崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

遅ればせながら新年会(?)

2018年01月31日 05時40分40秒 | エッセイ

今日は1月末日、昨日遅ればせながら新年会(?)、小倉教会の朱文洪牧師と昼食を楽しんだ。彼も私のようなニューカマー、日本生活の期間もほぼ同様である。彼は牧会、私は教育をしながら暮らしている。彼は主に在日を、私は主に日本人を対象にして生きてきた。共通点も多い。それはキリスト教である。しかし、昨日は食前の祈りはいつものように声を出しての祈りではなく、各自黙祷、日本社会を配慮した。彼は下関で一番景色の良い盛餐と言いながらビールを注文した。意外なことであった。牧師と教授が逆転したようであった。韓国の牧師は禁酒、禁煙であるから私が牧師のように感じた。彼が私より日本化されたように感じた。牧師は幼子からインテリまで知的レベルが混在している人を対象とするが、私は大学生以上のレベル、一応知識人を対象とするのとは対照的なことを感じ、彼の職業の難しさも、感じた。私は教会の話題はしなかった。彼は私も知っているある信者、最近97才で亡くなられた彼女は人と会う度に相手の年齢を聞いて、「まだ子供だ!」と歳で相手を抑えてから話を主導すると分析しながら懐かしそうに語った。私も老人癖もは控えようとはするが、昨日は韓国の発展過程を経験的に語ったことがやはり老人癖が出たような感がある。


 

第23回崔昌華記念北九州人権集会

 題:「死者への手紙と永生園」

-強制徴用歴史的問題と在日居住権--   

映画と発題     

・映画解説「死者への手紙」 林えいだいさんの記録ドキュメント。

      長崎近くの海底炭鉱に連行・強制労働させられ死んでいった179人の朝鮮人坑夫たち。生死さえ知らされず、何の報償も得られず、遺されたものたち。韓国、長崎、そしてサハリン--。死んだ男たちの無念の思いを胸に書き綴る渾身のルポ。九州朝日放送製作放映、91年民放祭教育部門最優秀賞受賞。

・発題者紹介

崔聖植(チェソンシク)北九州出身。司法書士・朝鮮植民地支配から始まる在日コリアンの居住権を訴える。

金貞子(キムジョンジャ)北九州在住。永生園語り部・筑豊炭鉱犠牲者納骨堂として建立された経緯を証言。

 

日時  2月11日(日) 15時-17時

                          会費なし(席上カンパあり) 駐車可

場所  在日大韓・小倉教会/西南KCC

 (北九州市小倉北区大田町14-31 電話・FAX 093-521-7271

主催  北九州人権集会実行委員会/日本基督教団九州教区北九州地区

    ヤスクニ・人権委員会             

問い合わせ 川本(090-4349-1953) 兼崎(093-391-7055) 朱(093-521-7271) 

       

賛同団体:外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)「NO MORE 倭乱!」実行委員会 八幡製鉄の元徴用工問題を追及する会 パトロ-ネ 北九州・在日朝鮮人教育を考える会 在日大韓基督教会社会委員会 (同)・西南地方会社会部 西南KCC 北九州共生文化講座・トラジ学園 全国教会女性連合会 西南地方教会女性連合会 全国青年協議会 小倉教会 (順不同・続いて賛同団体を募っています)

 

 

 

 

 



アジア共同体の最終講義

2018年01月30日 06時13分12秒 | 講義

  昨日15回のジア共同体の最終講義は財団の首席研究員の鄭俊坤博士によるアジアの多様性に関するものるだった。アジアには酷寒と熱帯に広がる広い地域に45の国家がある。人口は常に移動する。古くは自然環境により移動したが現在は平等、自由な都市に集中する。都市は文化を創造する。多様なアジアの未来は明るいと結論付けた。私はアメリカが憧れであることは能力を認めてくれる点であると付け加えた。
 財団から19人の学生に奨学金が授与された。最優秀者イスンアン君が家族の延長線でアジア共同体が議論されたと言いながら感謝の言葉を言った。櫛田宏冶学長が最後の挨拶をして大学総挙の体制で行ったことで締めくくりをした。私の研究室で鄭博士をの囲って談笑が続いた。鄭博士の日本語は完璧、言葉は多様性の象徴的なものでありコミュニケーションの手段である。日本語の完璧な日本人の話術はどうであろう。その多様性は次年度に続くであろう。


