崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

判決と判断

2018年10月31日 05時03分31秒 | 日記

 私は直接政治的なことには深く触れないが、昨日の韓国最高裁の確定「判決」には一つ言わなければならない。苛酷な労働を強いられた人がその賃金を要求してもらうことは正当なこと、狭義の法条文的には正しい判決かもしれない。しかし法の判決は条文だけを持って行うのか、疑問がある。当該法や法条文をめぐる関連法、政治、社会、文化などの脈絡から考慮して判断されるべきであろう。大法院判事になった私の同級生に大法院で会って話したことを覚えている。彼らは大学生時代に芸術、文化などの教養科目などは一切受けずひたすら勉強、専ら法律や法学だけの条文暗記に熱中していた。いわばエリートコースで判事、検事、弁護士になる。まるで李朝時代の科挙試験のような試験のような過程を通った。今は大部変わったかもしれないが、昨日の判決をみてそのような感が払拭できない。法的に「判決」は正しいかもしれないが正しい「判断」とは思えない。時代、社会、歴史認識からの判断とは思えないからである。
 
戦前朝鮮半島で植民地と意識せず、失敗を繰り返しながらも金を儲けた日本人が多い。私が知っている人は蔚山の一級土地のバス停留場の土地が自分の所有財産であると土地文書を持って裁判を起こそうとして私に相談に来たことがある。韓国では戦前の日本人の家に住んでいる巨文島の人に賃貸料を要求した日本人からの手紙を訳してあげたこともある。戦前缶詰工場をした人、馬山で醤油工場を経営していた日本人、韓国の土地文書には多くの日本人の所有が明記されている。その財産は連合軍の「敵産」をGHQが払い下げたものである。
 「侵略と戦争」という状況を考慮せず韓国人の元徴用工らが損害賠償を受けるということが正しい判決は戦前の日本人にも適用することではないか。1965年の日韓請求権協定以前に遡るというのなら正しい「司法の判決」とはいえない。非常に危機な判断といわざるをえない。むしろ韓国にとって不利な判決かも知れない。

 


シャーマニズムの講義

2018年10月30日 05時15分15秒 | 講義

 一昔前までシャーマニズム研究は盛んであった。私はそれを韓国で現地調査をし、それを以て研究するために日本に留学した。日本ではシャーマニズム文化が若干存在しているが、研究者が多く、理論化が多かった。最近は非常に少なくなった。学問の流行であろうか。私は植民地研究、慰安婦についても研究している。久しぶりに昨日シャーマニズムについて講義をした。私が歩きながら調査をしたシベリア、モンゴル、中国、ベトナム、インドネシア、台湾などの映像を見せたが、映像も古く、大学の器材も古く鮮明な映像ではなかったが見せながら説明をした。
 日常的な精神状態から気分転換、それを超えて神との交流の信仰。リズムと音楽によって実は若者の文化として流行っている。ただそれを意識していない。韓国ドラマに主に女性の気絶場面が多く、踊りが盛んな文化を指摘した。それについての受講生の所感を以下紹介する。

 アジアの多様な宗教の中、酒とリズムにトランスそして神がかる信仰(HH429、田辺)神が乗り移ると自分の意識はどこにいくのか(H001、HD001)シャーマニズムということばは初聞(T409、H438)。私の親は私のためにお祈りしてくれる(410)。韓国には巫俗信仰が多くある(H404)。台湾のタンキが自傷し吐き気をし、意識を戻すのは衝撃的(TL039).アメリカにもある(H401).信仰か、迷信か(H416,H444).中国でも女性は良く踊る(H422)。病院があってもシャーマンがいるのはなぜか(T407)。映像の場面が怖い、信じられません(509)自分で撮った映像、話方も面白い(H404)。日本にもこんなものがあり、ストレス発散か(H002).
 線香など共通のものがある(TL044)。アジアのいろいろのところの事情(H419)、ネパールの映像がなく残念(H436(TL044)、H442,H433、TL039).タイランド、ベトナムでは仏教、チベットの鳥葬 儒教とシャーマニズムは(菅原)宗教ではない(H441). 全然わからない(H413,401)。害のない宗教へ(507)……


「裏切る」説教

2018年10月29日 05時17分35秒 | 日記

 朝から「裏切る」説教、人誰しも裏切っていることから悔い改めるべきであると。決して悪くない説教だが一日が不快になった。2005年4月24日我が家を訪問したある在日牧師が読んだ、ユダがイエスを裏切った聖句(ヨハネによる福音書13:21)。愛、孝、敬など愛しい心が前提になっているが、そこには裏切る危険なことがある。悔い改めなさいと言われ、考える。私も弟子に裏切られた気持ちは実感している。私自身も逆行動があったかもしれない。市内での講演が分かりにくかったという家内の酷評、「夜学」という集いでの私の言葉にも失礼な言葉があったかもしれない。不快な一日、勿体ない。*二人の読者の山崎氏(写真)、中山氏に拙著3冊に署名。


