崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

愛犬と「狗湯」

2007年08月31日 05時36分51秒 | エッセイ
 中国人が韓国人を犬に比喩して「嫌韓」の歌詞を作ったことでネット上で韓国人が怒っている。韓国人や中国人は犬を軽蔑し、犬に比すること自体が酷い悪口になる。しかし日本ではそれほどではない。韓国人や中国の朝鮮族では犬肉の料理「狗湯」を盛んに食べるので、時々国際的に非難されることがあり、韓国からは食文化として反論する。動物の食材論は古くて新しい。マービン・ハーリス(M.Harris)は経済性によって食文化が決まるという。彼の理論によると犬肉を食べることは犬の経済的効用性が低く、食材価が高いことになる。食べない愛犬文化とは犬への愛情が高く評価されるから食材にしないことになる。その延長で人間が人間を食べないことが説明できる。犬肉を食べる地域は番犬、狩猟犬、「愛犬」として犬の経済性を認めない文化であることを意味する。

行き止まりの家

2007年08月30日 07時03分10秒 | エッセイ
 下関に来て朝の散歩道でよく行き止まりの家の前まで行き、そこから裏道を探して、元の道に戻ることがよくある。そして家々の花、庭、玄関、カーテンなどの柄とかその家の形、家の個性が感じられる。博物館などの施設だけではなく、このように一戸建ての家々に出会うことがこの町を生きることであり、楽しむことである。ある家では外側の縁側に盆栽などの花を花屋のように飾っている。ある家では愛犬が吠える。家内が連れて歩くミミちゃんは他の犬と自然に出会う。犬同士の交際が人につながる。犬連れの人たちの立ち話が広がる。初めて出会う他人に話掛ける。都会の生活は孤独だと言われるが、行き止まったところから曲がる散歩で隣人と一緒に生きる楽しさを発見した。わが家族の朝の散歩は町を楽しく生きることである。

韓国で学歴偽造

2007年08月29日 06時11分32秒 | エッセイ
 韓国で学歴偽造が社会的に大きい問題になっている。中には私の恩師の李杜鉉先生が自分の論文を盗用したと言った当本人の某アートホールの院長金氏が学歴偽造ということで教授を罷免、検察に起訴されたりして、飲毒自殺騒動を起こしている。世俗社会にも時には正義があるという気分になる。しかし韓国では非常勤講師さえ「教授様」と呼ばれ、博士号を持たなくとも「博士様」と敬称として呼び、元役職名をそのまま呼ぶ社会慣習があり、学歴偽造、偽称がなされやすいのである。ある人は「教授様」「博士様」呼ばれてそのまま黙っていて偽造になったともいう。それより今の時代にそのくらいの情報を隠せると思っているのがより愚かであろう。

死を受け入れる

2007年08月28日 06時05分49秒 | エッセイ
 麗水で十数年ぶりに郷土史家にあった。70才ころの彼は自書の本の日本語訳に強い意欲をもっており、ラジオ出演、地方の新聞に投稿するなど地方の有名人として意欲満々であった。しかし今度昔からの友情でホテルまで来てくれた。久しぶりに会って、病状がはっきりしているので驚いた。彼は生きる意欲を失って、死を覚悟しているように「死にたい」と言った。私は一瞬可哀相に感じたが、彼が死を受け入れていることは勇気のあることと思い直した。長生きの命の尊重しそうとともにこの世のことをあきらめて死を迎える態勢も必要である。死を受け入れる態勢は高齢の人だけではなく若い人にも必要である。

上田崇仁氏のブログ

2007年08月27日 06時13分16秒 | エッセイ
 私は現地調査中にノートなどの整理を終わらせるのが原則であったが今度の韓国調査ではそれが出来なかった。全体の進行と会計まで基本的に私が担当したので無理であったと弁明する。それよりは年を取ったという実感である。上田崇仁氏が会計を助けてくれた。また彼は調査旅行について写真とともに日記を書いているので参考になる。これから調査団の全員がそれぞれ何を見て聞いたかという楽しみがある。まず上田のブログを読めば調査旅行が観光とはどう違うかを知るに充分であろう。上田崇仁氏のブログhttp://blog.goo.ne.jp/koyangyi/が参考になる。

韓国における日本文化の影響

2007年08月26日 06時46分26秒 | エッセイ
 韓国における日本文化の影響は多い。それは植民地によるものがあり、また最近文化交流によるものが多い。花札は古くから伝わったとされているが、植民地期に一般化されて現在にいたっている。今度の旅行でも頻繁に目撃した。ラジオ体操も植民地期の残滓である。戦後のものとしてはテレビの「のど自慢」である。時間帯も進行の形式など日本の真似である。このような日韓において互いに真似したり影響しあうことは当然である。しかしそれを指摘すると嫌がり、「親日派」ともいわれる。文化は国を背景に産出されるが国を超える力をも持っている。日韓文化の影響関係を認めることは国際化の始まりであろう。