朴仙容氏のエッセーから

2018年01月29日 05時44分52秒 | エッセイ

 続けて拙著に関して書くのは恐縮であるが、新しい貴重なコメントを紹介したい。これは書評とは言えないが、拙著『慰安婦の真実』を持って朴仙容氏が書いたエッセーである。「在日ニューカマーが日本にしっかりと定着し、その発言が韓日に影響を及ぼしている」と初めに述べている。私が慰安婦の強制連行という主張は早計過ぎると主張したことに「嫌韓日本人は大喜び、反日勢には聞き捨てならない」と予想できるがそれほど反応がない。それについて朴氏は「時代は変わった」という。「どっちの味方だ!」つまり一般人の反日論や嫌韓論は通じないという。「韓の相互理解に崔吉城氏の研究が欠かせなくなった」と結んだ。この本への反日派からの批判が予想されたが、そうではないことに彼は反日論も成熟しているかのように書いた。出版記念会で彼の論評に期待している。


コメントや書評が増加

2018年01月28日 07時14分06秒 | 日記

出版記念講演会

2018年01月27日 12時20分32秒 | 旅行

         

         出版記念講演会のご案内
 

この度崔吉城教授著『慰安婦の真実』(ハート出版)が出版されましたので、出版を祝い、ささやかなパーティを行うことになりました。つきましてはぜひご参加くださいますようご案内申し上げます。

時:2018年2月24日(土)午後3-5時
場:シーモールパレス ルビー
会費:5000円(本代を含む)

*準備の都合上、参加の是非を㋁㏰まで返送いただければ幸いです。

呼びかけ人:櫛田宏冶 石本弘之 友松弘幸 権藤博志 秦穴拳壱 藤中和岳(751-0804下関市楠乃3-2-23藤中080-3052-3103)


香水とジャガイモの格差

2018年01月27日 06時22分53秒 | エッセイ

 我が家の幸福の木の花が昨夜開花し、香りが充満した。家内の親友が来られ、花見と歆饗をした。「歆饗흠향」とは儒教祭祀の用語であり、一般的に通用しない言葉である。祖先が供物の香りを楽しむ会うといわれている。祖先(死者)は供物を食べたり味わうことはできないが香りだけは感ずるという。つまり死者と生者とのコミュニケーションは香りで可能であるということになる。道教、儒教、カソリックなど多くの宗教儀礼で焼香、焼き紙の煙、酒などが使われている。それについては拙著『韓国の祖先崇拝』に詳しく論じた。
 匂いや香りをよく感ずるのは犬であることは周知である。犬だけではない。人間には香水文化がある。高級百貨店のイメージメーキングのメインホールには香水が展示されているのが常である。しかし以前訪ねた社会主義国家の百貨店ではそこにジャガイモなどがおかれていた。香水とジャガイモの格差は何であろう。生計指数、民度の差、経済の差、教養の差、文化の差であろう。


「小山上等兵が撮った日中戦争」が受賞作に

2018年01月26日 05時53分53秒 | 講義

 下関でも零下、日本の大部分が凍っている。北海道で零下31度、私はサハリンで行った冬の調査を思い出す。しかし全地球が零下になっているわけではない。シドニーに住んでいる友人は真夏の暑さもに苦しみながら凌いでいるという。グロバールにいうと地球は熱を保っている。スキー場では山が噴火して死傷者が出ているというニュースもある。
 留学生たちに最後に講義をまとめてレポートを書かせた。彼らを眺めながら私も講義をまとめて以下のように書いた。

講義感想

観光人類学(11名)では「何を見るか」から始まった。まず美しいものを見る。何が美しいか、それはどのようにして作られるかその過程はどうか。美は創造される。美意識、そしてイメージメイキング、そして観光化される。そこには文化財として指定する問題、その基準は何か。
 次は歴史的のなものが観光化される。それは歴史的事実ファクトfactであるところから話を始めた。どんな史実が価値があるのか、価値判断が問われた。そして史実が伝わる、そこに教育、イデオロギー、国家観などが関わってくる。多くは歪まれる。3番目は「面白さ」であった。その根源は楽しさであろう。好奇心によって開発されていく。観光はただの経済産業ではない。人間社会の本質を表している。 

 私の提案、学生がノート、意見発表、総合ディスカション、まとめ、感想文を書くという講義が行われた。マイクを使って学生が意見を発表するようにし、読み書き聞き話すの機能を発揮させた。2018.1.25

