崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

作品の秘密

2018年05月31日 05時35分55秒 | エッセイ

 昨日は早朝学長と談笑、講義では十年以上愛用した自慢の照明式プロジェックターの鮮明度が低下して古物化、困った。2冊の出版を並行するのに忙しい。家内の校正、中でも私の日本語不足。ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を音読しながら日本語の勉強も並行している。土屋政雄氏の訳者後書きに「翻訳家としての私のいいところでもあり、厄介なところでもある」「秘密をばらさない」とある。作品の秘密、それが面白さ、力である。新聞のように見出しで分かる書き方では駄目。読者が減るのに対抗、戦う執筆であると感じた。


「楽しい韓国文論」

2018年05月30日 05時27分38秒 | 講義

 市民向けの「楽しい韓国文論」(写真2017年9月)が今年で7回目を迎える。パンソリ(歌)、食文化、通信使、板門店、映画、音楽などそれぞれテーマを以て行っている。市民が韓国に関心を持てるように講義、そして現地の韓国へ探訪旅行をする。これは東亜大学東アジア文化研究所と日韓親善協会が共同主催で、政治やメディアとは関係なく、純粋に民間レベルでの文化交流のためのものである。7年目になるとテーマの選定も難しくなる。面白さが尽きたのかというところに朝鮮半島事情の大きい変化、国際政治が面白い。ご意見など情報提供を待っている。


「善なる牧会者」の涙

2018年05月29日 05時50分56秒 | 日記

 広島で信仰生活を共にした女性が下関に引っ越してきた。十数年ぶりに礼拝を共にした。当時、アメリカから宣教のために日本に来られた牧師の思い出話をした。牧師は資金と宣教活動に力を尽くし、4階建てのビルを買い、信者も増えて安定するようになった。定年のために彼は新任の牧師を連れてきた。彼は後任者によって涙を流しながらアメリカへ戻らなければならなかった。私が親しく付き合った「善なる牧会者」の涙であった。都市の一角の知られざる逸話、聖書に出てくる裏切り話のようなストーリーであった。


「つぶせ」

2018年05月28日 05時09分29秒 | エッセイ

 スポーツ試合の監督と選手の関係が問われている。私は長く教育に関わっている者として教育という面から監督が試合前に選手に「つぶせ」という言葉に注目したい。「つぶせ」ということばが「指示か」と問われている。信頼がなければ「頑張れ!」が「殺せ」「反則せよ」と解釈されうる。先生の言葉は軍隊内の命令とは違う。教授、コーチ、監督という立場ではなく、「先生」として問われてほしい。「先生」は世論に左右されることない。「先生」はただの職人ではない。

 


ベストセラーマーク

2018年05月27日 05時36分52秒 | エッセイ

 拙著『慰安婦の真実』がアマゾン売れランキングにベストセラーマークが数日間消えたり付いたりしている。今のところ順位が下がってもまだ続いている。感謝である。慰安婦問題の良し悪しと連動している。時代や社会の状況と関連するのは良いが、読者にはそれをもって社会へのメッセージがあることに注目してほしい。時代や社会の変化によって忘れられてしまうのはの寂しい。本当の意味で「拙著」ではあるが時代を越えた著書でありたい。


私事であるが

2018年05月26日 05時29分38秒 | 日記

 私事であるが私は毎日ブログ、ツイッター、フェースブックに投稿している。それは長い間日記を書いた習慣の延長である。数年前までは日記と並行して投稿したが最近はこれが日記を兼ねている。しかし日記は自分のプライベートなものであるのでこれは日記とは言えない。日誌、手紙などにも類似している。なぜ本欄で公開投稿するのか。記憶や記録は指紋、映像などで自然に記録されるが、思考は残らない。「考える、対話する」ために投稿する。読者と一緒に考え対話したくて、本欄に投稿し、本を出す。


反則と喧嘩

2018年05月25日 06時29分13秒 | エッセイ

 日本ではスポーツ競技中の反則が社会のバッシング。メディアは日大と関学院の喧嘩へと煽動する。監督の「反則の指示」がポイント、試合であれば勝負がポイントであるはずなのに試合と喧嘩の区分はないのか。米朝の駆け引きへのメディアと似て関心がある。米朝首脳会談のキャンセルニュース、残念である。北朝鮮のペンス副大統領への人身攻撃的な非難文を読んで私は心配したが、やはりそれが一つの大きい理由であろうという情報もある。いくら交渉や駆け引きとはいっても言葉(声明文)には最低の礼儀は守るべきであろう。北朝鮮側は素晴らしいショーをしたし、破棄作業が始まったとメディアに公開中であり、困っているのではないか。交渉か喧嘩か分かり難い。


生檳榔を持って

2018年05月24日 05時37分57秒 | 日記

 台湾から50代のお客様がお土産として生檳榔を持って来られた。丁度2年前からフェースブック友になった方で昨年末台湾国立中央研究院での研究会に参加していただいた方である。彼は30年ほど前新宿に住んだことがあり、日本はとても懐かしく、十数年ぶりの日本への一人旅はとして下関に来られた。夕食を逆にご馳走になって申し訳ないというと私との出会い以来、二年間で株などでも損をしたことがなく利益があがり、感謝であるという言葉が帰って来た。それはどういうことでしょうか。私からのヒントというが、霊力のような力であろう。シャーマニズムの霊力ではないかと思った。