愛犬ミミにハーグ

2018年10月28日 05時48分23秒 | エッセイ

 早朝我が愛犬のミミにハーグし、水を飲ませて起きるのが私の日課の始まりである。ミミは子供の時は玄関から靴を持ってきてかじったり特に家内の新しい靴のヒールが好きで、あっという間にはけないようにしたり、私のスリッパをくわえたまま自分の椅子に飛び上がったりしたのに、今は食卓のミミの椅子に行けるように斜面を作って、そこをゆっくり上がる。12才、心臓の病気と腫瘍を持っている。便秘が続き、家内が浣腸をしてようやくうんちが出た。私より老化が早い。私の近い将来が見える。昨日夕方冷たい風の中、ミミをつれて、海岸の公園に行った。歩かせて、水を飲ませた。その傍に三人の旅老人、韓国語で話を掛け、嬉しい話、釜山から来られたという。学校の教員であった友人たち、今は旅行を楽しんでいるという。私も日本に住んでいるが生まれ故郷の話をしてすぐ友達にもなりそうに盛り上がった。人生の過去をいくら豪華に語っても寂さがある。歳には叶わない。


「海外名士招請特講」

2018年10月27日 04時51分22秒 | 研究業績

 釜山のある大学校から「海外名士招請特講」というタイトルで招請を受けて日程調整で半年が過ぎた。小さい研究会ということを知った。日帰りの日程になった。「大きい」タイトルでの「成功談」から「小さい」「失敗談」になりそうである。頼まれる主題は大体、慰安婦、植民地、シャーマニズムが主である。明日は市内で慰安婦、明後日はシャーマニズムと講演と講義が続く。来年は大阪で在日、ニューカマーについて語る。分野が広いが決して「物知り博士」ではない。今はすべての人がスマートフォンなどを持って物知り博士になっているように思える。ハーバード大学のサンデル教授の授業映像を学生たちに見せながら「女性らしさ」を女性が売り物にするのか、男性の性差別なのかなど根本的な思考や問題点に迫る講義を目指している。社会で切迫している問題に関して根本的に問いかける紙本、電子冊子を書きたい。また語りたい。お知らせがある。大阪の第七芸術劇場シアターセブン06-6302-2073「映像×民俗」について語る。*2018128日(土)『冥界婚』(2016/1999年撮影/104分)監督北村皆雄氏と対談。2016年枕夢獏氏(写真)、2017柳美里氏と、今度の北村皆雄氏とで三回目のトークショー。


李良姫『民族分断と観光』

2018年10月26日 05時54分08秒 | 講義

 忙しい中ノンビリするような生活をしている。「伊豆の踊子」を読んでいる。(軍人)日記から(小説)文学への道を開こうとする。体験がある。それは絶対に存在する。しかし語らない、書かない、記録がないとそれは存在しないとされる。私は人に、この世にどのくらい存在するか。存在SEINするためにこのような文章を毎日書いているのかも知らない。偉人たちは銅像を立てる。スターリン、フセイン、毛沢東、金日成、蒋介石らの銅像が破壊、撤去された。政治家はこのような幼稚なレベルであると昨日の「観光人類学」の講義で話した。
 
世界で一番危険な、緊張関係の軍事境界線が安全に戻るようになると韓国で報じられている。緊張関係、南北敵対関係の板門店観光も変わるだろう。李良姫氏から『民族分断と観光』が届いた。広島大学大学院時代彼女に観光を
人類学的にアプローチして博士論文を勧めたことを思い出す。当時は異例、変わったテーマであったが、今は時代に合っている。彼女はさらに高齢者による観光 についても述べている。 本を読むにつれて一緒に主要な文献を読み、議論し、ドラサン観光に同行したことなど深くかかわったことを思い出し、懐かしい。あとがきに感謝の言葉があった。嬉しい。


櫛田宏冶 「アジアのデザイン」 

2018年10月25日 06時18分38秒 | 講義

2018年10月24日 櫛田宏冶 「アジアのデザイン」 

最初に日本の風景、屋根が`大きい家屋のデザインからアジアの話と画像が流れた。中国で学んだ雪舟が日本画へ、下関出身の狩野の迫力ある絵の世界、北斎の浮世絵の波の絵からアジアのデザインは何かに迫った。受講生たちの所感を紹介する。