昨日の読書会は出版記念会の準備会になった。藤中氏が呼びかけ人の代表として進めることとなった。その時権藤氏が東京で開かれたドキュメンタリー映画として出品した映画「小山上等兵が撮った日中戦争」が受賞作になったという話をしてくれた。皆が大喜び、新年は運が良いと笑った。その時私に巨金を寄付するというメールで戸惑っていることも話題になった。嘘であろうといいながらも嬉しい夢の話であった。

 


アルコール

2018年01月25日 05時26分24秒 | 日記

 同じマンションの隣人に寄っていただいた。彼は下関生まれの典型的な地元の方である。彼の家は西向き、海と市内を眺めるが我が家は東向き、関門大橋と火の山を眺める海岸の景色に慣れている。彼夫婦は韓国旅行が好き、釜山だけ二十数回もいっている、奥さんは韓国語を勉強している。ビールで歓迎の乾杯。私はコップの5分の1ほどしか飲めない。アルコールアレルギーがあり、最近より酷くなっている。愛酒家の味や楽しみを知らない「無味乾燥な人間」とされそうであるが麻薬などの快とは縁の遠い、安全な人間ともいえる。私は自ら社交性が弱いと後悔ぎみになっているが新潟県立看護大学の徐淑子氏の論文で「快の効果を得るために薬物やアルコール、タバコなどの物質を使用する」といい、むしろ「対人・社会面での機能が急速に損なわれていきます」という文で慰められる。酒の社会性と非社会性がある。味、快楽など両刀の効き目に注意すべきであろう。


平昌

2018年01月24日 05時56分42秒 | エッセイ

 連日報道される冬季オリンピックから感じることが多い。今日のソウルに零下17度、平昌は―20度、私の母の故郷の江原道鉄源、私の幼い時からの友人が軍警で勤めていている炭鉱村の黄池、火田民を探しに訪ねたところが平昌等々を思い出す。米はとれないジャガイモの産地、一般の人はあまりいない軍事施設があった山村の多い田舎というイメージを持っている。友人のソウル大学名誉教授の故李光奎氏と現地調査の時の、黄池(太白)の火田民調査は面白いエピソードを調査記などで既に発表しており、「現地調査記-江原道三陟郡道溪邑新里火田民」韓國文化人類學KCIに掲載されている。日本語でも『東北学』(2003)に訳されている。そのような僻地であったそこで国際的なオリンピックが行われるとは夢にも思わなかった。特に南北が緊張して対立しているのに代表たちが往来し、南北単一チームを作るというのもそうである。しかし最近ニュースを聞くと「何々劇場」という「文在寅劇場」のようにも感ずる。劇場とは劇変が含まれているということ。観客の拍手は信用できるものではない。ポピュリズムに乗らず信念をもって一歩一歩実行して行って欲しい。



 


講座は100点満点

2018年01月23日 05時52分49秒 | 講義

 謎の大国、「中国とは何か」の講義は面白かった。統一と分断を繰り返しながら大きい国になっていく。そこには中心と周辺が注目された。周辺は常に解放され文化交流の地点であった。多くの国は中心に核がおかれた。国民国家になって国境を重要視し、国境紛争を起こしているが中国はそうではなかったことが理解できた。金俊氏は特に西に開かれ、シルクロードができて西洋文化を常に受け入れてきた。もう一つの視点は遊牧民族と農耕民族の調和であった。中国を大きく分けて北の遊牧民族、その以南の農耕民族、その境界線が万里の長城であるという。儒教文化などで朝鮮とベトナムは中国の一部のように思われた。ただ山脈と川が国境になっている。彼の研究の康有為などによる西洋化近代化の関心が生かされず共産主義社会主義に統一される大国になったのである。原田環氏は民族の多様性から国民国家あり、、つまり漢族中心の国家を作ってから多くの民族との葛藤をどう考えるべきか。私は西洋の多文化社会ではないと指摘し、金氏は西洋から見るのはいかがなものかなどの議論があり、研究室でさらに長く議論は続いた。鵜澤教授から奨学生名簿が発表され拍手があった。最優秀者の李スンアン君は講座は100点満点と評価した。


ワンアジア共同体の講義

2018年01月22日 05時58分15秒 | 講義

 私は数日間風邪、しかし家内の投薬と看護、私の安静によりようやくよくなり、教会に出たらマスクをした人がいる。外は晴れており温かいのに教会内は寒い。ある人は自分の風邪が移らないようにと言い握手も控えていた。風邪も接触感染であろうか。書店に寄ってみた。私の新著『慰安婦の真実』が店頭に平積みになっていて産経新聞の書評も傍に添えられていた。ベストセラーを2カ月、ロングセラーになれるか。2か紙の書評、1か誌のインタビュー記事、出版記念会などが続くだろう。
 今日はワンアジア共同体の講義、講師は中国浙江工商大学教授の金俊氏である。彼は清末の中国の近代化への動きについて広島大学で博士号を取られた方である。その後、日中韓の三ヵ国で講義などをしている。今日は中国を語るという。県立広島大学の名誉教授の原田環氏がコメンテーター、議論が広がるだろう。注目したい。

