崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

米軍ベースは世界中

2017年10月31日 04時55分40秒 | 講義

 昨日の講義「アジアの軍隊」は大変楽しい時間であった。効果的なパーワーポイント、分かりやすい説明、しかも重要な問題が提示された。模範講義ともいえる。軍隊とは何か。兵役をすました二人の韓国の留学生が軍生活を通して規則正しくなり、何でもできるという自信、そして国家を守る愛国精神を語った。米軍ベースは世界中、それぞれアメリカと協約などによって駐屯国の法律とは関係なく、点々と世界中に存在するという現実が明らかになった。日本は米軍の基地問題として危険視していると否定的な態度が紹介された。韓国は米軍によって民主主義国家を守ることができたという感謝があり、駐屯にはあまり否定的ではない。米軍との経済的関係について学生から質問があったが時間不足で議論ができなかった。


「アジアの軍隊」

2017年10月30日 05時43分31秒 | 講義

 グローバリゼーションに漠然と期待と希望を持って国際化が進んでいたが、民族主義の復活により反難民運動や少数民族の独立運動さえ起っている。東アジアは核をめぐる軍事的な不安、緊張状況が存在している。今日行われるワンアジア財団支援講座では軍隊に関して、京都大学田中雅一教授により「アジアの軍隊」が講義される。学生以外に市民の方々にも公開されている。私たちは軍隊と在日米軍について何を知っているのか? 軍隊とは何か?軍隊とは法的に認められている暴力装置・戦闘集団であり、勝たなければならない。韓国には徴兵制度がある。成人式のようなものである。留学生の中には兵役の義務を終えた韓国の学生もいて反応を聞きたい。軍隊と性、慰安婦の問題もある。沖縄の米軍基地の問題もある。

  

 


鳥竿

2017年10月29日 05時41分26秒 | 講義

 昨日の「楽しい韓国文化論」は「楽しい日本文化論」のようになった。日韓が共有する話題、下関の長府の数方庭祭りの紹介であった。私が90年代に研究した(崔吉城「韓国における鳥竿」『巨木と鳥竿』)が引用された。私は朝鮮半島の鳥竿との関係について説明したが私自身、鳥竿などの研究をした時から年月が大部過ぎて、民俗学からは遠く離れているとも痛感した。今はより現実的な問題、戦争と植民地、歴史認識などに関心をもっている。この講座の楽しみのクライマックスは私の研究室であったかもしれない。持ち込みのお土産を出し合って食べながら笑話、近刊拙著についての話もした。雨中の夜、南風泊まで家内の友人を送り、帰り道は良く知らない道でスリルいっぱい。


吉留徹(人類学ミュージアム副館長)「神竿と稲作」

2017年10月28日 06時34分28秒 | 講義

「楽しい韓国文化論」のお知らせ


 吉留徹(人類学ミュージアム副館長)神竿と稲作「幟」-柱・樹木との関わり、幟幡を用いた祭り-下関市忌宮神社の数方庭行事について語る。

 下関市長府忌宮神社において、毎年8月7日~13日の間、社殿西側境内にある「鬼石」を抱え立て、女性はキリコ(切籠)を持って回る行事。→『映像資料』「長府數方庭祭幟舞の由來」、「仲哀天皇の代に朝鮮より渡来した塵輪が態襲を扇動し、豊浦の宮を襲撃し、助麻呂高麻呂兄弟を射殺した。天皇は尋常の夷ならずと弓を執り、塵輪を射討ちし熊襲を征伐した。世人は塵輪の屍を見て怪しき鬼というので、これを埋めて石を覆い「鬼塚」と称す。これにより毎年七月七日皇軍旗をかついで舞う。もし数方庭の神事ができない場合は天災地変がおこる。

Ⅰ精霊を招魂鎮魂するための念仏踊という説→近藤清石・小川五郎
Ⅱ韓半島の蘇塗系農耕行事の影響/風鎮祭が変容したという説→国分直一・伊藤彰「鳥竿」(崔吉城「韓国における鳥竿」)
Ⅲ八幡信仰・神功皇后伝承を背景とする安産・子育て信仰という説 →宮崎敬義 

 


「歩きスマホ」ホノルルで禁止

2017年10月27日 06時40分57秒 | 講義

 歩きながらスマートフォン「歩きスマホ」が10月からホノルルで禁止、罰金があるという。講義中多くの学生がスマートフォンを見るのをどうするか。私は留学生たちが単語を調べるなどには役に立つと思い許容したが、教員の生の声では話に集中せず、スマートフォンを見る人が多くなって困っているということだった。私は私語も多少許している。それは留学生同士に通訳が必要であるからである。ただ厳しく規制するのではなく、その是非を議論し、納得した上で決めた方が良い。居眠りの学生にも本人が納得するようにイメージが悪くなることへの憂いを話して直った。昨日講義中にそれの良し悪しを話題にした。まだ決めていない。しかし学生自ら考えるだろう。私は読み物、パーワーポイント、映像、討論など多様な学習方法をとっている。講義でもっとも重要なのは民主的な思考の実行である。