「正直と不正」

2018年05月23日 05時48分59秒 | 日記

 映画「万引き家族」がカンヌ映画祭で最優賞、日本社会の正直さを表すようなそうでないようなと思える。昨日アメリカンフットボール試合で反則者の学生のインタービューを聞いた。純粋な正直さを感じた。20才の学生と財務管理局とが「正直と不正」のように対照的に伝わった。彼が監督のプレシャーを語ったら記者たちの誘導質問、字幕ニュースでは「監督の指示」とされたところがあった。町の明屋本屋に寄った。<日本が尊敬されている>など売るために表紙、ただ情報集めのような類が目立つ。「正直と不正」の対照を感じた。私の本はどうなのか、気になった。


タラの芽

2018年05月22日 05時32分22秒 | 日記

 留学生たちは刺身、生卵、馬刺しなど生食には慣れていないと言う。生食は私もまだ若干不慣れだが日本の食文化の大きい特徴である。私には野菜の食材にも抵抗があるものがある。ミョウガ、山芋、オクラなどもまだ不慣れな日本の食材である。中には日韓共よく好んでいる海藻の海苔がある。味の付け方が異なる。山菜でも日韓で食べる物の有無や味付けが違う。毎年北海道網走の家内の兄からタラの芽が送られる。昨日の夕食で家内が軽くゆでて洵を味わった。その香りと味はカレーより美味しく、親しい。懐かしい。


新刊紹介

2018年05月21日 21時00分19秒 | エッセイ

【新刊紹介】近現代史研究家・松枝智瑛

崔吉城著『朝鮮出身の帳場人が見た慰安婦の真実 文化人類学者が読み解く『慰安婦の真実』おそらく自分の日記が後に他者の目に触れることになるとは思はなかっただらう。だからこそ、自身が見、感じたことを偽りや誇張を交へずに記してゐると言へる。


「慟哭の場」

2018年05月21日 05時46分40秒 | 日記

昨日はペンテコステ、キリスト教の宗派もできたキリスト教の記念日であった。下関教会ではイエスの「異言」(神託)の聖句を以て説教が行われた。牧師は異言を泣くこととして「故郷の言葉」として、教会は「慟哭の場」であるように説教した。彼の両親は北朝鮮から避難してきた避難民として辛かったファミリーヒストリーを語った。大人は子供の前では泣けないので教会で泣いていたという。
 韓国の教会では「通聲祈祷」や泣き聲が多い。日本人には馴染まない礼拝様式である。韓国人から見ると「日本人は血も涙もない民族피도 눈물도 없는 민족」、人情がないとも思われるかもしれない。しかし日本人は「無聲涕泣」すなわち涙が泣く現象である。韓国人の「哭」と日本人の「涙」の対照である。拙著『哭きの文化人類学』(勉誠出版)を勧めたい。


「傍観」

2018年05月20日 05時49分11秒 | エッセイ

 犬との散歩道で2人の知り合いに出会って立ち話をした。一人は研究会などに参加する人、もう一人はアルバイトに行く留学生、私の顔が広くなったのか、町に空き家が増えて「むら(村)」に変わったのか。村は顔見知り同士の生活、隣人愛で生きる。隣人には干渉しない、「傍観」の心情を持っている。中途半端のようなものであり、中立的ともいえる。私の傍観哲学(?)は戦争体験からの教訓だと寄稿した文が届いた。東洋経済日報の連載「民草の願いは平和」である。

 


「竜馬四重奏」

2018年05月19日 05時44分57秒 | 日記

 車から降りて数メートルの距離、そこでも傘を用意してくれる家内に皮肉ぽっく思ったがその傘に助かる皮肉ぽっくなった昨日の午後はひどい雨だった。講義、定期健診の後、夜には「竜馬四重奏」へ、笛、三味線、バイオリン、鼓の「四重」が韓国のサムルノリ(4物芸)を連想、歓喜の境地へ至るようであった。その世俗を離れ、垢を清め、神秘なる境地へと脱魂するシャーマニズムの歓喜のナンジャン(乱場)へというクライマックスの時間であった。


「嘘はつけない」

2018年05月18日 05時16分48秒 | 研究業績

 読書会に新しいメンバーが入った。家内の犬友から院生へのキャリアウーマン、70代の女性、東アジアの文化交流に関心のある社会人入学の大学院生。知識欲旺盛、研究所に案内した。6月日文研研究会参加のために井上章一編『性欲の研究』を読了した。性と美いわば「セクシー」なモダンガール、不倫文化の流入などが分かった。
 昨日は礒永氏が軍人日記を紹介した。日記には「嘘がない」という前提。メモもせず「記憶にない」という政界の流行語。今の学生は日記はもちろん、書かない。全てが記録されるから。指紋、DNA,防犯カメラ映像など膨大な真実を残している。「嘘はつけない」。