 この講義から新しい知識(H447)。芸術は国境なし(H415).(H447)東西の交流(一般)、中国との共通点が多い(H507)。デザインは経済的になっている(H406)。日本に留学して帰国して広げていく(H433).
 余白と空間の広い絵、そこにも迫力ある表現、西洋の印象派とも通じうる(H404 )。絵画の発展が極められてこれ以上驚きのものが無くなるのではないか(H001).
 鑑定番組を見ても価値をわからなかったがこれから変わるだろう(TL044).芸出作品の創作意図が分かっていく(TL039).
 日常生活に視線を向けて欲しい(15402)。ベトナムの焼物「鉢場」(H405)などもっと生活のデザインが知りたい(H415).ベトナムで日本式家を建てたい(H447).日本の和室が好き(H428),
 日本のデザインの良さが伝わってきた(H001)。日本のうす暗い風景からどのような色彩が生まれるのか?(H002). 先生の作品3本柱正門は素晴らしい(一般)。

*崔吉城のfacebookで講義の動画が映っている。


お知らせ「忙しく、楽しい」

2018年10月24日 05時35分55秒 | 旅行

 下関の文化人総動員のような行事に今週日曜日、私が2年目に登壇する。昨年末出した『朝鮮出身の帳場人が見た慰安婦」について語る。市民と語り合いサインもしたい。まだベストセラーマークが付いたりする。下関では既に出版記念会、日本研究特別賞受賞記念などで挨拶のように語ったことはあってもこのように直接市民と向き合って話すのは初めて。楽しみにしている。昨朝の毎日新聞下関版では主催の実行委員会は「地元にこれだけの文化人、研究者がいることを知ってもらいたい」と参加を呼び掛けている。すでに沖縄、台湾、京都などで行っていて、これからも下関12月12日、釜山11月20日、広島11月24日、大阪などでの講演会の日程が詰まっている。忙しく、楽しい。


結婚して子供と一緒に観たい

2018年10月23日 05時35分36秒 | 講義

 久澤謙二郎准教授の「ワンアジア共同体」で「アニメーション」の所感を紹介する。まず「楽しかった、面白かった」と書いた人が多く、過半数である。日本語から日本文化まで勉強するようになった。アニメーションが好きて日本留学をするようになった。日本のアニメーションをならいに来た。タイでは日本のアニメーションが人気、One Pieceはきれい、悲しい。作るに複雑、難しいか?無声の時代から画質や2Dから3Dへの発展、その歴史が古い。世界最初の「工場の出口」から吉本新喜劇までに発展してきたことが分かる。アニメーションは芸術である。
 細かい作業、そして久澤先生の巨大なプロジェクションマッピング(2015)は素晴らしい。芸術に国境はない。日本が1973年韓国へ輸出したという、その作品は何か。韓国との共同制作、「
人と人」が繋がる。素晴らしい講義はワンアジア財団から支援を受けての効果である。著作権があって、ユーチューブなどでのこせるか、無くしてはいけない。結婚して子供と一緒に観たい。一人異見があった。大学でアニメーションを講義するのは無駄、その意味は何かと問う。



久澤謙二郎准教授「アニメーション」

2018年10月22日 05時33分12秒 | 講義

 下関市民の中では夜間シーモール壁面へ港町、漁業の大型映像がプロジェクターで投射されたことを覚えているだろう。それを主導的に行った東京芸術大は出身、東亜大学の久澤謙二郎准教授が今日12時50分から「ワンアジア共同体」でアニメーションなど映像に関して講義する。先週、韓国の張竜傑教授が日本のアニメーションなど大衆文化の韓国への影響などを語ったが、その日本の映像の技術や文化はどうであろうか。映像はプロパガンダと映画、芸術、娯楽など消極的なイメーが強かったが、今は日常的な影響力の強いものとなっている。強力な映像によって政治的にはポピュリズム、CMなど商業主義に影響している。そのダイナミックな影響力のある映像の本質に迫ってみたい。講義に期待する。


ジャジャ―麺

2018年10月21日 06時05分55秒 | 講義

 ジャジャ―麺は韓国人が好きな、一番人気の一般的な大衆食である。それが仁川発だという話を昨日「楽しい韓国文化論」で下関韓国教育院の孔淑子院長が語った。それは中国人たちが開発した料理であって中華料理とは異なる韓国式の料理である。しかし韓国人に馴染み深い料理ではあるがまだ家庭で作るメニューにはなってない。いわば中華料理店のメニューである。山東省から移住してきた中国人たちが開発したものであり、安くて、配達する努力で、普及でしたものである。彼らが韓国で政治的差別を受けてきたことは、世界で類例のない酷いものであることは良く知られている。多くの人が台湾の国籍を取り、移住した経緯がある。私は大学生時代以降ソウル市庁の前と仁川の中華街の本屋を回りジャジャー麺を食べたことを懐かしく思い出し、最近仁川の中華街を回りインタビューしたが暗い否定的な反応しかなかった。在日が差別されるといいながら国内の人を差別する。私の一つの正論「自分が差別されると言う人が他者を差別する」である。