調査を終えて

2007年08月25日 06時52分16秒 | エッセイ
 7日間の調査を終えて昨日帰宅した。20人弱の調査団が19日釜山ホテルで研究会を行い、翌日大型バスで釜山を出発した。バスの窓ガラスは外を観光するには不適切にカーテンがしっかりしている。そのカーテンの訳を運転手に聞いたところ高速道路でも貸切団体乗客たちが立って踊るので警察に見られないようにするためという。昔から特におばあちゃんたちの踊り旅行が問題なって、かなり規制されて無くなったと思っていたがまだ消えていないという。
 そのようなバスの中でわれわれは前夜の研究会の続きとして車内の無線マイクで質疑会を行った。巨済島の神社の跡、漁村博物館などを見回って麗水に着き、ホテルで現地の郷土史家を招き講演会を行った。翌日7時40分発の船で巨文島へ向かった。電話一本の連絡もしないで着いて昔調査の時の面長に連絡して会い、調査の協力願い以降スムースに調査が進行され麗水に戻り、釜山までの貸し切りバスで総合反省会を行って帰国した。私は疲れて、タクシーから降りて力が抜けたのか転倒してしまった。それにしてもいい調査ができたことを調査団員と現地協力者たちにこころから御礼を申し上げたい。

アフガン人質

2007年08月24日 06時37分13秒 | エッセイ
 アフガン人質として釈放された二人の女性のインタビューで一人の女性ガイドが譲ったということで「美談」として報道されている。ガイドとはいってもそのような危険な状況で人に譲ったことは美談であることは間違いない。韓国のキリスト教の宣教に対する激しい非難の中で一つ朗報ともいえる。宣教の心や宣教は悪くないが、むしろ積極的に肯定的に行うべきではある。しかし宣教は心だけで成し遂げるものではない。より知的、組織的に長期的な視野をもって実行してほしい。

巨文島調査団の解散

2007年08月23日 22時13分58秒 | エッセイ
 夕べ巨文島老人会で15年前NHKで放映した映像を高齢者たちに見せた。96歳の男性をはじめ女性など20余名が参加した。古い島の生活が映っているので話題になった。特に住民のインタビューが出た時は歓声が上がった。そのDVDを制作者である北村皆雄氏がそれを寄贈した。続いて面長の崔氏が来て挨拶をしてくれた。日韓関係の友好の増進を図ろうとするといった。反日感情から観光化への変化が明らかに見られるのはその表れであろう。昼食後調査団を解散し、ソウルや他の地域に別れる時は数日間の親しんだ団員の顔がさびしく見えた。私は皆熱心に調査し、互いに協力したことに感謝を述べた。

巨文島訪問

2007年08月22日 11時16分56秒 | エッセイ
 巨文島を訪問して一泊した。村は年間12万人の観光客が訪れる観光の島に変わっていた。民宿が増えており、車が多いのが一番変わった印象である。当時車は一台もなかったが今はマイクロのタクシーが2台もある。十数年ぶりに訪問して当時面長であった朴鐘山氏に会い、早速副面長の馬氏の協力を得て面事務所の会議室で日本で放映された映像を見せながら住民の反応をみた。神社の欄間であるフェンスが復元されている。それは観光化していることを象徴的に表す。日本の観光客を呼びたいが植民地を表に出さないようにしている苦悩があることを漏らした人もいた。日本植民地のイメージを出さないように工夫している。いま、神社跡をハミルトン公園と名づけて観光化しようとしている。

柳尚熙氏死去

2007年08月21日 06時14分58秒 | エッセイ
 現地調査である麗水で柳尚熙氏の死去を知った。私は留学した時彼に大変お世話になった。彼は在日本大韓基督教会の東京教会を設立し長老になって多くの留学生に物心ともに援助した人である。最近私は彼を誘ってアメリカの学会に参加したことなどを思い出す。彼はソウル大学6年先輩で私が先輩をいう意識を強く持っている人物のひとりである。心よりご冥福をお祈りいたします。

暑い日に山登り

2007年08月20日 07時09分53秒 | エッセイ
 昨日暑い日に山登りをした。こんなにたくさんの汗をかいたのは長い人生で初めてである。金剛公園の中の背山の大きい岩に刻んだ昭和15年皇紀2600年記念碑を見て驚いた。釜山では日本植民地時代の遺産が残っているということは徹底的に消していなかったということであろう。夜は研究会で発表と司会を務めて激務であった。今日も長距離の調査の旅に出る。巨済島を経由して麗水に着いたらまた研究会をすることになっている。

釜山近現代氏博物館

2007年08月19日 09時39分26秒 | エッセイ
 釜山市の近現代史博物館を観覧した。無料入場で日本語ガイドも備えていて日本時代の充実した歴史資料を展示している。韓国で日本植民地を比較的客観的に展示しているのを見て時代の変化を感ずる。広告のコナーでは当時の広告や人形などを展示しており、カタログもきちんと作ってあり、資料収集や研究をされていることが強く感じられる。日本では植民地時代のことを展示できない状況であると聞いたことがある。これからは日本も韓国を見習って展示するようになることを希望する。

韓国のネチゾン

2007年08月17日 05時59分38秒 | エッセイ
 韓国はインターネットの発展国といわれている。確かに一般的に多く普及されている。その反面日本のようにセキュリティとかプライバシーなどは盛んに言われていない。日本人は発信する前にネガティヴな措置が先に走る感じがする。韓国ではニュースなどに名前を伏して自由に書ける欄がある。このネット上の人物をネチゾンという。自分の名前を伏して相手の実名を使って意見を書く欄である。方言、訛り、綴り誤り、暴言、悪口、非難、わいせつなどが乱舞する。先日はアフガンに拉致された人々に「死になさい」と書いた人もいた。一つのトピックに数百、数千件にも上ることも多い。国民のはげ口と世論反映の機能が無いとはいえないが人権社会とはいえない。人権を守るために装置すべきであろう。