政治漫談

2017年10月26日 05時30分25秒 | 日記

 市内のある食堂に張られたポスターを見て訪ねて来た人がいた。鳥取在住の映画プロヂューサー森崎氏、下関で映画の一部分を撮るためにエキストラなどの相談であった。韓国の監督による映画でただ日本との関連で下関でのロケがあるという。90年代の背景、当時のシルバーカーなどの話になった。看板などの設置はどうするかと質問してみた。それは韓国の映画では技術が進んで映像で処理するという。それを聞いて劇映画の漫画化のように聞こえたが彼は韓国の映画文化が日本より先に進んでいると称賛した。日本の政治は保守自民党、子供が親の後援会の世襲により親のイメージを背負って人気、野党の分裂などで遅れた後進国のように、話は広がった。映画から政治漫談のようになった。


『女範』が「女犯」

2017年10月25日 05時21分28秒 | 日記

 今の時代では自作出版もできる。しかしよい出版社、よい編集者の手を加えて行う必要がある。数日間ほぼ最終段階のゲラの校正をした。執筆から推敲、校正などで自分の原稿を読んでいく。読みやすくなっていく。嬉しい。先日読書会である人の文章を読んで、専門用語を羅列、難文の例を話題にした。この度の校正などの過程を通して出版社、編集者の存在を重く感じている。読みやすく、解りやすくなっていく。名文のように読んだ。しかし大きいミスを一つ見つけた。李朝時代の女性教養必読書の本『女範』が「女犯」になっていた。今までその誤字が見つからず通ってきたのが不思議。意味の真逆のミスがなぜ初稿で見つからなかったのか、自分で驚いた。18歳の少年が81才の少年になったミスが注意例になっているが、『女範』とは真逆の「女犯」も良い例であろう。これだけでもこのたびの校正は大きい成果である。


地図

2017年10月24日 06時12分04秒 | 講義

 ある在日の牧師が韓国に行かれて起立して「獨島(竹島)は我が(韓国)土」を歌いながら泣いたという。彼は民族を忘れることはないのが良いと熱弁した。それはワンアジア支援講座の礒永和貴氏担当の「植民地から見る地図」の即後であった。地図は領土と民族主義の塊と言っても良い。平昌オリンピック宣伝広報地図に日本がないと韓国を非難する。しかし植民地期の日本の地図にアジアの半分、そして広大な海を日本帝国の拡大を示す帝国の膨張が描かれている。太平洋を中心にしてソビエト・東アジア・オーストラリア・太平洋の島々、アメリカ、カナダ・メキシコが表示されている。本図の下に「太平洋に於ける列国の勢力」「日本爆撃機行動区域」が掲載され、あらわに日本の「仮想敵国」を指している。オーストラリア・インドを含む地域が線で囲まれていることがわかる。当時の地図では日本の「領土」は今北朝鮮の核ミサイルの射程より広い。有益な講義であった。

 


ポピュリズムが消えた

2017年10月23日 05時57分17秒 | 日記

 昨日いつものように教会に行った。教会の正門の近くの左側に貼られた選挙候補者のポスターが目にはいる。今度の選挙では町角演説やスピーカー宣伝の音響、テレビ報道も少なく感じられた。以前は拍手部隊を動員し、広場演説集会などが中心であり、選挙の雰囲気か、熱風か、順風・逆風などで表現された。今度は全体的に静かな選挙期間であった。閑散たる村町の現象であって都会とは大いに異なるかもしれない。しかしここも日本であり全体の状況を示すに違いないだろう。静かな雰囲気から私は成熟した民主主義を感ずる。大きい結果の選挙であった。特に私には小池劇場のポピュリズムが消えたように思われた。国民は民意を行使する正しい識見や批評、政見の力を持っていると感じた。これは他の周辺隣接国家にも影響してほしい。
 


朝鮮通信使の道をたどる

2017年10月22日 05時42分16秒 | 講義

 日韓合同でユネスコ世界記憶遺産へ登録申請した「朝鮮通信使」がほぼ登録が確定されそうである。日韓関係の小康状況を表すように昨日「楽しい韓国文化論(2017.10.21)」で真弓智恵子氏により「ソウル~東京2000キロ、朝鮮通信使の道をたどる」という講義があった。真弓氏とは初対面、予備知識はゼロの講師であったが一瞬に親しくなった気がする。彼女には私のブログなどで情報が十分伝わっているようである。ソウル-東京間友情ウオーク、参加費55万円、52日間ほぼ歩いたことには驚く。彼女は佐賀新聞社記者出身、フリーライターであり取材力によるウォーキングであった。朝鮮通信使を支える広域縁地間の文化交流や親善に寄与するという。2017年4月1日~5月22日の合計1158キロ、ソウルから龍仁、安城、水安堡、聞慶、安東、永川、蔚山、慶州、東萊、対馬・・・東京まで歩行した。日本人、韓国人、在日の方々など参加者で完歩したのは19人その過程で寝食、対話、苦行、観光が行われた体験談であった。そこには日韓の比較、歴史紀行、付き合いなど多様な意味が聞き取れる。特に酒と豚肉のお話など楽しく、優れた話術も面白く、とても新鮮な文化論になりそうで出版が大きく期待される。

