崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「刑歴の経歴」

2008年08月16日 06時52分58秒 | エッセイ
 韓国では8月15日を日本の植民地支配からの解放記念日として光復節という。日帝時代が暗黒であって光が復帰したという意味である。戦前からあった独立運動団体の光復会という団体名から由来するものである。戦後直後からしばらくは解放記念日と呼んだのを覚えている。韓国新政府は6月経済犯罪の有罪確定者約282万人を対象に特別赦免を行い、今度現代起亜自動車グループの鄭夢九会長など34万1864人を対象とする大規模な特別赦免を二回目として行った。鄭氏は私と高校の同級生である。
 こうした特別赦免は日本にも恩赦法があるが、クリスチャンの李大統領の「恩赦」はあまりも大規模であることに驚いた。これは法治国家の根幹を揺るがすことにもなりうる。法律で裁かれた人を法律に反する政策で許すからである。最近ロシアでよく聞いた言葉がある。警察が泥棒や強盗を捕まえて刑を受けても簡単に赦免されて復讐するので誰も法律を信じないという。全部がそうとは思わないが、国民が裁判制度まで信頼しない風潮があるのは事実である。金大中氏は死刑が確定されても特別赦免で出て大統領になり、「刑歴の経歴」は大統領になる道のようにもいわれている。それより温情が法律に優先する国であることを意味する。しかし長い目からでは冷たく法律を管理することがより多くの人に温情になるであろう。プラトンのいうように政治はやはり哲学者がやるべきかもしれない。