果樹園を営みながら会社を経営する社長から2本の蘭をいただいた。彼がある行事の時、お客さんからお祝いにもらったものである。その蘭を私に譲るという。果樹園や野菜などは多くやっていながらも蘭類は扱いが難しいという。花が満開した蘭をもらっても育てて行くには失敗した人も多いだろう。私はベッドルームの窓の外にただ半日陰の黒いビニルで屋根を作り、下に土を撒いておいて湿度を保つことができるように簡易温室のように工夫した。そこに蘭類を集めておいて名付けた「蘭室」である。それはとても粗末なものである。いつか彼にその話をした。彼がそれを覚えて私に蘭を譲ることにしたという。春や夏が遅いこの夏に蘭たちは元気よく根と花の芽を出している。そのうち美しい花と香に恵まれるだろう。
私も蘭育てに多少自信が付いたのは最近である。それは「放っておくように大事にする」という秘訣のようなものを悟ったのである。「無関心の中の関心」を持つことである。彼が私に蘭を譲ることは、それだけが理由とは思えない。私に譲る訳があるだろう。彼が蘭を愛し、私を信頼すること。一本の鉢から人生を論ずることは大げさのようであるが、人間関係にも比喩できる気がする。早稲田大学の李成市先生の弟子が訪れて来た。久しぶりに蘭が咲いたように研究室に談笑が満ちていた。
私も蘭育てに多少自信が付いたのは最近である。それは「放っておくように大事にする」という秘訣のようなものを悟ったのである。「無関心の中の関心」を持つことである。彼が私に蘭を譲ることは、それだけが理由とは思えない。私に譲る訳があるだろう。彼が蘭を愛し、私を信頼すること。一本の鉢から人生を論ずることは大げさのようであるが、人間関係にも比喩できる気がする。早稲田大学の李成市先生の弟子が訪れて来た。久しぶりに蘭が咲いたように研究室に談笑が満ちていた。