様なキノコを使った野趣あふれるサラダなんだと思いますが、予算の都合なのか普通のシメジ(栽培ヒラタケあるいはブナシメジ)がほとんど。ほんの少し風味のあるキノコの薄切りが混じっていました。現状でもまあまあなので、このサラダをホンシメジとかで作ると飛び上がるほど旨いでしょうね。

 日本人でもよく知っているピロシキとつぼ焼き。日本のパン屋で揚げパンを「ピロシキ」として売っていますが、ロシア大使館によれば具の入ったパンはすべてピロシキで、オーブンで焼くのが基本だそうです。屋台ではオーブンを使えないので揚げて売っており、それが外国人にピロシキだと認識されたようですね。

 げっとりと油を吸ったパン屋の「ピロシキ」は好きになれませんが、このピロシキはさくっとしておいしいです。つぼ焼きはもっちりしたパイ皮と熱々のクリームスープが同時に楽しめ、姿もかわいいロシア料理の傑作。これだけで豊明まで行く価値があると思います。

 ボルシチですね。コース中の一品なので量は控え目。煮込み時間が長いためか、ビーツの色が全然出ていません。ビーツは自分でも好きで料理しますが、やはり鮮やかな赤カブ色の方が食欲をそそります。

 メインはロールキャベツとビーフストロガノフから選べます。店名からしてロールキャベツが売りなんだろうと思います。甘藍のサイトに「8時間煮込み」と書いてあるように、日本で一般的なロールキャベツとはかなり違うもので、キャベツの組織がほとんど残っていません。

 ボルシチでもそうでしたが、この店では長時間煮込みを個性にしているようです。ここまで野菜を煮込んでしまうのは必ずしも私の好みではありませんが、ロールキャベツそのものは簡単に作ろうと思えば簡単にできてしまう料理なので、メインディッシュとするにはこれ位の特色、言い換えれば「これだけ手を掛けてますよ」というアピールが必要なのでしょう。

 ビーフストロガノフは極楽息子(大)がむしゃぶりついて食べていました。これも、もう少し味のあるキノコで作ったらさぞおいしいでしょうね。

 甘藍の立地で高級志向に走るのは自殺行為なのでまず無理ですし、気軽に訪問できるロシア料理店としては価格とサービス、料理内容のバランスは今のままで合格点です。それはそれとして、材料厳選のロシア料理がどんなものか食べてみたくなりました。甘藍に不満があると言うよりは、予想より満足だった甘藍の料理にインスパイアされて、と受け取って頂きたいです。ヒルトン名古屋あたりで期間限定のフェアやってくれないかなあ。

 イチゴジャムが添えられたロシアンティー。このジャムは甘さをごく控えてあり、紅茶の風味を壊しません。ジャムも手作りに近いものでしょうね。今まで飲んだロシアンティーでは別格でおいしいです。
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