   
     
                     
                     
                 
               
                 
                 
               
                 
                 
                 
               
                 
               
                 
                 
                 
                 
               
               
                 
                 
                 
               
                   
                 
                   
                   
                   
                   

韓錫政氏講演予定

2017年10月21日 05時38分26秒 | 講義

 今日(土)は「楽しい韓国文化論」、(月)はワンアジア共同体の講義がある。すべて静かに着々と進行される。この次には韓国の東亜大学校の総長韓錫政氏の講演会を予定している。演説文の草案が送られてきたので読んでみると関釜連絡船の話、名演説になりそうである。下関の市民にも公開して聞かせたい。(日)選挙は例年に比べ静かである。重要な判断は静かに思考するところから生まれる。気分の高調にまかせて判断したら失敗が多い。森友学園の女性の叫び聲、韓国の諺「女性の恨みは5,6月(陰暦)の霜」という。その声が選挙に響くだろうか、さらに沈み溜まるであろう。それが恨(ハン)になる。大型台風で流れるかもしれない。 


中国共産党大会

2017年10月20日 06時10分34秒 | 講義

 中国共産党大会の冒頭に習近平氏は、中国が「世界の舞台の中心に立つ」べき「新時代」を迎えたと述べたという。共産党政権の下での中国の発展モデルは「繁栄している」とし、ほかの発展途上国に「新たな選択肢」を提供したと。私は社会主義の専制国家がモデルになるのかと驚いた。普通近代化による社会発展は技術、経済、政治、文化などの面で行われるが中国は異例な例である。民主主義は発展せず経済的に開放進行している。政治と経済がバランスをとっていなくても発展するのは事実である。ひと昔前までは韓国や台湾も独裁政権でありながら今は民主主義の国家に変身している。国土を国有している中国にも資本主義の風が大部入っている。民主化も進むだろう。ただ長い貧困史があり、人民の多くは食べることが良くなったという実感があり、共産党が支持を得ている。

 

種播き

2017年10月19日 06時00分10秒 | 講義

 先週大学祭でドラマーとして登場した留学生3年生のチエギョンチョル君が研究室に訪ねてきてシャーマニズムを研究するという。彼はシャーマニズムの起源に関して調べた話をした。ドラム演奏は趣味だと言うので、私はシャーマンとドラムの関係について話しをした。専門家になるためには趣味やアマチュアのレベルを越えなければならないと話した。まずドラムとリズムの関係に関して専門的な知識と音感を体で知る能力をもたなければならないと言った。私は拙訳『シベリアシャーマニズム』を見せた。そして今私が韓国語で執筆中の『韓国の巫堂』の原稿を紹介した。私が多くの恩師たちから頂いた恩を返したいという思いである。私も種を播いている。


日本の食文化の不思議さ

2017年10月18日 05時27分17秒 | 日記

 以前は私も食事の準備をすることがあったが今は全くない。もっぱら家内に任している。それは家内の方が韓国料理が完璧であることを意味する。水キムチは美味しい。韓国食品商の友人に商品化を勧めるほどである。私は日本に長く住んでも日本食にはそれほど馴染んではいない。私の舌はなかなか日本化され難い。滑稽な風景にも感ずるものがある。天ぷらウドンである。わざわざあげた天ぷらや焼いた海苔をスープに入れて食べるのはどうだろう。それに抵抗がないのが不思議である。サクサクに作ったものをまたスープに入れて食べるのはなぜであろう。日本の食文化の不思議さと感ずる。


真弓智恵氏 「通信使ワーク」 

2017年10月17日 05時31分14秒 | 講義

<お知らせ>

 今週土曜日(2017.10.21,14-16時)「楽しい韓国文化論」が東亜大学13号館7階で行われる。

 真弓智恵氏 「通信使ワーク」 

 講師の真弓智恵子氏は佐賀県伊万里市生まれ、フリーライター。2000~2002年、韓国・東亜大学校と梨花女子大学に短期語学留学。少子化や高齢化をテーマにした長期連載や、歴史発見のシリーズ、九州や韓国をフィールドに九州の焼酎や焼き物、温泉、産業観光、特に沖縄タイムス夕刊「115歳・命輝く~本郷かまとさん介護日記」がある。「韓国伝統酒のふるさとを訪ねて」、共同通信社配信の連載「韓国伝統酒紀行」などがある。著書に『本郷かまとさん、長寿の日常』(南方新社)がある。彼女の韓国取材の話を含む長く続けている朝鮮通信使に関する取材のお話を楽しみにしている。