韓国食品「梨」

2018年10月20日 06時10分41秒 | 日記

 昔日本から韓国へのお土産は電気製品であったが、その後韓国のものが優良になり、お土産に困っている。韓国からは日本へのお土産は味付け海苔など食品が人気がある。最近韓国で日本製が人気があると聞いた。大邱から来られた入試所長の奥さんと食事をしながら聞いた話ではドン・キホーテが韓国で有名であり、メガネ拭き、サロンパスなどの日本製が人気があるという。今日「楽しい韓国文化論」で下関韓国教育院の孔淑子氏の講義があり、韓国旅行が残っている。食べ物、買い物、観光などを楽しむ。韓国文化の中で一番「楽しい」ことはなんだろう。韓国料理、食品である。先々週朴仙容講師が日本人の味に合うキムチ営業をしながら食品開発した話は面白かった。韓国でよく利用する「梨」について語った。彼から新しく開発したキムチ、カクテキ、サムキョップサル(豚肉)用の梨汁をいただき、家内と試食した。肉は柔らかくなり、日本人向けの甘さもまろやかで、美味しい。キムチは唐辛子の辛さが少し濃いがやはり味はまろやかで美味しかった。梨の効果を生かして保存を考えた食品であり、ス―パでは買えない新商品である。


留学から日本人化

2018年10月19日 05時33分13秒 | 講義

  韓国から来られた高校生10校から高校生42名を迎えての研修「日本文化体験研修」で私が自分の留学の話「留学から寄留へ」の内容を話した。留学から日本人化してきた話が学生たちに受けたようである。今、日本政府は遅ればせながら出入国管理法を改正するという。『文芸春秋』には「亡国の移民政策」という特集が載っている。留学生も遊学ではなく、労働者扱い、つまり移民化のような政策である。まるで、私の歩んだ留学から今日までがモデルになったかのように書かれている。少子高齢化に「子供を産め」から「移民」への意識変化が伺われる。*写真鵜澤撮


留学生が増えている

2018年10月18日 05時48分11秒 | エッセイ

 アジアからの留学生が増えている。日本・福田政権の目標30万を超えている。留学とは一時勉学して本国に戻って寄与するというのが本質であったが、今は来る人も受ける側も卒業後の労働力として考える傾向に変わっている。つまり留学を出稼ぎ移民のように思う傾向が強い。私も日本に留学生が倍増していることを強く感じている。担当の「ワンアジア共同体」講義で80人の受講生の中、日本人は8人になっている。
 その背景には日本の少子高齢化や国際化などがあるが、留学生だった私は今、日本で留学生を受け入れる立場になっている。昨日私をニューカマーのサンプルとしてインタビューにこられた。それは成功例ではなく、ただ多くのニューカマーの中のサンプルに過ぎない。悪名高い日本の植民(移民)は海外居住の日本人は一人も残さず帰還させたが、韓国人・台湾人は多く残って「在日」になっている。ある人は言う。韓国や中国の方が日本より単一民族的であると。イタリアのバレーボールチーム、日本のテニスの大阪ナオミの存在を考えさせられる。昨日朴仙容、田中滋幸氏が研究所を訪ねて来た。私は図書館で展示中の「赤江獏展」に案内した。昼食、海苔巻きおにぎり2個ではこなすのにハードなスケジュールだった。


戦争トラウマ

2018年10月17日 05時18分13秒 | 日記

 私の拘りの戦争というテーマ、そのテーマの読書三昧から考えている。私は戦争は怖く,そして楽しかった部分があったと拙著で語ったことは大丈夫だろうか。戦後の長い時間が経った今読んでいる、火野葦平も時々戦争中にも美しい景色を描写、楽しさも綴っている。彼は「戦場に於いて、私たちは死ぬことを惜しいとは考えないのである。これは不思議な感想である」(社会評論社、2013:205)。戦争や軍隊を経験したもの、特に軍人として戦争した人ではないとその感情を理解し難い文、それが散りばめられている。戦後の平和な時代の平和主義者たちは彼を「戦犯作家」と指弾した。

 昨夜「狂気の戦場 ペリリュー」を鑑賞した。米軍の17人の従軍カメラマン(写真)が撮影したドキュメントフィルムである。それを日本軍の従軍作家として参加した火野と関連させながら注意してみた。戦争の残悪さ、その記録を残してくれたことには感謝する。今盛んに言われているセクハラとはあまりにも遠過ぎである。私はあらゆる戦争に恐れ、悪感情に戦争トラウマになっている。安易な平和主義者にはなれない。平和は平和から始まる。