*写真は「東洋経済日報」へ私の寄稿文


葉書に書かれた読者からのメッセージ

2018年01月21日 05時46分41秒 | 日記

 ハート出版から第4刷の本と読者からのメッセージが書かれた17枚の葉書が送られてきた。ほぼ全国からである。主に新聞広告から情報を得て書店での購入が多く、中には私に会ったことがあるという人もおられる。また『おばあちゃんの回想録 木槿の国の学校―日本統治下の朝鮮の小学校教師として』の編者の上野 幹久氏のものもある。「資料(日記)を公平な立場で客観的に分析されており、慰安所の本当の姿が浮き彫りになっています。多くの政治化に読んで欲しいと思います。論理的に反論していく材料としての価値は大きいと思います。時節柄、この本をもっと広告して欲しいと思います」

 肯定的な内容が多い。ネット上を含めて読者の意見を総合してみると政治や状況からの判断ではなく慰安所の自体を知りたいということである。特に著者である韓国出身の私に触れていないこと、つまり本の内容を中心に読んでいただいていることを知ることができた。桜井よしこ氏の貴重な書評でも私のことには触れていない。読者たちへ感謝と尊敬を表したい。

 

 
 

「山口から考える中東・イスラム」高校生プロジェクト

2018年01月20日 06時10分56秒 | 講義

 私の研究室は7階、エレベーターが故障している。昨日私は先に山登りでもする気持ちで途中3回休んで上って、80代の二人の友人を待っていた。二人は青年時代のロッククライミングでもしたような激しい息をしていた。先日太めの高校の教師である磯部賢治氏がやはり階段を走って上ってきてはずませながら『地域から考える世界史』(勉誠出版)を献本してくれた。氏は「山口から考える中東・イスラム:高校生プロジェクト」を執筆している。一読した。テロや殺害などの報道だけで知っている「イスラムは怖い」という断片知識から広げていく教育プログラム、それ自体が素晴らしい研究であることを感じた。一般、特にメディアは事件や珍しいことがらを中心にしているが、それを契機に知識を広げていけるのは教育と研究であろう。国際化のために重要なプロジェクトが述べられている。彼の研究教育の現場に行って見たいと思った。


山口新聞に報道

2018年01月19日 06時24分07秒 | 研究業績

 拙著『朝鮮出身の帳場人が見た慰安婦の真実』(ハート出版)がこの地域の新聞では初めて、山口新聞に報道された。嬉しい。取材を受けた時の場面を思い浮かべた。早朝手にしても、どう評価されたのかを含み、いろいろな思いが重なりむまで1時間も掛った。家内に音読してもらった。
 「日韓の間で不和の火種になっている」と、懸念している人は多い。記事はこの「不和の火種」にどのような態度をとるかを注視していた。多くの人は私の客観的主張を評価してくれる。しかし「見方によって味方」になりがちである。客観性が勝手に「味方」に利用されたりしないか懸念する。べテラン記者の記事に感謝する。


メディア戦略

2018年01月18日 06時04分33秒 | エッセイ

 トランプ大統領の品のない単語shitholeスリップでメディアが騒ぎ、面白く遊んでいるように見える。とにかくトランプ大統領は連日メディアに登場している。その失言の英語を解説するパックン氏が番組に呼ばれたことに嬉び(?)、冗談っぽくまた番組に呼んでくれと話していた。トランプ氏は失言、妄言などでメディアに注目される力がある。メディアは騙されているようである。多くの人は名前があっても無名、しかし悪名として登場して有名になる人も多い。有名から悪名に替わることは常にあることだが、逆に悪名から有名になるのも面白い。我が家のラウンドテーブルにはOTSUKAというブランドエンブレムマークが付いている。大塚は父娘の葛藤でメディアに騒ぎだされた有名家具会社である。最近、その父親によるとメディア戦略だったとのこと。無名―悪名―有名の構造がある。慰安婦像建立もメディア戦略かも知れない。政治家のメディア戦略は恐ろしい。国家のポピュリズムメディア戦略はより怖い。大衆心理を刺激して独裁へ、ヒットラーの時代を思う。