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琉球と沖縄:沖縄の文学(8)

写真は、首里城から南につづく石畳の一コマ。かなり長い距離、この石畳は続いていて、途中に県立芸術大学がある。この辺りは、まったく人気がない。猫の鳴声がやけに耳についた。石塀にいた蝸牛は、ヤドカリみたいな貝殻をしていた。少し下ると、右手に寒緋桜の並木がある。沖縄で「桜」と言えば、この花を指し1月から2月頃に咲く。北の地域から順次咲き始めるという。




首里秋風坂だんだらの石畳
若夏の満月を上げ椰子の闇
珊瑚咲く海へ染まりに島の蝶
泡盛にハブを仕込めば今日も雷
花梯梧星を殖やして夜も炎ゆる


小熊一人(1929-1988)千葉県生まれ。1975年から3年間、沖縄気象台に勤務。亜熱帯沖縄の季語の発掘に努め、1979年『沖縄俳句歳時記』を編んだ。

■「若夏(わかなち)」は沖縄独自の季語で、初夏の頃を言う。「花梯梧(はなでいご)」も沖縄の夏の季語だろう。それ以外は、本土の季語を踏襲している。沖縄を詠むとき、季語をどうするかが、一つの問題になるだろう。沢木欣一のように、本土の季語だけで押し通す方法もあると思うが、その土地独自の季節を表す言葉を使うことは、その土地への親密な挨拶になるのではないか。この5句、どれも趣深い。
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